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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

全国の医療機関で電子カルテ情報共有する仕組み、メリットだけでなくリスク等も国民・患者に情報共有を―医療情報ネットワーク基盤WG(2)

2023.3.15.(水)

Gem Medで報じているとおり、「診療情報提供書や退院時サマリーを電子的に紹介先病院の共有・送付する仕組み」「患者の電子カルテ情報の一部(アレルギー情報、薬剤禁忌、検査値など)を患者自身・全国の医療機関で確認できる仕組み」の大枠が、3月9日に開催された健康・医療・介護情報利活用検討会の「医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」(以下、ワーキング)において、中島直樹主査(九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター教授)一任で取りまとめられました(関連記事はこちら)。

細部の調整を行ったうえで本年度内(2023年3月中)に内容を正式決定し、来年度(2023年度)から社会保険診療報酬支払基金でシステム構築が進められ、早期の運用を目指します。ワーキングでは今後のシステム構築・将来の運用に向けて様々な意見が出されており、本稿では構成員の意見・提案を見ていきます。

3月9日に開催された「第7回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」

新たな仕組みの導入コスト低減なども重要な検討課題の1つ

新たな仕組みは、(1)診療情報提供書や退院時サマリーを電子的に紹介先病院の共有・送付可能とする(下図の青い矢印の流れ)(2)患者の電子カルテ情報の一部傷病名・アレルギー・感染症・薬剤禁忌・検査(救急、生活習慣病)・処方)を患者自身・全国の医療機関で確認可能とする(下図の緑色の矢印の流れ)—ものです。

電子カルテ情報等の共有する仕組みの全体像(医療情報利活用基盤WG(1)1 230309)



このうち「処方」情報については、新たな仕組みで共有可能となりますが、既に稼働している「電子処方箋」や「オンライン資格確認等システム」(レセプト情報の共有)での情報共有が可能となっています。

このため長島公之構成員(日本医師会常任理事)は「重複を避け、コストを低減するためにも『処方』情報をどの仕組みで共有するのか整理する必要がある」と指摘しています。まず両者で「共有内容が異なる」のかを確認し、仮に「同様の内容を共有する」場合には、いずれの仕組みに載せるのかなどを今後、改めて整理していく必要があるでしょう。

また長島構成員は「新たな仕組みの導入(標準規格を搭載した電子カルテシステムへの導入・変更など)を円滑に進めるために、医療機関サイドのコスト軽減を十分に考えてほしい」とコメントしています。この点、中小規模の医療機関を中心に「医療情報化支援基金」などを活用した医療機関補助が検討されています(関連記事はこちら)。



他方、(1)の診療情報提供書について、厚生労働省は「紹介元医療機関から紹介先医療機関に事前送付し、患者の受診前に過去の診療情報を確認可能とし、円滑かつ効果的な診療を実現する」運用も考えています。この点、松村泰志構成員(国立病院機構大阪医療センター院長)は「安全に事前の文書送付が可能なのか、慎重に検討する必要がある」と強調しています。

また、松村構成員は「情報確認を簡便に行えるような工夫」の必要性も訴えています。例えば、ある患者が複数の医療機関に罹患している場合には膨大な情報が電子カルテ情報交換サービスに登録されますが、そこには「重複する情報」も少なくないでしょう。別の医療機関で、当該患者の情報を確認するにあたり、この「重複する情報」が、「必要な情報に円滑にたどり着く」ことを邪魔してしまわないか、と松村構成員は心配しています(例えば、重複する「アレルギー情報」「薬剤禁忌情報」などがあふれ、探索を邪魔してしまいかねない)。運用を重ね、現場の声を聴きながら、こうした点に対する工夫を検討していくことになるでしょう。



一方、大道道大構成員(日本病院会副会長)や、患者代表の1人としてワーキングに参画する古川裕子構成員(ささえあい医療人権センターCOML COML委員バンク登録会員)らは「新たな仕組みに関し、メリットや安全性のみならず、リスクなどもあることを国民や患者に丁寧に説明、PRしていくことが重要である」と訴えました。多くの国民・患者が、よくわからないままに「同意」を求められた場合には、「よく分からない。何か不利益が生じては困るので不同意にしよう」と考え、情報の利活用が十分に進まない事態になっては困ります。十分な広報・周知が望まれます。



ところで、(1)(2)のいずれの仕組みでも「患者の同意」が情報共有の大前提となりますが、多くの構成員が「医療機関、患者等の負担を考慮し、一括同意、しかも、一度同意した場合には、以後、同一医療機関では同意不要で情報共有可能とする運用を考えるべき」と訴えています。この点についてはさまざまな考え方があり、今後、さらに研究・検討を重ねる必要があることはGem Medで報じているとおりです(関連記事はこちら)。



なお、「電子カルテ情報交換サービスの運用はどの主体が行い、コストは誰が負担するのか」「将来的に共有すべき文書・情報の拡大を図るべきではないか」などは、将来の検討課題に位置づけられています。今後、これらの課題を整理し、「どの場で解決に向けた議論を進めるのか」も含めて、政府全体で議論していくことになります。

今後の検討課題(医療情報利活用基盤WG(1)6 230309)



内閣官房の「医療DX推進本部」では「医療DXの推進に関する工程表(骨子案)」を明らかにし、パブリックコメントの募集を開始しました(関連記事はこちら)。「電子カルテの共有」も医療DXの1要素であり、今後、(1)(2)の仕組みがいつから運用開始されるのか、なども今後の「医療DX推進の工程表」の中で明らかにされる見込みです。



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