Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ zero

求職中の看護職、大病院では「看護内容」重視―日看協

2018.2.7.(水)

 求職中の看護職が重視する勤務条件は、医療機関の病床規模が大きいほど「看護内容」である割合が高く、病床規模が小さいほど「勤務時間」である割合が高い―。

 日本看護協会(日看協)が1月31日に公表した「平成28年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析報告書」では、求職者のこうした傾向が明らかになっています(日看協のサイトはこちら、関連記事はこちら)。医療機関や介護施設が看護職を募集する際の参考になりそうです。

ナースセンター登録者6.6万人の希望を分析

 都道府県看護協会では、各都道府県から「都道府県ナースセンター」としての指定を受け、看護職への無料職業紹介事業などを実施しています。日看協では今般、2016年度にナースセンターに登録した求職中の看護職の希望条件などを、報告書として取りまとめています。

 ナースセンターに登録した看護職は6万6485人で、年齢階級別にみると、▼24歳以下が1883人(登録者の2.8%)▼25-29歳が5910人(同8.9%)▼30-34歳が7327人(同11.0%)▼35-39歳が9743人(同14.7%)▼40-44歳が1万1464人(同17.2%)▼45-49歳が1万750人(同16.2%)▼50-54歳が8061人(同12.1%)▼55-59歳が5349人(同8.0%)▼60歳以上が5980人(同9.0%)―といった状況です(ほか「年齢不明」が18人)。

 また、希望する雇用形態は、3万8126人(57.3%)が常勤、2万1865人(32.9%)が非常勤、6467人(9.7%)が臨時雇用となっています。

20-30歳代は病院、40-50歳代は無床診、60歳以上はデイでの勤務を希望

 まず、常勤希望者の希望施設(複数回答)は、▼500床以上の病院:12.0%▼200-499床の病院が19.4%▼199床以下の病院が21.3%▼有床診療所が10.2%▼無床診療所が18.2%▼訪問看護ステーションが5.7%▼介護老人保健施設(以下、老健)が6.8%▼介護老人福祉施設(以下、特養)が6.5%▼デイサービス・デイケアセンターが7.6%―などとなっています。

 これに対して非常勤希望者では、▼500床以上の病院が9.6%(常勤希望者と比べて2.4ポイント低い)▼200-499床の病院が16.3%(同3.0ポイント低い)▼199床以下の病院が19.8%(同1.5ポイント低い)―と、病院への就職を希望する割合が常勤希望者と比べて低く、▼有床診療所が10.8%(同0.7ポイント高い)▼無床診療所が26.3%(同8.1ポイント高い)▼訪問看護ステーションが6.7%(同1.0ポイント高い)▼老健が8.7%(同2.0ポイント高い)▼特養が8.0%(同1.5ポイント高い)▼デイサービス・デイケアセンターが15.3%(同7.7ポイント高い)―などで、無床診療所への就職を希望する割合が特に高い状況です。

 また、求職者の希望施設を年齢階級別に見ると次のとおりで、▼20-30歳代では病院勤務を希望する割合が高い▼40-50歳代では無床診療所勤務を希望する割合が高い▼60歳以上ではデイサービス・デイケアセンター勤務を希望する割合が高い―ことが分かりました。

▼20歳代では、▽200-499床の病院(22.2%)▽199床以下の病院(21.0%)▽500床以上の病院(15.2%)▽無床診療所(14.2%)▽有床診療所(8.1%)▽デイサービス・デイケアセンター(5.0%)▽訪問看護ステーション(2.6%)―などの順に希望者が多い

▼30歳代では、▽199床以下の病院(22.2%)▽200-499床の病院(21.8%)▽500床以上の病院(14.2%)▽無床診療所(19.9%)▽有床診療所(11.2%)▽デイサービス・デイケアセンター(7.9%)▽訪問看護ステーション(5.3%)―などの順に希望者が多い

▼40歳代では、▽無床診療所(23.6%)▽199床以下の病院(21.8%)▽200-499床の病院(18.3%)▽有床診療所(11.6%)▽500床以上の病院(10.7%)▽デイサービス・デイケアセンター(10.4%)▽訪問看護ステーション(7.5%)―などの順に希望者が多い

▼50歳代では、▽無床診療所(20.0%)▽199床以下の病院(15.5%)▽デイサービス・デイケアセンター(12.4%)▽200-499床の病院(10.9%)▽有床診療所(8.2%)▽訪問看護ステーション(6.1%)▽500床以上の病院(5.9%)―などの順に希望者が多い

▼60歳以上では、▽デイサービス・デイケアセンター(15.4%)▽無床診療所(12.9%)▽199床以下の病院(8.0%)▽200-499床の病院(4.5%)▽有床診療所(4.2%)▽訪問看護ステーション(3.8%)▽500床以上の病院(1.9%)―などの順に希望者が多い
 

「平成28年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析報告書」を基に作成

「平成28年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析報告書」を基に作成

 
「平成28年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析報告書」を基に作成

「平成28年度ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析報告書」を基に作成

 

希望施設によって勤務条件のトップ3が変わる

 次に、「求職者が重視する勤務条件」(1人3つまで回答)を見ると、常勤希望者には「給与」を重視する人が多いのに対し、非常勤希望者では8割超が「勤務時間」を重視しています。

▼常勤希望者が重視する勤務条件として選んだ項目は「給与」(回答者した常勤希望者の63.1%)が最多で、以下は「勤務時間」(同60.6%)、「看護内容」(同45.0%)、「通勤時間」(41.6%)、「休暇」(39.1%)などと続く

▼非常勤希望者が重視する勤務条件として選んだ項目は、「勤務時間」(回答者した非常勤希望者の84.0%)が最多で、以下は「通勤時間」(同56.3%)、「看護内容」(同41.9%)、「給与」(同33.7%)、「休暇」(同32.4%)などと続く

 また、重視する勤務条件を希望する施設別に見ると、▼希望する勤務先にかかわらず、「勤務時間」を重視する人が多い▼200床以上の病院希望者では、「看護内容」を重視する人の割合が高い―といったことが分かります。

▼500床以上の病院希望者では、▽勤務時間(64.3%)▽給与(52.8%)▽看護内容(45.4%)▽通勤時間(40.3%)▽休暇(35.8%)―などの順に多い

▼200-499床の病院希望者では、▽勤務時間(65.7%)▽給与(51.8%)▽看護内容(44.4%)▽通勤時間(43.1%)▽休暇(36.6%)―などの順に多い

▼199床以下の病院希望者では、▽勤務時間(68.1%)▽給与(52.3%)▽通勤時間(45.7%)▽看護内容(43.2%)▽休暇(36.9%)―などの順に多い

▼有床診療所希望者では、▽勤務時間(72.8%)▽給与(52.8%)▽通勤時間(48.0%)▽看護内容(41.4%)▽休暇(38.2%)―などの順に多い

▼無床診療所希望者では、▽勤務時間(77.1%)▽通勤時間(50.9%)▽給与(49.1%)▽看護内容(41.4%)▽休暇(37.4%)―などの順に多い

▼訪問看護ステーション希望者では、▽勤務時間(70.3%)▽給与(55.1%)▽看護内容(45.5%)▽通勤時間(44.0%)▽休暇(38.4%)―などの順に多い

▼老健希望者では、▽勤務時間(70.7%)▽給与(52.5%)▽通勤時間(50.0%)▽看護内容(43.8%)▽休暇(38.8%)―などの順に多い

▼特養希望者では、▽勤務時間(70.1%)▽給与(51.7%)▽通勤時間(50.9%)▽看護内容(43.9%)▽休暇(39.8%)―などの順に多い

▼デイサービス・デイケアセンター希望者では、▽勤務時間(77.2%)▽通勤時間(52.0%)▽給与(45.0%)▽看護内容(43.4%)▽休暇(37.3%)―などの順に多い

病床規模大きいほど希望する給与額高く

 常勤希望者の希望給与月額(総支給額)は、平均で▼500床以上の病院:25万7791円▼200-499床の病院:25万6835円▼199床以下の病院:25万2291円▼有床診療所:24万6242円▼無床診療所:24万68円―といった状況で、病床規模が大きいほど、希望する給与額が高くなっています。

 ほか、▼訪問看護ステーション:25万4370円▼老健:24万5523円▼特養:24万6271円▼デイサービス・デイケアセンター:23万6772円―などで、訪問看護ステーション希望者は、病院と同様の給与水準を希望していることが分かります。
 

希望する施設によって、希望給与月額も異なる

希望する施設によって、希望給与月額も異なる

 
病院ダッシュボードχ zeroMW_GHC_logo

【関連記事】

看護協会の無料職業紹介事業で、2016年度に看護職1.2万人が就職 ―日看協
不適切な人材紹介会社の情報、都道府県に提供を―厚労省
ナースセンター強化し、医療施設の看護職員採用コスト低減を―日医総研
看護師らの人材紹介、2018年1月の法改正後の動向に注目すべき―日医総研
2018年度改定で、医療従事者の常勤・専従要件を大幅に緩和せよ―四病協
単月では病院経営は改善しているかに見えるが、2016年度改定後に赤字病院が増加―日病
医師の地域偏在は拡大、9割超の病院で医師確保は大学医局に依存―日病調査

「専従」要件の弾力運用、非常勤リハビリスタッフの「常勤換算」を認める―中医協総会 第378回
非常勤医師を組み合わせて「常勤」とみなす仕組みを拡大へ—中医協総会(2)