Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

特定行為研修を包含した新認定看護師を2020年度から養成、「特定認定看護師」を名乗ることも可能―日看協

2018.11.29.(木)

 「認定看護師」について、特定行為研修を包含した新たな仕組みとし、2020年度から新カリキュラムによる養成を開始する。このため、新たな「認定看護師」は『特定認定看護師』と名乗ることも可能となる。また現行の認定看護師は、特定行為研修の修了によって「新たな認定看護師」に移行することも、「現行の認定看護師」のまま資格更新することも可能である―。

 日本看護協会は11月26日に、このような「新たな認定看護師制度」の制度設計について発表しました。新制度に基づく看護師個人の認定審査は2021年度から行われ、また「特定行為研修を修了した現行の認定看護師が、新制度の認定看護師へ移行する」手続きも、同じく2021年度から行われます(日看協のサイトはこちら)。

特定行為研修を包含するため「特定認定看護師」を名乗ることも可能

日看協は、看護の質向上を目指し(1)専門看護師(2)認定看護師(3)認定看護管理者―という3つの独自資格を設けています。このうち(2)の認定看護師は、「特定の看護分野で熟練した看護技術と知識を有していると認められた看護師」と定義され、今年(2018年)7月時点で延べ1万9894名が登録されています。

ところで、厚生労働省は、一定の研修(特定行為研修)を修了した看護師について、医師・歯科医師の包括的指示の下で一定の医行為(特定行為)を実施できる仕組みを設けています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

そこで日看護では、認定看護師制度についても「特定行為研修を活用した新たなカリキュラム」とし、高度な臨床実践能力を発揮し、在宅医療をはじめとする、あらゆる場に対応できる看護師を育成する仕組みへと昇華させることを決定したものです。

「新たな認定看護師」の役割は、従前どおり「実践」「指導」「相談」の3点ですが、次のように、より高い能力を目指します。

▼実践:特定の看護分野において、個人・家族・集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術・知識を用いて水準の高い看護を実践する
▼指導:特定の看護分野において、看護実践を通して看護職に対し指導を行う
▼相談:特定の看護分野において、看護職等に対しコンサルテーションを行う

こうした役割を果たせるよう、学習内容に▼多職種協働▼特定の看護分野における役割モデル(看護職者へ指導、看護職等へのコンサルテーション・相談)▼高い臨床推論力・病態判断力▼倫理▼地域医療への理解▼急性期・エンドオブライフにおける病態を理解したケアの実践―といった項目を追加。具体的なカリキュラムの中に、「各分野で必要と考えられる特定行為区分(全ての認定看護師の実践で必要となる「栄養および水分管理に係る薬剤投与関連」を必須)」を組み込むことになります。このように、「新たな認定看護師」は、特定行為研修を修了することになるので、『認定看護師』を名乗るほか、『特定認定看護師』を名乗ることも可能となります。

「新たな認定看護師」として認定されるためには、「認定看護師教育機関」で所定のカリキュラムを受講(総教育時間数は800-1000時間)した上で、日本看護協会の審査を受けることが必要です。

新たなカリキュラムによる養成は2020年度から始まり(このため教育機関の認定は2019年度からスタート)、2021年度から「新たな認定看護師」が誕生することになります。

また「現行の認定看護師」と「新たな認定看護師」との関係については、次のように整理されています。
▼「現行の認定看護師」は、特定行為研修を修了することで「新たな認定看護師」へ移行できる
▼すでに特定行為研修を修了した「現行の認定看護師」は、事務手続きのみで「新たな認定看護師」へ移行できる
▼「現行の認定看護師」のまま、資格更新を続けることもできる(必ずしも「新たな認定看護師」に移行しなければならないわけではない)
▼「現行の認定看護師」の新規認定は2029年度で終了する
新認定看護師制度 181126の図表
 
これに伴い「新たな認定看護師」については分野の見直しも行われ、「19分野」となります。ただし「現行の認定看護師」についても更新が継続されるため、認定看護師は合計で以下の「31分野」となります。

【新たな認定看護師】の分野

●2020年度以降、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育を開始する10分野
▽がん薬物療法看護(現行の「がん化学療法看護」から名称変更)
▽生殖看護(現行の「不妊症看護」から名称変更)
▽在宅ケア(現行の「訪問看護」から名称変更)
▽呼吸器疾患看護(現行の「慢性呼吸器疾患看護」から名称変更)
▽心不全看護(現行の「慢性心不全看護」から名称変更)
▽脳卒中看護(現行の「脳卒中リハビリテーション看護」から名称変更)
▽腎不全看護(現行の「透析看護」から名称変更)
▽摂食嚥下障害看護(現行の「摂食・嚥下障害看護」から名称変更)
▽小児プライマリケア(現行の「小児救急看護」から名称変更)
▽クリティカルケア(現行の「救急看護」と「集中ケア」を統合)

●現行の認定看護師教育を2026年まで実施し、かつ、2020年度以降、特定行為研修を組み込んだ新たな認定看護師教育を開始する9分野
▽緩和ケア(現行の「緩和ケア」と「がん性疼痛看護」を統合)
▽認知症看護
▽手術看護
▽糖尿病看護
▽皮膚・排泄ケア
▽感染管理
▽がん放射線療法看護
▽乳がん看護
▽新生児集中ケア

●現行の認定看護師教育を2026年まで実施する12分野(ただし、個人の資格については永続的に更新が可能)
▽がん性疼痛看護(新たな「緩和ケア」に統合)
▽救急看護(新たな「クリティカルケア」に統合)
▽集中ケア(新たな「クリティカルケア」に統合)
▽がん化学療法看護(新たな「がん薬物療法看護」へ名称変更)
▽不妊症看護(新たな「生殖看護」へ名称変更)
▽訪問看護(新たな「在宅ケア」へ名称変更)
▽慢性呼吸器疾患看護(新たな「呼吸器疾患看護」へ名称変更)
▽慢性心不全看護(新たな「心不全看護」へ名称変更)
▽脳卒中リハビリテーション看護(新たな「脳卒中看護」へ名称変更)
▽透析看護(新たな「腎不全看護」へ名称変更)
▽摂食・嚥下障害看護(新たな「摂食嚥下障害看護」へ名称変更)
▽小児救急看護(新たな「小児プライマリケア」へ名称変更)

 
 なお、新カリキュラムについては、素案が公表されており現場の意見(12月9日まで募集)を踏まえて、修正・確定することになります((日看協のサイトはこちら)。

 
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

認定看護師は1万8728名、認知症看護では1000名を突破―日看協
認定看護師は1万7443名、高齢者と家族を支える認定看護師の活躍に期待―日看協
専門・認定看護師など2万人を突破、認知症看護認定看護師は653名に―日看協
専門看護師、2016年末で11分野1883人に―日看協
長期的視点に立ち、専門・認定看護師を育成する施設を診療報酬改定で評価

看護師の特定行為研修、「在宅」や「周術期管理」等のパッケージ化を進め、より分かりやすく―看護師特定行為・研修部会
感染管理など、特定看護師配置を診療報酬算定の要件にできないか検討を—神野・全日病副会長

看護師に特定行為研修を実施する機関、34都道府県・69機関に―厚労省

看護師の行う特定行為「気管挿管」「抜管」を除く38行為に―15年10月から研修開始、医道審部会
特定行為研修、厚労省が詳細を通知―10月施行に向け

「看護師の特定行為」実施の拡大に向けて、日看協に全面協力―日慢協・武久会長
「特定行為研修を修了した看護師」のスキルアップ・地位向上に向けた協会を設立―日慢協・武久会長

特定行為研修の指定研修機関充実、研修期間中の代替職員確保などを検討せよ―日看協