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D410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「2 その他」の採取検体による乳がん診断、N000【病理組織標本作製】の算定は原則不可―支払基金

2020.7.30.(木)

乳がんの診断において、D410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「2 その他」により採取した検体を用いた場合には、N000【病理組織標本作製】の算定は原則として認められない―。

社会保険診療報酬支払基金(支払基金)は7月27日に「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)」を公表し、レセプト審査上、こうした取り扱いを行うことを明確にしました(支払基金のサイトはこちら)。

切創に対し、皮膚欠損用創傷被覆材の算定は原則として認められない

レセプト請求・審査は、▼健康保険法等▼療養担当規則▼診療報酬点数表▼基本診療料・特掲診療料の施設基準▼各種解釈通知や事務連絡―に則って行われます。ただし、医学的な観点からの判断が必要なケースについては、▼診療担当代表者(医師など)▼保険者代表者▼学識者―の3者で構成される審査委員会で「点数表や療養担当規則等の考えに合致しているか。医学的に妥当か」という観点で審査が行われます。

この点、地方独自の審査ルール(都道府県ルール、例えば「山間部などでは冬期に高齢者の通院が困難になるので、薬剤の1回処方量を多くすることを認めている」「地域によって、疾患別リハビリテーションを1日6単位までしか認めない(診療報酬点数上は9単位まで算定可能)」など)の存在が知られており、これが横行すれば「全国一律の診療報酬」という大原則に反し、さらに審査の透明性が確保できなくなってしまいます(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

そこで支払基金では、審査の公平・公正性・信頼性を確保するために「審査の一般的な取扱いに関する検討委員会」「疑義対応検討委員会」を設置(2019年4月)。全国統一ルールと言える「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)」を順次、取りまとめ、公表しています。

今般、新たに次の3点の取り扱いが公表されました。ただし、支払基金では「療養担当規則等に照らし、診療行為の必要性などに係る医学的判断に基づいた審査が前提となり、公表事例に示された適否が、すべての個別診療内容に画一的・一律的に適用されるものではないことに留意する」ことを求めています。

(1)モサプリドクエン酸塩(販売名:ガスモチン錠5mg・同錠2.5mg・同散1%、ほか後発品多数)の効能・効果である「慢性胃炎に伴う症状の改善」に対し、【特定疾患処方管理加算2】の算定は認められる

【特定疾患処方管理加算2】(F100【処方料】・F400【処方箋料】の加算、1回につき66点)は、診療所・200床未満の病院において、以下の疾患を主病とする入院患者以外の患者に対して、28日以上の薬剤処方を行った場合に算定可能です。

[対象疾患]▼結核▼悪性新生物▼甲状腺障害▼処置後甲状腺機能低下症▼糖尿病▼スフィンゴリピド代謝障害およびその他の脂質蓄積障害▼ムコ脂質症▼リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症▼リポジストロフィー▼ローノア・ベンソード腺脂肪腫症▼高血圧性疾患▼虚血性心疾患▼不整脈▼心不全▼脳血管疾患▼一過性脳虚血発作および関連症候群▼単純性慢性気管支炎および粘液膿性慢性気管支炎▼詳細不明の慢性気管支炎▼その他の慢性閉塞性肺疾患▼肺気腫▼喘息▼喘息発作重積状態▼気管支拡張症▼胃潰瘍▼十二指腸潰瘍▼胃炎および十二指腸炎▼肝疾患(経過が慢性なものに限る)▼慢性ウイルス肝炎▼アルコール性慢性膵炎▼その他の慢性膵炎▼思春期早発症▼性染色体異常―



また、2004年7月7日付の厚生労働省事務連絡「疑義解釈資料の送付について」では、「特定疾患に対する薬剤を投与したときの加算(当時は45点)は、特定疾患に直接適応のある薬剤の処方の場合のみ算定できる」旨が示されています。

この点、▼モサプリドクエン酸塩の効能・効果は「慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)」である▼慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)は、消化管運動を活発化させる神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌により、症状の改善が図られる▼モサプリドクエン酸塩の作用機序(消化管内在神経叢に存在する5-HT4受容体を刺激し、アセチルコリン遊離の増大を介して上部・下部消化管運動促進作用)に照らし、「慢性胃炎の症状に直接適応のある」ものと判断できる(胃粘膜に作用して種々の症状を改善する)―点に照らし、支払基金では「モサプリドクエン酸塩の効能・効果である『慢性胃炎に伴う症状の改善』に対する【特定疾患処方管理加算2】の算定は認められる」と判断しています。



(2)切創に対して、皮膚欠損用創傷被覆材の算定は原則として認められない

「切創」は、刃器、ガラス片などがその長軸方向に、体表を切線状に移動することにより組織が離断された創(物理的な皮膚の損傷が皮下組織(死亡)や筋肉などにまで達した状態)で、一般に「創口は長い」「創縁は整い、線状に走り、表皮剥脱はない、あるいは少ない」「創角は両端とも尖鋭である」「創面は平滑で、組織挫滅はほとんどない」という特徴があります。「切創」治療にあたっては、▼医療用テープでの創の密着▼糸による創縫合▼医療用ホチキスでの創閉鎖―など処置を行うことになりますが、受傷から長時間が経過した場合には、感染リスクを考慮し、洗浄や消毒によって創の清浄化を図った後に縫合閉鎖が行われます。

一方、皮膚欠損用創傷被覆材は、厚生労働省が「真皮以上の深度を有する皮膚欠損部位に対して創傷治癒の促進、創傷面保護および疼痛軽減を目的として使用するもの」と定義しています(通知「特定保険医療材料の定義について」)。「皮膚欠損」は皮膚の一部が欠けてなくなった状態、「皮膚潰瘍」は何らかの原因で皮膚に穴(潰瘍)ができる状態です。

支払基金では、「切創では通常、皮膚欠損や皮膚潰瘍を伴わず、治療に当たって皮膚欠損用創傷被覆材の使用が必要とは考えられない」ことから、原則として算定は認められないと判断しています。



(3)乳がんの診断において、D410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「2 その他」により採取した検体を用いた場合には、N000【病理組織標本作製】の算定は原則として認められない

D410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「2 その他」(200点)は、細い針(ファインニードル等)を乳房の目的部位に直視下・超音波下に誘導して穿刺、吸引して細胞を含んだ穿刺液を得る採取料です。

N000【病理組織標本作製】の検体採取は、D410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「1 生検針によるもの」(690点)またはD417【組織試験採取、切採法】の「10 乳腺」(650点)により算定するもので、D410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「2 その他」(200点)により算定するものではないとされています。

乳がんの診断時に実施されるN000【病理組織標本作製】は、「腫瘍(しこり)部分に太い針(コアニードル等)を刺し、細胞1つ1つではなく、組織の塊を切り取ることで良性か悪性かの鑑別を行い、鑑別だけでなく、悪性の場合は特徴まで把握する」病理診断です。

ところで、乳がん診断においては、細胞診用に採取された検体から組織検体のようなパラフィンブロックを作成する「セルブロック法」があります。この点、N000【病理組織標本作製】の「2 セルブロック法によるもの(1部位につき)」(860点)については、留意事項通知で「▼悪性中皮腫を疑う患者▼組織切片を検体とした病理組織標本作製が実施困難な肺悪性腫瘍、胃がん、大腸がん、卵巣がん、もしくは悪性リンパ腫を疑う患者―に対して、穿刺吸引等により採取した検体を用いてセルブロック法により標本作製した場合に算定する」と示されており、「乳がんにおける取り扱い」は示されていません。

また「日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン 2015 年版」では、セルブロック標本によるHER2のIHC法の信頼性について、「原発巣ないし転移巣からの針生検ないし切除標本」と「穿刺吸引細胞診検体を用いたセルブロック標本」との比較検討で、「アルコール固定された場合の一致率が悪く、一定の見解を得るには至っていない」とされている。

このように、▼乳がんにおけるセルブロック法は、告示・留意事項通知に示されていない▼診断結果の信頼性が十分ではない―こと、組織採取ができない場合など、やむを得ない理由がある場合は、その可否を医学的に判断する必要があること、から支払基金では、乳がんの診断においてD410【乳腺穿刺又は針生検(片側)】の「2 その他」により採取した検体を用いた場合には、N000【病理組織標本作製】の算定は、原則として認められないと判断しています。



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