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外部会計監査が義務となる社会福祉法人、来年度からは収益30億超・負債60億超で、対象を順次拡大―厚労省

2016.11.14.(月)

 会計監査人を置かなければならない社会福祉法人の基準は、来年(2017年)4月からは「収益30億円超または負債60億円超」とし、その後2019・20年度には「収益20億円超または負債40億円超」、21年度以降は「収益10億円超または負債20億円超」と段階的に拡大していく予定である―。

 厚生労働省が都道府県知事らに宛てて11日に発出した通知「社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令等の公布について」で、こういった方針が明らかにされました(関連記事はこちらこちら)。

 もっとも段階的拡大については、来年度以降の会計監査の実施状況などを踏まえて、必要に応じた見直しも検討されます。

19年度から収益20億超・負債40億超に、21年度から同10億超・20億超に拡大予定

 少子高齢化が進展する中で、高齢者福祉や児童福祉などの事業を担う社会福祉法人の意義・重要性がますます高まっています。一方で、「地域社会への貢献が十分ない法人もある」「一部法人では同族経営が常態化し、経営が不透明」といった批判もあります。

 こうした批判を受けて、厚労省は、社会福祉法人制度の大改革実施を決定。(1)経営組織のガバナンスの強化(2)事業運営の透明性の向上(3)財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実残額の社会福祉事業等への計画的な再投資)(4)地域における公益的な取組を実施する責務(5)行政の関与の在り方の見直し―の6本を柱とする「社会福祉法等の一部を改正する法律」を順次施行しています。

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要、社会福祉法人のあり方について大改革を行っている

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要、社会福祉法人のあり方について大改革を行っている

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要(2)

社会福祉法等の一部を改正する法律の概要(2)

経営組織のあり方については、評議員会の設置を義務づけるなどのほか、「一定規模以上の法人への会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査の義務付け」を断行している

経営組織のあり方については、評議員会の設置を義務づけるなどのほか、「一定規模以上の法人への会計監査人(公認会計士・監査法人)による監査の義務付け」を断行している

 柱の1つ目である「経営組織のガバナンス強化」では、▽理事会を業務執行に関する意思決定機関に位置づける▽評議員会の設置を義務化する▽監事の責任や義務を法律上明確化する―ことのほか、来年(2017年)4月から「一定規模以上の法人への会計監査人による監査を義務付け」られます。

 今般の通知では、この「一定規模以上」の、会計監査人による監査が義務付けられる社会福祉法人(特定社会福祉法人といいます)の範囲が、次のように設定され、かつ段階的に拡大していく方針が明らかにされました。

(a)2017・18年度は、最終会計年度における収益(法人単位事業活動計算書におけるサービス活動収益、以下同)が30億円を超える法人、または負債(法人単位貸借対照表における負債、以下同)が60億円を超える法人

(b)2019・20年度は、収益30億円を超える法人、または負債60億円を超える法人

(c)2021年度以降は、収益10億円を超える法人、または負債20億円を超える法人

 ただし厚労省は、「段階施行の具体的な時期および基準については、2017年度以降の会計監査の実施状況などを踏まえ、必要に応じて見直しを検討する」ことも明らかにしました。法人側の負担や、会計監査人側のキャパシティなどを総合的に勘案することになりそうです。

同族支配など排除のため、評議員・理事・監事の対象者を制限

 またガバナンス強化の一環として、評議員・理事・監事において、親族などの特殊関係者の制限が加えられることになります。この特殊関係者の範囲なども明確にされました。

 まず、評議員(原則として7名以上を選出)については、「評議員会を通じて役員を監督する」役割を全うするために、役員や他の評議員から独立した地位を確保することが必要です。そこで、「各評議員または各役員の配偶者・三等親以内の親族」のほか、特殊関係者が含まれることは認められません。

 特殊関係者としては、▼各評議員や役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者▼当該評議員・役員の使用人と(秘書、執事など、評議員が個人的に雇っている者)▼当該評議員・役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者▼これらの配偶者▼これらの三親等以内の親族で、生計を一にする者―などのほか、他の社会福祉法人の役員・職員(当該他の社会福祉法人の評議員となっている当該社会福祉法人の「評議員」及び「役員」の合計数が、当該他の社会福祉法人の評議員の総数の2分の1を超える場合)なども含まれます。後者は襷掛けによる不公正な支配を阻止する狙いがあります。

 また理事については、「同族支払」を払拭するために、「理事本人を含め、その配偶者および三親等以内の親族その他の各理事と特殊の関係にある者が理事総数の3分の1を超えて含まれてはならない」(さらに上限は3人)とされました。特殊関係者は上記と同様の考えで規定されています。

 さらに監事については、法人の業務執行から独立した地位を保障する必要があるため、「各役員の配偶者または三親等以内の親族その他の各役員と特殊の関係がある者が含まれてはならない」こととされました。特殊関係者の規定は同様です。

   
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