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感冒やアレルギー性鼻炎の医療費分析、サラリーマン本人は家族に比べ「受診せず」―健保連

2017.3.6.(月)

 感冒やアレルギー性鼻炎などでは、サラリーマン本人の1人当たり医療費は家族のそれよりも低く、受診率の低さが大きな要因となっている。家族で1人当たり医療費が高くなっている背景には、小児や乳幼児の1人当たり医療費の高さがある―。

 健康保険組合連合会(健保連)が3日に公表した2105年度の「かぜ(感冒)・インフルエンザ等、季節性疾患(入院外)の動向に関するレポート」から、こういった状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら)。「かかりつけ医機能の評価」や、さらに「軽微な疾患における保険給付範囲の見直し」という議論において、重要なデータとなりそうです。

感冒、家族の1人当たり医療費は本人の4倍近い

 主に大企業で働くサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合の連合組織である健保連では、データヘルスに積極的に取り組んでおり(関連記事はこちらこちらこちら)、今般の調査では2015年度のレセプトから、(1)急性鼻咽頭炎(かぜ<感冒>)(2)インフルエンザ(3)血管運動性鼻炎・アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>(4)花粉によるアレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>― 4 疾患における有病者数や医療費3要素などを分析しました。これらの疾患は主にかかりつけの医師を受診することになり、2018年度の次期診療報酬改定に向けた中央社会保険医療協議会での「かかりつけ医機能の評価」論議にも関係してきます(関連記事はこちら)。

 まず(1)の感冒について、「加入者数に占める有病者数の割合」の推移を見ると、2015年9月から増加をはじめ、その後高い水準が2016年3月まで続いていました。本人(大企業のサラリーマン自身)と家族に分けると、有病者数の割合は本人で2016年2月(0.83%)、家族で2015年12月(1.93%)がピークとなりました。

 また本人・家族のそれぞれについて年齢階級別の有病者数の構成割合を見ると、本人では幅広い年齢に分布していますが、家族では半数超が0-4歳となっています。

感冒において、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに大きな差がある

感冒において、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに大きな差がある

 さらに1人当たり医療費を見ると、本人は92円にとどまりますが、家族はその3.8倍となる346円となりました。1人当たり医療費を3要素(受診率・1件当たり日数・1日当たり医療費)に分解すると、家族では受診率が本人の3倍近く(本人66.4、家族189.6)、他の要素も若干家族で高くなっています。また家族では、0-4歳における「1人当たり1700円」が飛び抜けて高いだけでなく、全般的に本人よりも若干高めとなっています。

感冒について、本人と家族で1人当たり医療費に4倍弱の差があり、主に「本人の受診率が低い」(家族の受診率が高い)点が要因となっている

感冒について、本人と家族で1人当たり医療費に4倍弱の差があり、主に「本人の受診率が低い」(家族の受診率が高い)点が要因となっている

インフルエンザの1人当たり医療費、家族は本人の2倍

 (2)のインフルエンザについて、有病者数割合の推移を見ると、2016年1月に若干増加した後、2月に急上昇しています。本人(5.66%)・家族(10.83%)ともに2016年2月がピークとなりました。

 本人・家族のそれぞれについて年齢階級別の有病者数の構成割合を見ると、(1)の感冒ほどではありませんが、家族において若年層に有病者が集中しており、0-4歳(18.92%)・5-9歳(29.53%)・10-14歳(20.34%)で7割弱を占めています。

インフルエンザにおいて、感冒ほどではないが、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに大きな差がある

インフルエンザにおいて、感冒ほどではないが、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに大きな差がある

 1人当たり医療費に目を移すと、本人は1063円、家族が2127円で、家族が本人の2.0倍となりました。医療費を3要素に分けてみると、家族においては受診率が高い(本人149.4、家族272.6)ことが原因と伺えます。家族の1人当たり医療費を年齢階級別に見ると、5-9歳がもっとも高く4851円、10-14歳の3283円、0-4歳の2995円と続きます。

インフルエンザについて、本人と家族で1人当たり医療費に2倍の差があり、主に「本人の受診率が低い」(家族の受診率が高い)点が要因となっている

インフルエンザについて、本人と家族で1人当たり医療費に2倍の差があり、主に「本人の受診率が低い」(家族の受診率が高い)点が要因となっている

アレルギー性鼻炎の1人当たり医療費、家族が本人の1.8倍

 (3)の血管運動性鼻炎・アレルギー性鼻炎について有病者数割合の推移を見ると、2016年2月、3月にかけて急増しています。本人(8.50%)・家族(14.42%)ともに2016年3月がピークとなりました。

 本人・家族のそれぞれについて年齢階級別の有病者数の構成割合を見ると、(2)のインフルエンザと同様に、家族において若年層に有病者が集中しており、0-4歳(21.96%)・5-9歳(24.18%)・10-14歳(15.80%)で6割強を占めています。

アレルギー性鼻炎において、インフルエンザと同様、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに大きな差がある

アレルギー性鼻炎において、インフルエンザと同様、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに大きな差がある

 1人当たり医療費に目を移すと、本人2844円、家族5139円で、家族が本人の1.8倍となりました。3要素に分けると、家族で受診率がやはり高くなっています(本人527.5、家族1048.4)。家族の1人当たり医療費を年齢階級別に見ると、5-9歳がもっとも高く8481円、0-4歳の6752円、10-14歳の6669円と続きます。

アレルギー性鼻炎について、本人と家族で1人当たり医療費に1.8倍の差があり、主に「本人の受診率が低い」(家族の受診率が高い)点が要因となっている

アレルギー性鼻炎について、本人と家族で1人当たり医療費に1.8倍の差があり、主に「本人の受診率が低い」(家族の受診率が高い)点が要因となっている

花粉症については、本院と家族で1人当たり医療費などに大差なし

 最後に(4)の花粉によるアレルギー性鼻炎について有病者数割合の推移を見ると、2016年2月、3月に急増し、5月から1月は低水準となっています。本人(0.55%)・家族(0.56%)ともに2016年3月がピークです。

 本人・家族のそれぞれについて年齢階級別の有病者数の構成割合を見ると、(1)から(3)の疾病と異なり、本人と家族で極端な分布の違いはなさそうです(家族において、若年層への若干の集中はある)。

花粉症において、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに極端な差はない

花粉症において、本人と家族で年齢階級別の有病者シェアに極端な差はない

 1人当たり医療費を見ると、本人105円、家族102円で大きな違いはありません。3要素も同様です。1人当たり医療費を年齢階級別に見ると、本人では年齢とともに高くなる傾向が見られ、家族では10-14歳と50歳代の2つの山があることが分かりました。

花粉症の1人当たり医療費や3要素では、本人と家族に大きな差はない

花粉症の1人当たり医療費や3要素では、本人と家族に大きな差はない

 

 サラリーマン本人で1人当たり医療費が低い(もっぱら受診率の低さに起因)点については、例えば(1)の感冒や(3)(4)の鼻アレルギーについて医療機関に係らず、一般用医薬品の服用などで済ませてしまうことも背景にあると考えられます。医療保険財政が厳しい中では、「サラリーマン本人が売薬で済ませられるのであれば、小児や乳幼児は別にして、軽微な医療費は保険給付の在り方を見直すべきではないか」といった議論に結びつく可能性もあるでしょう。前述の「かかりつけ医機能の評価」だけでなく、以前からたびたび議題に上がる「軽度な医療に関する保険給付範囲の見直し」といったテーマにも発展していく可能性があります(関連記事はこちら)。

    

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