Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages

心臓や肺の臓器移植希望者はさらに増加、移植後成績は多くの臓器で向上傾向―厚労省

2020.6.23.(火)

今年(2020年)3月31日時点で臓器移植を待っている人は、心臓804名、肺383名、肝臓303名、腎臓1万2559名、膵臓45名などとなっている一方、2019年度における脳死者からの臓器提供は94名にとどまっている―。

移植後患者の生存率と臓器の生着率は、多くの臓器で向上傾向にある―。

加藤勝信厚生労働大臣は6月16日に、こういった「臓器移植の実施状況等に関する報告」を参議院厚生労働委員会に宛てて行いました(厚労省のサイトはこちら)。

移植待ち患者、心臓804名、肺383名、肝臓303名、腎臓1万2559名に増加

1997年の臓器移植法制定に際し、国会(参議院)は「厚生労働大臣は、参議院厚生労働委員会で臓器移植等の実施状況を報告する」旨の附帯決議を行いました(附帯決議とは、政府に努力義務を課すもの)。これに基づき、厚労相は毎年、臓器移植の実施状況を国会に報告しています(前年の関連記事はこちら、前々年の関連記事はこちら)。

今年(2020年)3月31時点の臓器移植希望登録者数を見ると、日本全国では次のような状況です。
▼心臓:804名(前年(2019年)3月末に比べて72名増加)
▼肺:383名(同35名増加)
▼心肺同時[心臓と肺を同時に移植]:5名(同2名増加)
▼肝臓:303名(同5名減少)
▼腎臓:1万2559名(同504名増加)
▼肝腎同時[肝臓と腎臓を同時に移植]:37名(同15名増加)
▼膵臓:45名(同4名増加)
▼膵腎同時[膵臓と腎臓を同時に移植]:161名(同11名減少)
▼小腸:3名(同2名増加)
▼肝小腸同時[肝臓と小腸を同時に移植]:1名(同増減なし)
▼眼球(角膜):1591名(同22名減少)

腎臓移植を待つ患者が大きく増加していますが、前年には「対前年に比べて大きく減少」しており、さらに継続した状況調査が必要です。



一方、臓器提供の状況を見てみると、2019年度には94名の脳死者から臓器提供が行われました(前値度から24名増加)。心停止後の提供を含む臓器別の提供件数・移植実施件数は次のようになっています。移植希望者に比べて、提供される臓器は依然として少なく、「臓器移植提供意思表示カードを含めた移植医療の普及啓発」をさらに進めるとともに、「人工臓器の開発」「再生医療の開発」なども待たれます。

▽心臓:提供は80名(前年度に比べて18名増加)、移植実施は79件(前年度比17件増)[うち脳死者からの提供が80名、脳死者からの移植実施は79件]

▽肺:提供は62名(同14名増加)、移植実施は77件(同17件増加)[同62件、77件](1つの肺を複数の肺葉に分けて複数人に移植することが可能なケースがあり、提供者数よりも移植実施件数が多くなることがある]

▽肝臓:提供は81名(同20名増加)、移植実施は87件(同13件増加)[同81名、87件](1つの肝臓を切り分けて複数人に移植できるケースもあり、提供者数よりも移植実施件数が多くなることがある]

▽腎臓:提供は111名(同12名増加)、移植実施は216件(同24件増加)[同85名、166件](死者からの提供であれば、1人から2つの腎臓を摘出し、2名のドナーに提供できるケースもあり、提供者数よりも移植実施件数が多くなることがある]

▽膵臓:提供は37名(同3名減少)、移植実施は37件(同3件減少)[同37名、37件]

▽小腸:提供は4名(同1名増加)、移植実施は4件(同1件増加)[同4名、4件]



また、臓器移植法施行(1997年10月16日)から今年(2020年)3末までに実施された臓器別の提供件数・移植実施件数(合計数)は次のようになっています。

▽心臓:提供は532名(前年末に比べて80名増加)、移植実施は531件(同79件増加)[うち脳死者からの提供が532名、脳死者からの移植実施は531件]

▽肺:提供は446名(同62名増加)、移植実施は544件(同77件増加)[同446名、544件]

▽肝臓:提供は571名(同81名増加)、移植実施は610件(同87件増加)[同571名、610件]

▽腎臓:提供は2089名(同111名増加)、移植実施は3905件(同216件増加)[同629名、1235件)

▽膵臓:提供は417名(同37名増加)、移植実施は414件(同37件増加)[同413名、411件]

▽小腸:提供は21名(同4名増加)、移植実施は21件(同4件増加)[同21名、21件]



なお、眼球(角膜)については、2019年度に725名から提供がなされ(前年度に比べて5名増加)、移植実施は1207件(同52件増加)となりました。臓器移植法施行からの累計で見ると、提供者は2万694名(同725名増加)で、移植実施は3万3474件(同1207件増加)となっています。

臓器移植の実施状況 200616

2010年から実施可能となった「15歳未満の小児」からの臓器提供、累計で38名に

ところで、2010年には改正臓器移植法が全面施行され、▼「家族による書面での承諾」に基づく臓器提供▼「15歳未満の小児」からの臓器提供―などが可能となっています。改正法施行(2010年7月17日)から今年(2020年)3月末までに臓器提供が行われた脳死者は596名(前年(2019年)3月末から94名増加)で、このうち、本人の書面による意思表示がなく「家族の書面での承諾」に基づく臓器提供は469名(同75名増加)となっています。

また、今年(2020年)3月末時点で、18歳未満の人からの脳死下での臓器提供は48名(前年(2019年)3月末から14名増加)、うち15歳未満の小児は38名(同11名増加)です。

移植した臓器の生着率や患者の生存率、多くの臓器で向上傾向

さらに、1997年の臓器移植法施行後からの▼移植後の生存率▼臓器の生着率(体内で機能している)―を見てみましょう。昨年(2019年)末までに移植が実施され、今年(2020年)3月末までに生存している人、臓器が生着している人の状況です。

まず5年生存率を臓器別に見ると、次のような状況です。
▼心臓:93.0%(前年度調査に比べて0.5ポイント向上)
▼肺:72.1%(同1.3ポイント低下)
▼肝臓:83.1%(同1.1ポイント向上)
▼腎臓:91.2%(同0.1ポイント向上)
▼膵臓:94.7%(同0.2ポイント低下)
▼小腸:70.3%(同2.9ポイント低下)

肺・膵臓・小腸の移植患者で、生存率が低下してしまいました。

また5年生着率(移植した臓器が機能している割合)を臓器別に見ると、次のようになりました。
▼心臓:93.0%(同0.5ポイント向上)
▼肺:70.8%(同1.4ポイント低下)
▼肝臓:82.4%(同1.1ポイント向上)
▼腎臓:78.4%(同034ポイント向上)
▼膵臓:76.9%(同0.9ポイント向上)
▼小腸:62.4%(同2.7ポイント低下)

やはり肺・小腸の移植患者で、成績が低下してしまっています。

臓器移植後の成績 200616



なお、2015年末以降の5年生存率・5年生着率は次のように推移しています。多くの臓器で成績が向上している傾向にあると見ることができ、さらに長期的な視点で見ていくことが重要でしょう。

【5年生存率】
▽心臓
2016年末:91.0% → 2017年末:91.6% → 2018年末:91.9% → 2019年末:92.5% → 2020年末:93.0%

▽肺
2016年末:71.2% → 2017年末:73.0% → 2018年末:72.0% → 2019年末:73.4% → 2020年末:72.1%

▽肝臓
2016年末:81.1% → 2017年末:82.6% → 2018年末:83.0% → 2019年末:82.0% → 2020年末::83.1%

▽腎臓
2016年末:90.5% → 2017年末:90.9% → 2018年末:91.8% → 2019年末:91.1% → 2020年末:91.2%

▽膵臓
2016年末:94.6% → 2017年末:94.9% → 2018年末:95.3% → 2019年末:94.9% → 2020年末:93.6%

▽小腸
2016年末:69.2% → 2017年末:70.1% → 2018年末:70.7% → 2019年末:73.2% → 2020年末:70.3%

【5年生着率】
▽心臓
2016年末:91.0% → 2017年末:91.6% → 2018年末:91.9% → 2019年末:92.5% → 2020年末:93.0%

▽肺
2016年末:69.6% → 2017年末:71.2% → 2018年末:70.6% → 2019年末:72.2% → 2020年末:70.8%

▽肝臓
2016年末:80.5% → 2017年末:81.6% → 2018年末:82.8% → 2019年末:81.3% → 2020年末::82.4%

▽腎臓
2016年末:76.3% → 2017年末:77.4% → 2018年末:77.7% → 2019年末:78.1% → 2020年末:78.4%

▽膵臓
2016年末:75.3% → 2017年末:76.8% → 2018年末:75.2% → 2019年末:76.0% → 2020年末:76.9%

▽小腸
2016年末:69.2% → 2017年末:62.3% → 2018年末:62.9% → 2019年末:65.1% → 2020年末:62.4%

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

【関連記事】

心臓や肺の臓器移植希望者増加、多くの臓器で移植者の生存率・生着率も向上―厚労省
臓器移植希望者、臓器提供した脳死者ともに増加、生存率・生着率も徐々に向上―厚労省
2015年の臓器移植希望登録者、心臓と腎臓で前年に比べて100名超の増加―厚労省



免疫抑制剤の「ミコフェノール酸 モフェチル」、ループス腎炎治療での保険適用認める―厚労省
病腎移植を先進医療として承認、「医学的に妥当性なし」とのガイドライン記述を修正―厚労省
臓器移植後の長期入院、患者からの「入院料の15%」実費徴収禁止の対象に―中医協総会
抗がん剤キイトルーダ、臓器移植歴のある患者への投与は推奨されない―厚労省
直腸がん補助化学療法に用いるゼローダ、臓器移植患者の感染症予防薬のバリキサを特例保険収載―厚労省

腎臓移植を受けたが当該臓器が機能しない場合、「待機期間」の継続を認める―厚労省
腎臓移植、「血液型適合の小児レシピエント」を「血液型一致の成人レシピエント」より優先―厚労省