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レセ・電カル情報の全国医療機関での共有、「誰にどのようなメリットがあるか」明確化せよ―社保審・医療部会(2)

2022.6.6.(月)

6月3日に開催された社会保障審議会・医療部会では、医療保険部会(5月25日開催)に続いて▼全国の医療機関でレセプト情報を共有する仕組みを拡大するが、「手術」情報は機微性が一段高く、他のレセプト情報と切り離し、共有のためには「個別の患者同意」を求める▼電子カルテ情報を全国の医療機関で共有する仕組みにおいて、「オンライン資格確認等システム」の基盤を活用する―ことも了承しました(関連記事はこちら)。

レセプト情報を患者同意をもとに全国の医療機関で共有可能とし、共有項目を拡大していく(健康・医療・介護情報利活用検討会(1)1 220517)

レセプト情報共有にあたり、手術情報のみ「別個の個別同意」とする(健康・医療・介護情報利活用検討会(1)2 220517)

全国の医療機関での電子カルテ情報共有するにあたり「オンライン資格確認等システムのインフラ」を活用する方針を決定(医療情報ネットワーク基盤WG1 220516)



委員からは、診療情報の共有・利活用推進や、標準的な電子カルテの普及に向けて様々な意見が出ています。

6月3日に開催された「第88回 社会保障審議会 医療部会」

診療情報共有による「電子カルテ価格」の引き下げ環境が整うと期待される

まず目立ったのが「診療情報の共有・利活用によって、誰がどのようなメリットを得られるのかを明確にすべき」との意見です。

患者代表として参画する野村さちい委員(つながるひろがる子どもの救急代表)は「医療の質が向上するとの説明は理解できるが、若い患者の多くが『同意』(レセプト情報、電子カルテ情報のいずれも、患者の同意が情報共有の前提となる)をするには、『情報共有をしなければ自分自身が困る』あるいは『得になる』という要素が必要ではないか。そうした点への説明が重要である」と指摘。

また医療者代表である相澤孝夫委員(日本病院会会長)は「臨床医として患者の診断・治療等を行う際に、どのように役立つのかという視点が重要である。そこを放置すれば『仕組みはあるが、誰も使わない』という事態が生じてしまう。また『患者の同意を得る仕組み』が複雑に過ぎ、混乱してしまわないかを心配している」とコメント。

また、同じく医療者代表の小熊豊委員(全国自治体病院協議会会長)は「患者が診療を希望して医療機関を受診する際に過去の診療情報を閲覧・参照することは当然ではないか。『診療情報は、それを必要とする医療従事者が確認できる』『今後の医療DXの一環として診療情報を共有する』という点を明確に進めるべきである」との考えを述べています。

例えば、すでに稼働している「レセプト情報の共有」においては、患者がマイナンバーカードで医療機関窓口で資格確認をする都度に「あなたの診療情報(現在は薬剤と特定健診情報)に、当院がアクセスしてよいか」を、患者自身が「同意する」「同意しない」を選択することになります。その際に患者が躊躇なく「同意する」を選択できるよう、「診療情報の共有には、このようなメリットがある」という点を分かりやすく丁寧にPRしていくことが重要でしょう。別の検討会等で厚労省大臣官房の大坪寛子審議官(医政、医薬品等産業振興、精神保健医療担当)(老健局、保険局併任)や厚労省医政局研究開発振興課医療情報技術推進室の田中彰子室長も、「診療情報共有のメリットを明確にしていく」ことを何度も確認しており、今後、そうした視点に立った検討が進んでいくことでしょう(関連記事はこちらこちら)。



なお、患者の同意について山口育子委員(人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「病院によっては、マイナンバーカードでの受診をしても『診療情報共有に関する同意』画面にいけないこともある。混乱がないように明確な説明が必要である」と述べています。

上述のように、マイナンバーカードで医療機関を受診した際に「診療情報の共有を同意するか否か」を選択することになります。しかし、規模の大きな病院などでは「すべての診療科の端末機器で、オンライン資格確認等システムを用いて患者の診療情報にアクセスできる」ようなシステム改修が済んでいないケースがあります(資格確認のみにとどまっている)。この点について厚労省担当者は、「混乱のないように丁寧に周知していく」考えを示しています。

5月25日に開催された医療保険部会では、診療情報共有の基盤となるオンライン資格確認等システムの普及促進に向けて、▼保険医療機関等では2023年度から導入の原則義務化を行う▼導入費用の補助等を調整する―考えが厚労省から示されており、こうした「院内のシステム改修費」について、どのような補助が検討されるのかも今後注目する必要があるでしょう(関連記事はこちら)。



また電子カルテ情報の共有に関しては、「価格(電子カルテの導入費・維持費・更新費など)の引き下げ」という視点が非常に重要であるとの考えを、山崎學委員(日本精神科病院協会会長)や加納繁照委員(日本医療法人協会会長)らが強調しています。

山崎委員は「電子カルテはベンダー間で互換性がなく、それが買い替えを阻害し、価格の高止まりを生んでいる」と指摘。この点、「HL7 FHIRという規格を用いて、電子カルテ情報の情報交換を可能とする」方向が固められており、今後は、例えば「HL7 FHIR規格に準拠した文書(診療情報提供書、 退院時サマリー、健診結果報告書)のデータ入出力ができる」機能を備えた電子カルテ導入費を医療情報化支援基金で補助することなどの検討が進められます(関連記事はこちら)。補助が稼働し始めれば「標準化機能を備えた電子カルテ」のみが医療現場に浸透していくことになります。

その先には「どのベンダー(メーカー)の電子カルテを導入しても、情報の共有が可能となる」環境が整い、「電子カルテの買い替えに向けたハードルが下がる」ことにつながります。この場合、ベンダー間の「価格競争」が進むと考えられ、「電子カルテ価格の引き下げ」につながると期待できます。

国がベンダーに対し「価格を引き下げよ」と迫ることはできませんが、このような環境整備によって間接的な「価格引き下げ」を推進することになりそうです。



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