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「院内で働き方改革情報に接し、詳細をWEBサイト上で調べられる環境」整備が重要―医師働き方改革・情報発信作業部会

2022.1.26.(水)

勤務医を対象に行った「医師の働き方改革に関する情報収集ルート」などのアンケート調査結果によれば、勤務医の多くが「まず所属組織(病院・診療科・医局等)や周囲(上司や同僚)から発信される情報を入手し、その後にインターネット記事などで詳しく調べている」状況が伺えた―。

このため、「医師の働き方改革」に関する情報を効果的に発信するためには、▼各医療機関や診療科などで「説明会」などを開催する▼WEBサイトで「正しく、分かりやすい情報の整理」を行う―ことが重要ではないか―。

また、勤務医、とりわけ若手医師はパソコンよりも「モバイル端末」(スマートフォンなど)で情報にアクセスしていることから、「モバイルをメインに考えた情報発信」が必要ではないか―。

1月24日に開催された「勤務医に対する情報発信に関する作業部会」(「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の下部組織、以下、作業部会と呼ぶ)で、こういった議論が行われました。

1月24日に開催された「第3回 勤務医に対する情報発信に関する作業部会」

院内説明会開催に向けた資料提供、モバイル端末に適したサイト構築など進めよ

Gem Medで繰り返しお伝えしているとおり、2024年4月から、【医師の働き方改革】がスタートします。すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



しかし医療現場には、こうした情報が必ずしも正しく伝わっていない、また、そもそも情報が全く伝わっていないケースもあるなどの課題があります。そこで作業部会では「どういった情報・内容を発信すればよいのか」「どのように情報発信すれば現場に伝わるのか」という議論を現場目線で行っています(関連記事はこちらこちら)。

作業部会では昨年(2021年)12月17日の会合で、勤務医を対象に▼現在の働き方に満足しているか▼働き方改革について知っているか▼働き方改革の情報はどういった経路で入手しているか、どういう形が目にとまりやすいと思うか―といった点をアンケート調査することを決定。1月24日の会合では、その結果が報告されました。結果を眺めると、例えば次のような状況が明らかになりました。ただし「回答した医師がやや若手に偏っている」点には少し留意が必要です。

(1)回答者(勤務医1175名)の約7割が、自身の勤務時間を「長い」「とても長い」と考え、同様に約7割が今後、労働時間を「少し減らしたい」「もっと減らしたい」と考えている

アンケート結果1(医師働き方改革・情報発信作業部会1 220124)



(2)今後労働時間を「少し増やしたい」「もっと増やしたい」と回答した医師も一定数存在する(約4%)

アンケート結果2(医師働き方改革・情報発信作業部会2 220124)



(3)「2024年度から新たな労働時間規制が始まること」「労働時間上限の意味」「自己研鑽の考え方」については、「よく知っている」「ある程度知っている」が半数以上

アンケート結果3(医師働き方改革・情報発信作業部会3 220124)



(4)「各上限水準(いわゆるA・B・連携B・C1・C2水準)の内容」や「宿日直許可基準の内容」については、「全く知らない」が約半数

アンケート結果4(医師働き方改革・情報発信作業部会4 220124)



(5)回答者の半数以上が、医師の働き方改革について「所属組織(病院・診療科・医局等)」や「周囲(上司や同僚)」から発信される情報を入手しており、かつ「最も目にとまる」と考えている

アンケート結果5(医師働き方改革・情報発信作業部会5 220124)



(6)回答者の約6割が、医師の働き方改革について、「インターネット記事」や「院内関係者からの口頭説明」という形で情報を入手している

アンケート結果6(医師働き方改革・情報発信作業部会6 220124)



このうち(5)と(6)を踏まえて石田苑子構成員(神戸大学大学院医学研究科外科学講座食道胃腸外科学分野医学研究員)は、▼「まず所属組織(病院・診療科・医局等)や周囲(上司や同僚)から発信される情報を入手する▼その後にインターネット記事などで詳しく調べている―と分析。ここから、▼各医療機関や診療科などで「説明会」などを開催する▼WEBサイトで「正しく、分かりやすい情報の整理」を行う―ことが効果的な情報発信のために重要であると強調しました。

非常に論理的で、説得力のある提案と言えるでしょう。もっとも、病院間で「説明会」の内容などに大きな格差が出てしまうことは好ましくないため、医師でもある中山俊構成員(アンター株式会社代表取締役CEO)は「どういった情報を提供すればよいか、例えば台本のようなものを国が作成し、それを各病院に配付するなどしてはどうか」と提案しています。

また中山構成員は、勤務医、とりわけ若手医師の情報収集ツールの70%が「モバイル端末」(スマートフォンなど)である点に着目し、「モバイルをメインに考えた情報発信」の必要性を強調しています。



また、同日には非公開で「勤務医からのヒアリング」が行われ(アンケートには現れなかった生の声が出されている)、さらに厚労省では「医療機関内の世代・立場間の受け止めの違いについて認識共有・相互理解を進めるための医療機関内での意見交換の場」設置に向けた準備(数病院で1月中にも実施予定)を進めています(関連記事はこちら)。

2月開催予定の次回会合では、これらの結果報告を受けるとともに、意見取りまとめに向けた議論に入る予定です。馬場秀夫座長(熊本大学病院病院長)は「3月中に意見取りまとめを行う。議論の整理案を準備してほしい」と厚労省に指示しています。



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