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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2016年、病院全体では「在院日数短縮と病床利用率向上」を実現―日病、公私病連

2017.3.7.(火)

 2016年6月における病院の平均在院日数は14.93日で、前年同月よりも0.19日短縮。病床利用率は73.07%で、同じく0.18ポイント向上しており、「平均在院日数の短縮と病床利用率向上」を両立できている。一方、100床あたりの総収支差(総収益-総費用)はマイナス1236万2000円で、前年よりも好転してはいるものの赤字が続いており、赤字病院の割合は72.9%で、前年より1.4ポイント増加した―。

 こういった状況が、日本病院会と全国公私病院連盟が6日に公表した2016年の「病院運営実態分析調査の概要」から明らかになりました(日病のサイトはこちら)。

大規模病院で平均在院日数の短縮進むが、中小規模では逆に延伸

 この調査は、両病院団体に加盟している病院について、毎年6月分(項目によっては6月末日)を対象に行われており、2016年調査では919病院から回答を得ています。設立母体別の内訳は、▽自治体465▽その他公的217▽私的199▽国立・大学など38―となっています。

 まず平均在院日数を見ると、病院全体では14.93日で、前年から0.19日短縮しました。

 一般病院について病床規模別に見ると、▼全体:14.22日(前年から0.26日短縮)▼700床以上:12.59日(同0.63日短縮)▼600-699床:12.07日(同0.31日短縮)▼500-599床:12.15日(同0.19日短縮)▼400-499床:12.78日(同0.14日短縮)▼300-399床:14.00日(同0.44日短縮)▼200-299床:17.80日(同0.17日延伸)▼100-199床:22.16日(同0.11日延伸)▼99床以下:23.29日(同1.0日短縮)―となっています。100-299床の中小規模病院で平均在院日数が延伸している点が気になります。

病床規模別に見た平均在院日数の推移

病床規模別に見た平均在院日数の推移

 2016年度の診療報酬改定では、7対1入院基本料の施設基準が厳しくなりました(重症度、医療・看護必要度を満たす患者割合の基準値が25%以上に引き上げられるなど)。傷病の種類にもよりますが、一般に在院日数が長くなれば医療・看護必要度を満たす患者が減少してくるため、大規模で多い7対1病院では在院日数短縮を一層進めていると考えられます。一方、中小規模病院の中には、7対1病院の後方病床として機能しているところも少なくなく、これが在院日数延伸に影響している可能性も考えられます。今後、届け出入院基本料別の分析なども待たれます(関連記事はこちらこちら)。

在院日数短縮と同時に、病床利用率の向上を実現

 次に病床利用率を見ると73.07%で、前年同月に比べて0.18ポイント向上しました。

 一般病院について病床規模別に見ると、▼全体:72.99%(同0.17ポイント向上)▼700床以上:77.19%(同0.42ポイント低下)▼600-699床:76.82%(同1.48ポイント向上)▼500-599床:74.97%(同0.59ポイント低下)▼400-499床:73.36%(同1.01ポイント向上)▼300-399床:70.82%(同0.11ポイント低下)▼200-299床:71.24%(同0.20ポイント向上)▼100-199床:71.06%(同0.04ポイント低下)▼99床以下:66.53%(同1.57ポイント低下)―となっています。

病床規模別に見た病床利用率の推移

病床規模別に見た病床利用率の推移

 メディ・ウォッチでもたびたびお伝えしていますが、病院の収益性を高めるためには平均在院日数を短縮するとともに病床利用率を向上させることが不可欠です。今般の結果からは、病院全体として重要な2点の両立が実現されており、各病院における取り組みが功を奏している状況が伺えます。

2016年の患者数、入院では増加、外来ではわずかに減少

 次に患者数の推移を見てみましょう。2016年6月における1病院当たりの入院患者は前年同月に比べて182人増の7378人、外来患者は12人減の1万2128人となっています。2007年以降の推移を見ると、若干の増加傾向にはあるものの「頭打ち」に近い状況になっていることが分かります。この点からも「地域の状況を的確に把握した上で、適正なベッド数を再検討する」ことも重要性が伺えます。

病床規模別に見た入院・外来患者数の推移

病床規模別に見た入院・外来患者数の推移

 一般病院の入院患者数を病床規模別に見ると、▼700床以上:2万149人(同121人増)▼600-699床:1万6111人(同257人増)▼500-599床:1万3118人(同135人減)▼400-499床:1万484人(同194人増)▼300-399床:7625人(同130人減)▼200-299床:5538人(同142人増)▼100-199床:3430人(同35人減)▼99床以下:1391人(同59人減)―となっています。病床利用率と同様の動きをしており、患者数減・利用率減となっている病院では、将来的に「ベッド数削減」も視野に入れた対策を練る必要があります。

 また外来患者数は、▼700床以上:3万6942人(同556人増)▼600-699床:2万6325人(同1018人減)▼500-599床:2万2402人(同46人減)▼400-499床:1万7507人(同439人減)▼300-399床:1万3093人(同39人減)▼200-299床:8766人(同236人減)▼100-199床:5768人(同173人減)▼99床以下:2801人(同143人減)―となっています。厚生労働省は「大病院は専門・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院やクリニックが担当する」という機能分化を進めています。またスタッフの負担や収益などを考慮しても、大病院で軽症の外来患者を多く受け入れることは、好ましいこととは言えません。外来の機能分化をより進め、大病院での高度治療が必ずしも必要ではなくなった患者は、地域の中小病院・クリニックへの逆紹介を進めていく必要があります(関連記事はこちらこちらこちら)。

700床以上の病院では、医業収益に占める材料費の割合が32.5%に

 さらに2016年6月における100床当たりの収支に目を移すと、総収益は1億9413万9000円で、前年同月に比べて2.4%増加しています。一方、総費用は2億650万1000円で0.9%減少しましたが、依然として1236万2000円の赤字となっています。

 収益の内訳を見ると、▼入院収入:1億2583万8000円(同3.0%増)▼外来収入:5708万9000円(同3.1%増)―などです。

 一方、費用の内訳は、▼給与費:1億415万6000円(同3.8%増)▼材料費(医薬品・医療材料):5201万9000円(同6.1%増)▼委託費:2949万6000円(同0.4%減)▼減価償却費1364万6000円(同5.0%増)―などとなっています。材料費のうち医薬品費をみると、3059万5000円で、前年同月に比べて5.8%増加しています。また、病床規模別に「材料費の医業収益に対する割合」を見ると、700床以上では32.5%(同1.5ポイント増)となっています。日病・公私病連に加盟する病院は急性期病院が多く、スタッフ確保や高額な医薬品・医療機器購入に苦労している状況が伺えます。

100床当たりの収支状況の経年変化

100床当たりの収支状況の経年変化

 

 また黒字病院と赤字病院の比率を見ると、2016年は黒字27.1%、赤字72.9%となりました。赤字病院の比率は、前年に比べて1.4ポイント増加しています。

入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科13万9900円、小児外科11万4800円

 最後に、主な診療科別の入院患者1人1日当たり診療収入を見ると、DPC病院では▼総数:5万8700円(同2400円増)▼内科:4万7900円(同2300円増)▼呼吸器内科:4万3500円(同1500円増)▼循環器内科:8万9000円(同3800円増)▼消化器内科:4万8700円(同900円増)▼皮膚科:3万8700円(同900円増)▼小児科:6万4100円(同1500円増)▼外科:6万5200円(同1000円増)▼呼吸器外科:9万1800円(同2400円増)▼心臓血管外科:13万9900円(同4200円増)▼消化器外科:7万4500円(同4700円増)▼整形外科:5万7900円(同2700円増)▼小児外科:11万4800円(同8800円増)▼リハビリ科:3万7100円(同2000円増)▼麻酔科:7万6700円(同1万8500円増)―などとなっています。診療報酬改定の効果や、在院日数の短縮により単価が上昇している状況が伺えます。

診療科別に見た、入院患者1人1日当たりの診療収入(その1)

診療科別に見た、入院患者1人1日当たりの診療収入(その1)

診療科別に見た、入院患者1人1日当たりの診療収入(その2)

診療科別に見た、入院患者1人1日当たりの診療収入(その2)

    
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