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GemMed塾 「看護必要度」新制度シミュ―レーション

「急性期入院医療とは何かの明確化」「宿日直許可の事例集積」など日病として進める―日病・相澤会長

2022.4.25.(月)

急性期入院医療の評価指標である「重症度、医療・看護必要度」については、2年ごと(診療報酬の都度)に「内容」が見直され、そのたびに医療現場は右往左往する。小手先の手直しでなく、「そもそも急性期入院医療とは何か」を明確にすることが重要であり、日本病院会ではこの点について検討を行い、政府に提言を行っていく—。

宿日直許可について、日本病院会でも事例の集積などを行い「許可を得るための工夫」などを会員間で共有していく—。

日本病院会の相澤孝夫会長は4月25日の定例記者会見で、こういった考えを強調しました。

4月25日の定例記者会見(オンライン会見)に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

2年ごとの看護必要度見直しの前に、「急性期入院医療とは何か」を明確にすべき

急性期入院医療を評価する指標として「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)があります。▼A項目(「モニタリング及び処置等」、いわば患者の医学的状態)▼B項目(「患者の状況等」、いわば患者のADL)▼C項目(「手術等の医学的状況」、患者に実施された手術など)—を組み合わせて患者の状態を評価したうえで「当該病棟に『急性期入院医療が本当に必要な患者』がどれだけ入院しているのか」を判断し、診療報酬に結び付けるものです。

ただし、看護必要度も完全なものではなく、「急性期入院医療の必要性が高い患者を完璧に捉えることはできない」部分、「急性期入院医療の必要性が低い患者を捉えてしまう」部分もあります。このため診療報酬改定の都度に「調整」が行われており、2022年度の今回改定では(1)A項目の「心電図モニター管理」を削除する(2)A項目の「点滴ライン同時3本以上の管理」について「注射薬剤3種類」に定義見直しを行う(3)A項目の「輸血や血液製剤の管理」について1点から2点に引き上げる—などの内容見直しが行われています(あわせて入院料や加算の重症患者(看護必要度を満たす患者)割合の基準値も見直された、関連記事はこちら)。

この点について日病幹部からは、▼内容が2年ごとに見直され、医療現場は右往左往している▼看護必要度は「旧7対1入院基本料」(現在の急性期一般1)削減のために導入されたもので、そこに照準を合わせることがそもそも妥当なのだろうか—といった疑問の声が多数出ていることが相澤会長から紹介されました。

2年ごとの看護必要度内容の見直しは、「急性期入院医療の内容が2年ごとに変わる」ことを意味しかねず、「おかしな話である」と日病幹部は強く感じているようです。このため「まず急性期入院医療とは何か、それを提供する病棟はどうあるべきか」などを明確にしていく考えを相澤会長は改めて宣言。今後、日病内部で、少し時間をかけ、深く検討していくことになります。

なお相澤会長は「特定機能病院も含めれば7対1看護配置病棟は約40万床あるが、『40万床しかない』とも考えられる。急性期病床を減らしていくことが本当に日本にとって良いことなのか十分に考える必要がある」とも付言しています。

日病でも「宿日直許可の事例」を集積・分析し、知見を共有

2024年4月から、【医師の働き方改革】がスタートします。

すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、一般労働者と比べて「多くの医師が長時間労働に携わらなければならない」状況に鑑みた、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



この新たな時間外労働規制のスタートまで2年を切っており、全国の病院では▼労務管理の徹底(労働時間・研鑽時間の把握、36協定の締結、宿日直許可の取得など)▼労働時間の短縮(労働時間と研鑽時間の明確化、タスク・シフティングの推進など)—を進め、院内に1人でも「960時間の時間外労働をする医師」が出現する可能性のある病院では、B水準・連携B水準・C水準などの指定を受ける必要があります。

その際の重要となってくるのが「宿日直許可の取得」です。宿日直許可が得られなければ、夜間に行う業務などは「夜勤」、つまり「労働時間」(時間外労働)と扱われ、960時間・1860時間の制限をクリアすることが難しくなってきます。

ただし、医療現場からは「どういったケースで宿日直が許可されるのかが曖昧であり、また地域差が大きい」などの疑問もあります。そこで厚生労働省はこの4月1日からWEB相談窓口を設置し、医療現場の疑問や相談に丁寧に対応していく考えです(関連記事はこちら)。

この点、相澤会長は「日本病院会でも、働き方改革に向けてセミナーなどを実施していく。あわせて宿日直許可について、全国の事例を集積・分析し、例えば『どのような工夫を行えば許可が得られるのか』などの知見を共有していく」考えも示しました。

さらに相澤会長は、「医師の働き方改革では▼医師の身体的・精神的健康を守る視点▼地域医療を守る視点—の2つが重要で、両者のバランスをとらなければならない。現在の宿日直許可基準では、例えば『宿直は週1回・日直は月1回までを原則とする』などの規定があるが、医師数が限られている中で、その規定を遵守すれば地域医療をカバーできなくなる。個々の病院ではなく、地域全体で『どのように医師の健康を守り、地域医療をどう守るか』という点を協議し、柔軟に対応していくことが必要ではないか」とも強調しています。



2024年度には、上述した医師働き方改革のほか、診療報酬改定(介護報酬との同時改定)、新たな医療計画、新たな医療費適正化計画などもスタートし、「日本の医療の大きな曲がり角」となります。相澤会長は「曲がり角でコースアウトしてしまわないよう、真剣に議論し、安心して医療受けられる仕組みを構築しなければならない」と会見を締めくくりました。



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