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新機器によるインフル診断や経皮的冠動脈形成術の実施ルールを設定、両心室ペースメーカー移植術の対象患者を拡大—厚労省

2022.12.2.(金)

内視鏡用テレスコープ用いたインフルエンザ感染診断、新たな機能を持つカテーテルによる経皮的冠動脈形成術を保険診療の中で実施する場合のルールを、それぞれ新たに設定する—。

【両心室ペースメーカー移植術】を保険診療で実施する場合の対象患者を拡大する—。

厚生労働省は11月30日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』の一部改正について」を発出し、こうした点を明らかにしました。同日(10月28日)から適用されています(厚労省サイトはこちら)。

内視鏡用テレスコープ用いたインフルエンザ感染診断の保険診療上のルールを設定

今回の通知では、次の3本の診療報酬関連通知が改正されました。
(a)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(2022年3月4日付、保医発0304第1号)
(b)特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(2022年3月4日付、保医発0304第9号)
(c)特定診療報酬算定医療機器の定義等について(2022年3月4日付、保医発0304第11号)
(c)特定保険医療材料の定義について(2022年3月4日付、保医発0304第12号)

このうち(a)に関しては、新たな医療機器の保険適用などに伴って▼D296-2【鼻咽腔直達鏡検査】▼K548【経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)】▼K598【両心室ペースメーカー移植術】—について、保険診療で実施する場合のルール見直しが行われました。

まず、D296-2【鼻咽腔直達鏡検査】に関しては、新たに「インフルエンザウイルス感染症診断の補助を目的に薬事承認された内視鏡用テレスコープ」(以下、本稿では「インフル診断用の内視鏡テレスコープ」とする)が保険適用されたことを踏まえて、次のようなルールが新設されています。

▽インフル診断用の内視鏡テレスコープを使用しインフルエンザウイルス感染症診断を行った場合に、▼D296-2【鼻咽腔直達鏡検査】(220点)▼「内視鏡検査」の通則3「当該医療機関以外の医療機関で撮影した内視鏡写真について診断を行った場合」(1回70点)▼「内視鏡検査」の通則4「写真診断を行った場合」の「使用したフィルムの費用」である「019 画像記録用フィルム(4)B4」(150円)を「10円で除して得た点数」(→15点)—を合算した点数(つまり305点)を準用して算定する。

▽インフル診断用の内視鏡テレスコープを使用インフルエンザウイルス感染症の診断を行う検査は、発症後48時間以内に実施した場合に限り算定できる

▽インフル診断用の内視鏡テレスコープを使用インフルエンザウイルス感染症の診断を行う検査は、一連の治療期間においてD012【感染症免疫学的検査】の「22 インフルエンザウイルス抗原定性」(136点)を行った場合は併算定できない

【経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)】、新機器を用いる場合のルール整理

また、K548【経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)】については、新たに「アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル」が保険適用されたことを踏まえ、次のようなルール変更・追加が行われました。

▽規定回数(5年間の2回)を超えて実施する場合の「レセプト記載」事項の中に、「アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル」を実施した場合には、その本数を記載することを求める

▽アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテルを用いて経皮的冠動脈形成術を施行する場合には、 K548【経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)】の「1 高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルによるもの」に掲げる所定点数(2万4720点)を準用して算定する

→この場合、K548【経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)】の施設基準を届け出ており、かつ、すでに「複数の高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルを設置している」または「1種類のみの高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテルの導入施設で過去2年間 25例以上の使用実績のある」医療機関で使用された場合のみ算定できる

→日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、 日本集中治療医学会、日本心臓リハビリテーション学会、日本不整脈心電学会の承認を受けた「急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)」または「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」に沿って行われた場合に限り本点数を算定できる

▽同一医療機関で、同一患者の同一標的病変に対してK546【経皮的冠動脈形成術】、K547【経皮的冠動脈粥腫切除術】、K548【経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)】、K549【経皮的冠動脈ステント留置術】を行う場合の「合計回数」は、5年間に2回以下を標準とする

→医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合は、以下の事項をレセプトの摘要欄に「詳細に」記載する
▼過去の実施時期
▼実施した手術、およびそれぞれの実施時に使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル、エキシマレーザー血管形成用カテーテル、アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル、冠動脈用ステントセットの使用本数
▼今回、経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)を実施する理由および医学的根拠

【両心室ペースメーカー移植術】を保険診療で実施する場合の対象患者を拡大

他方、K598【両心室ペースメーカー移植術】に関しては、これまで「十分な薬物治療にもかかわらず改善の見られないQRS幅120ms以上、および左室駆出率35%以下の重症心不全に対し症状の改善を目的に行う」場合にのみ保険診療の中での実施(=点数算定)が認められていました。この点、ルール見直しが行われ「次のいずれかの心不全に対して治療が行われた場合に算定できる」ことになりました。

▽十分な薬物治療にもかかわらず改善の見られないQRS幅120ms以上、および左室駆出率35%以下のNYHAクラスIIIまたはIV(中等度、重度)の心不全患者の症状改善(従前のルールをやや緩和し、中等度の心不全患者にも実施が認められる)

▽至適薬物療法が行われているペースメーカーの適応および高頻度に心室ペーシングに依存することが予想される左室駆出率50%以下の患者の症状改善、または心不全進行(増悪)遅延



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