自動植え込み型除細動器「S-ICDパルスジェネレータ」に不具合、メーカーは患者へのフォローアップを依頼
2020.12.8.(火)
厚生労働省は12月4日、東京都内の医療機器製造販売業者から自動植え込み型除細動器「S-ICDパルスジェネレータ」を自主回収する旨の報告があったことを公表しました(厚労省のサイトはこちら(東京都、メーカーのプレスリリース))。
動作不良により必要な除細動治療ができなくなる可能性もあるが、健康被害報告はない
医薬品医療機器等法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、医薬品や医療機器の回収について、厚生労働大臣(都道府県知事)に報告することを義務付けています(法第68条の11)。
今般、ボストン・サイエンティフィック・ジャパン社(東京都中野区)が輸入・販売している自動植え込み型除細動器「S-ICDパルスジェネレータ」について、部品の成形不良に起因する動作不良(除細動治療に関連して生じた電気的過負荷によるヘッダ内部部品の損傷)が認められました。これまでに国内外で重篤な健康被害の発生報告はありませんが、必要な除細動治療ができずに重篤な健康被害に至る可能性を否定できないことから、同社では、重篤な健康被害・死亡の原因となる【回収クラスI】と判断し、自主回収及び患者モニタリング依頼を決定しました。同社では「本事象が発生する可能性のある機器が植え込まれている患者について、治療方針の確認や定期的なフォローアップなどをお願いしたい」と医療機関に要請しています。
回収等対象製品は、2016年1月27日から2018年2月23日までに出荷された102台で、全国71の医療機関に納入されています。
不具合が発生している場合には、▼プログラマあるいはLATITUDE遠隔モニタリングシステムでS-ICDと通信できなくなる▼エラーまたはアラートが発生する―ことにより「検知可能」であると同社は説明しています。
なお同社では、▼海外で本事象が発生した事例(6件)について、医師の判断で機器交換が行われ、健康被害には至っていない▼国内において本事象の発生は報告されていない▼全本製品の出荷先を把握しており、すでに医療機関に情報提供を行うとともに、患者のフォローアップをお願いしている▼本事象が発生する可能性がある製品は、一部期間に出荷された製品の一部で、現在流通し、今後新たに植え込まれる製品には本事象が発生する可能性はない―ことも説明しています。
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