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診療報酬改定セミナー2022 新型コロナ対策

宿日直許可基準の解釈等に地域間で大きなバラつき、救急・産科等の医療体制守れる解釈・運用を―日病・相澤会長

2021.9.21.(火)

医師の働き方改革を進める中で「宿日直許可の獲得」が非常に重要となるが、許可基準の解釈・運用が地域によって相当バラついている。日本病院会では、許可が得られたケース、得られなかったケースの事例を収集して、宿日直許可の獲得に向けたノウハウを会員病院等に向けて情報提供していく―。

また、宿日直許可基準が厳格に解釈・運用されれば、地域医療提供体制、とりわけ救急医療・産科医療の提供体制が崩壊してしまう。医療現場の実態も踏まえた解釈・運用を求めていく―。

日本病院会の相澤孝夫会長は9月21日の定例記者会見で、こうした日本病院会の考えを明らかにしました。

9月21日の定例記者会見(オンライン会見)に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

宿日直許可基準の解釈・運用、地域間で相当程度異なる

2024年4月から、【医師の働き方改革】がスタートします。

すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、一般労働者と比べて「多くの医師が長時間労働に携わらなければならない」状況に鑑みた、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



このため、すべての医療機関において、労務管理を徹底するとともに、業務内容の整理やタスク・シフティングを進め、労働時間の短縮に取り組んでいく必要があります(それでもなお、960時間を超える時間外労働をせざるを得ない医師が現れる場合には、B水準指定等に向けた取り組みを進めることになる)。

この労務管理の徹底・労働時間短縮の中で非常に重要となるのが、「労働時間」と「労働以外の時間」との切り分けで、その1つに「宿日直許可基準の獲得」があります。例えば夜間の勤務について、病院が「断続的宿直又は日直勤務許可申請書」を労働基準監督署に提出し、審査を受け、「断続的宿直又は日直勤務許可書」を交付されていれば、宿日直として当該夜間勤務は労働時間にはカウントされません。しかし、この許可を得ていなければ、当該夜間の勤務は労働時間にカウントされます。夜間勤務が労働時間にカウントされれば、当然、時間外労働が長くなり▼960時間を超える(=B水準指定等を得なければならない)、1860時間に収められない(=違法)▼割増賃金負担が非常に大きくなる▼当直アルバイトの確保が困難になる(=病院としての存続が困難になる)―といった事態に直面しかねません。

宿日直許可基準に関しては、2019年7月に厚労省が通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」を発出し、例えば次のような考え方の整理を行っています(厚労省のサイトはこちら(社会保障審議会・医療部会の資料))。

▽次の条件をすべて満たし、かつ宿直では「夜間に十分な睡眠がとりうる」場合に宿日直を許可する
▼通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものである(勤務時間終了後も通常の勤務態様が継続する場合は不可)
▼一般の宿日直業務以外に、特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限って行われる(医師が「少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む)や、看護師等に対する指示、確認を行う」などであれば可)
▼一般の宿日直許可条件を満たす



ただし、この通知の内容についても漠然とした部分が少なくなく、「解釈や運用が地域によって大きくバラついている」ことが日病幹部(会長、副会長、常任理事)の間で情報共有されました。

例えば、ある地域の労働基準監督署では「週に1・2回の救急搬送がなされる2次救急病院については、(上記の要件を満たしておらず)宿日直は許可できない」と判断される一方、別の地域の労働基準監督署では「夜9時(21時)から翌朝までに、1人ないし2人程度の救急搬送患者受け入れであれば宿日直を許可する」と判断されることもあるといいます。

日病では、こうしたバラつきを問題視するとともに、前者のような厳格な適用・運用がなされた場合、地域の救急医療・産科医療などの提供体制が崩壊してしまうと危惧します。

宿日直許可が得られなければ、上述のとおり夜間の勤務は「労働時間」にカウントされます。その中で医師の時間外労働を960時間(A水準の時間外労働上限)・1860時間(B水準等の時間外労働上演)に収めるためには、「医師を増やす」より方法はありません。

しかし、多くの病院では夜間体制について「アルバイト医師」に頼っており、夜間の勤務が労働時間にカウントされるのであれば、本務先の大学病院や基幹病院が「アルバイトの制限・派遣の引き揚げ」を行わざるを得なくなります(本務先とアルバイト先の労働時間を合算して、960時間・1860時間以内に収める必要がある)。

また、仮にアルバイト医師の引き揚げが最小限にとどまったとしても、夜間の勤務が「労働時間」である場合には、割増賃金(午後10時(22時)―翌朝5時までの労働には25%以上、法定休日の労働には35%以上などの割増賃金の支払いが労働基準法第37条で定められている)を支払わねばならず、これは医療機関経営を強く圧迫することになります。

これらに持ちこたえられない医療機関は、夜間の負担が大きくなる救急医療や産科医療から撤退せざるを得ないこととなり、相澤会長は「地域の救急・産科医療提供体制が崩壊してしまいかねない」と警鐘を鳴らします。

このため、日本病院会では、「宿日直許可を獲得できたケース、できなかったケースの事例を集積・分析し、宿日直許可を得るためのノウハウを会員病院等に向けて情報提供していく」方針を固めたことが相澤会長から報告されました。あわせて宿日直許可基準の解釈についても改善を求める方向での検討が進む見込みです。



このほか、▼外来機能報告について、「この地域において、外来医療のあるべき姿はどのようなものか」という議論をデータに基づいて各地域で進めていくことが本筋であると強く訴えていく(関連記事はこちらこちらこちら)▼新型コロナウイルス感染症が流行する中での医療機関経営動向調査を日病として継続実施していく(現在、4・5・6月調査結果の解析中、関連記事はこちら)―ことが相澤会長から報告されています。



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新興・再興感染症対策を医療計画・地域医療構想の中でどう勘案していくべきか―医療計画見直し検討会
新型コロナを契機に、地域医療構想の実現・医師偏在の解消・医師等の働き方改革を加速化せよ―社保審・医療部会

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外来医師が多い地域で新規開業するクリニック、「在宅医療」「初期救急」提供など求める―医師需給分科会

外来機能報告制度、「重装備の無床クリニック」データが抜け落ちてはいけない―日病・相澤会長