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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

医療機関からの「宿日直許可」申請に関する相談窓口を設置、必要に応じて支援も実施―厚労省

2022.4.7.(木)

厚生労働省は4月1日に、医療機関からの宿日直許可申請に関するWEB相談窓口を設置しました。

「どういったケースで宿日直が許可されるのか」「宿日直の許可申請はどのように行えばよいのか」という医療機関の相談に丁寧に対応することで、「医療従事者の働き方改革」の円滑施行を目指すものです。必要に応じて「医療勤務環境改善支援センター」による支援を受けることも可能です。

●厚労省の「医療機関の宿日直申請に関する相談」窓口

必要に応じて「医療勤務環境改善支援センター」による支援も

2024年4月から、【医師の働き方改革】がスタートします。すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



新たな時間外労働規制のスタートまで「2年」を切っており、すべての病院で▼勤務医の労働内容の整理▼勤務医の労働時間の正確な把握▼タスク・シフティングの推進▼36協定の締結▼宿日直許可の取得―などを急ぎ進めていかなければなりません。

このうち「宿日直許可」については、2019年7月に厚労省が通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」を示し、「医師・看護師等の宿日直は『通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のもの』で、『特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務』実施のみを行う場合に限って認められる。例えば、夜間の救急搬送患者が常に多く、それに少ない宿直医等で対応しなければならないなど『通常の業務と同態様の業務が稀でない』ような場合には、宿日直は認めらない」との考えを整理しています。宿日直許可が認められなければ、夜間に行う業務などは「夜勤」、つまり「労働時間」(時間外労働)と扱われ、960時間・1860時間の制限をクリアすることが難しくなってきます。



この点、医療機関サイドには「宿日直許可申請に関する様々な疑問や不安」があります。これまでにも厚労省(労働基準監督署)や都道府県(医療勤務環境改善支援センター)で相談対応が行われていますが、厚労省は「働き方改革」の円滑導入に向けて、より丁寧な対応を行うために「本省にWEB相談窓口を設置する」こととしました。

●厚労省の「医療機関の宿日直申請に関する相談」窓口

相談内容は「宿日直許可申請にかかる制度の仕組み、手続きなど幅広く」設定されています。例えば「医師・看護師等の宿日直においては、『軽度または短時間の業務』実施に限って認められるとされているが、具体的にはどのような業務なのか?」「宿日直許可申請を行うに当たりどういった書類が必要なのか?申請後はどういった流れになるのか?」など、幅広い相談が可能です。

WEBサイトで「医療機関の名称や連絡先、相談内容など」を記載して厚労省にメール送信(送信フォームから)。厚労省で担当者が確認・検討等したのちにメールや電話などで返答や助言がなされます。また厚労省で「具体的な支援が必要である」と判断した場合には、相談者(医療機関)の意向を踏まえたうえで都道府県医療勤務環境改善支援センター(医療労務管理アドバイザー)からの適切な支援が実施されます。

厚労省が、医療機関からの「宿日直許可申請に関する相談」を受け付ける窓口を2022年4月1日に設置



また、厚労省では宿日直許可申請に関する解説資料」「を公開しており、そこでは▼申請前のチェックリスト▼申請から許可までの流れ▼申請に必要な書類令▼許可事例▼不許可事例—などを確認できます。

許可された事例としては、例えば350床の2次救急病院における「ICUの非常事態に備えての待機、処置確認、呼び出し対応」業務があります。当該病院のICU勤務医が「週1回の宿直」「月1回の日直」で行う業務は、▼1日1回、看護師が実施した投薬等の記録をチェックし、主治医の指示どおりの措置がなされていることを確認する「処置確認」(約2分)▼月1回程度、看護師から呼び出しを受け、急変患者の容態を確認し、主治医・専門医に連絡を取るか否かの判断「のみ」を行う「呼び出し対応」(約20分)▼休日・夜間の急患には夜勤医が対応し、宿日直勤務医による対応なし―という状況であり、「特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務である」と判断され、宿日直が許可されました。

一方、別の340床の2次救急病院における「緊急事態に備えての待機、文書または電話収受等」業務については宿日直が許可されませんでした。労働基準監督署による過去1か月の業務調査によれば、▼救急指定病院として月25日程度、救急患者を受け入れている▼日直勤務日の14時までは時間外労働として勤務し、14時以降は宿直室に移動して待機する▼ほぼ毎回、14時以降も患者への治療等が複数回発生(合計約30分-2時間)している▼終業時刻に密着して行う短時間の断続的な労働である―ことから「特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務とは言えない」と判断され、「不許可」となっています。

もちろん、これらは「個別・具体的な事例」であり、様々な要素を判断して「許可・不許可」の判断がなされている点に留意しなければなりません(同様の事例が、常に同じように許可・不許可と判断されるものではない)。



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