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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

抗菌薬「セファゾリン」の供給に支障、厚労省が代替薬リストを作成・公表

2019.4.8.(月)

 抗菌薬である「セファゾリン」の供給に一時的に支障が出る可能性があることから、医療機関等では代替薬リストを参照し、関係部門で十分に情報共有をしてほしい―。

 厚生労働省は3月29日に事務連絡『セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について』を発出し、医療現場に注意を促しました(厚労省のサイトはこちら)。

厚労省と国立国際医療センターで「代替薬リスト」を作成

 セファゾリンナトリウムは、セファゾリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌などによる▼敗血症▼感染性心内膜炎▼表在性皮膚感染症▼深在性皮膚感染症▼リンパ管・リンパ節炎▼外傷・熱傷及び手術創等の二次感染▼乳腺炎▼骨髄炎▼関節炎▼咽頭・喉頭炎―など、さまざまな感染症の治療に用いられます。

今年(2019年)2月に、後発医薬品メーカーの日医工社から、セファゾリンナトリウム注射用0.25g「日医工」・同0.5g「日医工」・同1g「日医工」・同2g「日医工」について「原薬入荷および製造等の問題により製品供給に支障を来す」ことが報告されました。厚労省は同社へ供給再開に努めるよう求め、また同種同効品を供給する製薬メーカーへ生産増強等を求めていますが、「一時的に供給が不足する」可能性のあることが判明しています。

こうした事態を受け、厚労省は国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターと協力し、既存の診療ガイドライン等を踏まえた【代替薬リスト】を作成・公表しました。

多くの医療機関で広範に使用されている医薬品であり、▼各診療部門▼感染制御部門▼抗菌薬適正使用支援部門―などで、十分な情報共有が待たれます。

◆事務連絡(代替薬リストを掲載)はこちら

 
●周術期予防抗菌薬(セファゾリンを選択する術式の代替薬)

【脳神経外科】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌

【耳鼻咽喉科】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)
※口腔内切開を伴う場合は嫌気性菌をカバーするためクリンダマイシン、アンピシリン・スルバクタムを選択
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、口腔内嫌気性菌、レンサ球菌

【心血管外科(心臓、血管)】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌

【胸部外科(肺、気管)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:口腔内嫌気性菌、レンサ球菌

【乳腺外科】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌

【上部消化管外科(食道、胃、空腸)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして上記から選択
▽対象となる細菌:大腸菌、肺炎桿菌

【消化器外科(肝、胆嚢、胆管、膵)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして上記から選択
▽対象となる細菌:腸内細菌科細菌

【婦人科】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして左欄から選択
▽対象となる細菌:腸内細菌科細菌、Bacteroides fragilisグループ

【泌尿器科】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼アミノグリコシド系薬(エクサシン注射液、アミカマイシン注射液、ゲンタシン注、トブラシン注、ハベカシン注射液、パニマイシン注射液、ほか多数)▼シプロフロキサシン(注射・経口)(シプロキサン注、シプロキサン錠、ほか後発品多数)▼レボフロキサシン(注射・経口)(クラビット点滴静注、クラビット錠、ほか後発品多数)
※大腸菌の薬剤耐性が増加しているため、自院や地域のアンチバイオグラムを参考にして上記から選択
▽対象となる細菌:腸内細菌科細菌

【整形外科(脊椎手術、人工骨頭置換術など)】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌

 
●治療用抗菌薬(一般にセファゾリンを用いることが多いと考えられるもの)

【黄色ブドウ球菌(MSSA)菌血症】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)▼ダプトマイシン(キュビシン静注用)
※これらによる治療成績はセファゾリンに劣るか十分なエビデンスがないため、セファゾリンを優先的に使用
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌

【軟部組織感染症(蜂窩織炎、丹毒など)】
▽代替薬例:▼アンピシリン・スルバクタム(ユナシン−S静注用、ほか後発品あり)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼アモキシシリン・クラブラン酸(経口)(オーグメンチン配合錠、クラバモックス小児用配合ドライシロップ)▼セファレキシン(経口)(ケフレックスシロップ用細粒、ケフレックスカプセル、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(経口)(ダラシンカプセル)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌、レンサ球菌

【急性骨髄炎、化膿性関節炎】
▽代替薬例:▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼クリンダマイシン(ダラシンS注射液、ほか後発品多数)▼バンコマイシン(塩酸バンコマイシン点滴静注用、ほか後発品多数)▼リネゾリド(ザイボックス注射液、ほか後発品多数)▼ダプトマイシン(キュビシン静注用)
▽対象となる細菌:黄色ブドウ球菌

【尿路感染症(急性腎盂腎炎)】
▽代替薬例:▼セフォチアム(ハロスポア静注用、パンスポリン静注用、ほか後発品あり)▼セフメタゾール(セフメタゾン静注用、ほか後発品多数)▼フロモキセフ(フルマリン静注用)▼セフォタキシム(クラフォラン注射用、セフォタックス注射用)▼セフトリアキソン(ロセフィン静注用、ほか後発品多数)▼アミノグリコシド系薬(エクサシン注射液、アミカマイシン注射液、ゲンタシン注、トブラシン注、ハベカシン注射液、パニマイシン注射液、ほか多数)▼シプロフロキサシン(注射・経口)(シプロキサン注、シプロキサン錠、ほか後発品多数)▼レボフロキサシン(注射・経口)(クラビット点滴静注、クラビット錠、ほか後発品多数)▼ST合剤(経口)(バクタ配合錠、ダイフェン配合錠、バクトラミン配合錠)
▽対象となる細菌:大腸菌

  
ただし、▼本来の推奨薬とは限らない薬剤も含まれる▼本リストに掲載されていない薬剤が不適切とは限らない▼記載順は推奨順ではない▼もともとセファゾリンの使用が推奨されていない場合(例:消化管を利用した尿路変更術を伴う膀胱摘除術での周術期予防投与)は、ガイドライン等を参照して抗菌薬を選択する▼必ず添付文書や各種ガイドラインを確認する(周術期予防抗菌薬に関する総合的なガイドラインとして「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」(日本化学療法学会/日本外科感染症学会)を参照)―ことなどにご留意ください。

 
 
 
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