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糖尿病性腎症の重症化予防に向け、自治体向けの具体的な事業の手引きを作成―厚労省

2019.4.24.(水)

 厚生労働省は4月19日に、糖尿性腎症の重症化予防を積極的に推進するため、▼手引き▼パンフレット▼ポスター―を作成し、公表しました(厚労省のサイトはこちら(手引き)こちら(パンフ)こちら(ポスター))。

 各自治体が、この手引き等を参考にして重症化要望に積極的に取り組むことが期待されます。

重症化予防に向けた下準備として、「対象者の把握」や「関係者との連携体制構築」を

 2017年の「国民健康・栄養調査」結果によれば、男性の18.1%、女性の10.5%で「糖尿病が強く疑われる」状況です。しかし、治療薬を服薬している人は、男性では56.2%、女性では51.1%にとどまります(関連記事はこちら)。

 糖尿病でも、初期段階では自覚症状が乏しいことから、医療機関にかかっていなかったり、受診しても治療を中断してしまう傾向にあります。適切な治療を行わなければ糖尿病は進行し、最終的には「人工透析」が必要となります。こうなれば患者本人のQOLが著しく低下するとともに、医療費も高額(1人当たり月額約40万円、国民全体では年間1兆5800万円)になります。

このため厚労省は、糖尿病性腎症の重症化を予防する必要性を強く訴え、例えば▼「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」の策定▼日本医師会および日本糖尿病対策推進会議との「重症化予防に係る連携協定」の締結▼「腎疾患対策検討会報告書—腎疾患対策の更なる推進を目指して―」の取りまとめ―などを実施(関連記事はこちらこちら)。さらに▼長野県松本市▼埼玉県および埼玉県所沢市・志木市▼東京都足立区―において、国民健康保険による糖尿病性腎症重症化予防の先進事例を調査・分析した結果も報告しています(関連記事はこちら)。

こうした先進事例を参考にして、各自治体で取り組みを進めることが求められますが、自治体サイドからは「どのように取り組めばよいのかが分からない」との声も出ているため、今般、具体的な手引き等を作成したものです。

重症化予防に向けた取り組みは、(1)事業の下準備(2)受診勧奨(3)保健指導(4)事業の振り返り―の大きく4つに分解できます。それぞれ多数の重要項目があるため、ポイントを絞って概要のみ眺めてみましょう。

まず(1)の下準備では、国保データベース(KDB)等を活用して、糖尿病性腎症の対象者が何人程度なのかを把握し、次いで「事業の目標」を設定します。
糖尿病性腎症重症化予防の手引き2 190419
 
後者の目標は、(4)の事業の振り返り(評価)をする際の指標となる重要なものです。具体的には、▼生活習慣の改善に関する目標の設定(肥満者の減少、糖尿病治療継続者の増加、適度な身体活動を行う者の増加など) → ▼危険因子の低減に関する目標の設定(高血圧者の減少、糖尿病コントロール不良者の減少、高コレステロール血症者の減少など) → ▼最終目標の決定(糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少)―というロジックで設定していくことを厚労省は推奨しています。
糖尿病性腎症重症化予防の手引き1 190419
 
なお、対象者の設定に当たっては「糖尿病未治療の人、治療を中断している人」が最重要とし、目標と照らして優先順位をつけることが求められます。

 さらに、下準備としては「連携体制」を構築しておくことも重要です。▼地域の中核的医療機関の専門医▼糖尿病療養指導士(看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士を対象とした、糖尿病について高度で幅広い専門知識を持ち、患者のセルフケアを支援するための資格)▼腎臓病療養指導士(看護師、管理栄養士、薬剤師を対象とし、慢性腎臓病の療養指導に関する基本知識を有した人を育てるための資格)▼栄養士会などの職能団体―など、幅広い関係者との連携を、地域の実情に合わせて構築していくことが求められます。さらに自治体内で、部門を超えた連携体制を構築することも必要です。
糖尿病性腎症重症化予防の手引き3 190419
 
 なお、外部事業者に事業委託することも可能ですが、その場合でも自治体が「全体のプロセスをコントロールし、実施主体としての役割を果たすことが不可欠」と厚労省は注意喚起しています。

対象者把握や事業評価にあたりKDB活用が有用、国保連からの支援も

(2)の受診勧奨では、対象者のタイプによって次のように手法を考えることが必要でしょう。

▽糖尿病性腎症の基準該当者
・健診結果通知時に「糖尿病性腎症であり医療機関の受診が必要であること」を確実に電話等で説明し(文書だけの通知は好ましくない)、食事や運動などの自己管理の必要性を伝える

▽糖尿病の基準該当者
・健診結果通知時に「医療機関受診が必要である」旨を伝える

▽糖尿病治療中の者(医療機関に受診している)
・自治体とかかりつけ医と連携した保健指導を実施

▽過去に糖尿病治療を受けていたが、治療を中断してしまった者
・HbA1c値などの状況を確認し、必要に応じて受診勧奨を行う
糖尿病性腎症重症化予防の手引き4 190419
 
 なお、受診中断等を防止するために「定期的に患者に電話連絡をし、受診時の様子を聞き取り、継続受診を後押しする」ことが必要です。その際、受診継続のハードルを見つけ、対象者と一緒に解消策を見つける(例えば多忙で通院が困難な場合には、診療時間や立地条件を考慮して通いやすい医療機関を一緒に探すなど)ことも重要となります。

 
 また(3)の保健指導については、事業予算を勘案し、▼電話等による指導▼個別面談▼訪問指導▼集団指導―を、どの対象者に、何回程度実施するのかを勘案することが必要です。また、「対象者が頑張りすぎないように注意する」「薬物治療継続中の患者では、生活習慣改善の強化で低血糖を起こしやすくなることに注意する」ことにも留意が必要です。
糖尿病性腎症重症化予防の手引き5 190419
 
 さらに事業を継続するうえでは、目標に照らして事業実績を評価し、事業内容を改善していくことが重要です(4)。評価に当たっては、▼ストラクチャー(構造)▼プロセス(過程)▼アウトプット(実施量)▼アウトカム(効果)―の各視点があり、例えば次のようなものです。

▽ストラクチャー(構造)評価
・庁内や関係機関との連携体制の構築ができたか、予算・人材の確保はできたか、連携する医療機関のリストアップはできたか、などを評価する

▽プロセス(過程)評価
・実施担当者チームの中で役割を決め進捗は順調であったか、計画どおりに行えたかどうか、などを評価する

▽アウトプット(実施量)評価
・実際に受診勧奨、保健指導を行った割合(実施率)などを評価する

▽アウトカム(効果)評価
・「医療機関受診につながった割合」「対象者の保健指導前後の検査値変化(体重、BMI、血圧、血糖、脂質、腎機能等)」「腎症病期の移行」などを評価する
糖尿病性腎症重症化予防の手引き6 190419

なお、KDBは事業評価にも活用できますが、小規模な町村ではKDBの利活用が困難なケースも考えられます(スタッフ不足など)。この点、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)では市町村や広域連合への具体的事業支援を行っており、(1)の「対象者の抽出」や(4)の「事業評価」について必要な相談、支援を受けることができる旨を厚労省は強調しています。

 
 

 

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