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2019年度予算の概算要求基準を閣議了解、社会保障費は6000億円増の要求が可能

2018.7.11.(水)

 2019年度予算案の編成に向けて、概算要求時点では年金・医療等の社会保障関係費について2018年度当初予算から6000億円の増額要求を認める―。

 安倍晋三内閣は7月10日に、こうした内容を盛り込んだ2019年度予算の概算要求基準を了解しました。今後、この基準に沿って各省庁で2019年度の要求内容を固め、8月末までに財務省へ概算要求を行うことになります(財務省のサイトはこちら)(関連記事はこちら(骨太方針2018)こちら(財政審建議))。

2019年度予算概算要求基準のイメージ図

2019年度予算概算要求基準のイメージ図

 

医療保険・介護保険制度改革に関連する事項は、予算編成過程で検討

 我が国の財政処理権限は「国会の議決に基づく」こととされ(日本国憲法第83条)、例年、次のようなスケジュールで決まります。
▼前年夏に概算要求基準を財務省が提示し、これに沿って各省庁が概算要求を行う
▼秋口から、財務省と各省庁との間で要求内容等について折衝を行う
▼12月初旬に、次年度の税制改正大綱を政府与党がとりまとめる(これにより、次年度における我が国の収入(歳入)が見通せる)
▼12月中下旬に、次年度予算案を固める
▼当年の1月に、政府が国会に次年度予算案を上程し、国会で審議が行われ、4月から執行が始まる(3月までに成立しない場合には、いわば「つなぎ」として暫定予算が組まれる)

今般の「概算要求基準」は次年度予算の基礎となるものです。年金・医療等の社会保障関係費については、今年度(2018年度)当初予算から「6000億円」の増額要求を行うことが認められました(上図の青色部分)。これは高齢化に伴って必然的に社会保障費が増加してしまうことに対応するもので、「自然増」と呼ばれています(今年度(2018年度)には6300億円の増額が概算要求時点で認められていた)。

また、社会保障制度について、▼「経済・財政再生計画 改革工程表」に沿った着実な改革の実行など合理化・効率化に最大限取り組む▼社会保障費の実質増を「高齢化による増加分相当に収める」ことを目指す―点が強調されており、今後、厚生労働省の関係審議会(社会保障審議会の医療保険部会や介護保険部会、中央社会保険医療協議会)などで、例えば▼外来における受診時定額負担▼75歳以上の後期高齢者の医療機関窓口負担の段階的引き上げ―などを検討することになります。もっとも、こうした改革については年末にかけて議論を行うことになるため、8月末時点では制度改革の姿が見えません。このため、概算要求時点では、「予算編成過程において検討する」と記載されるにとどまることでしょう(「事項要求」と呼ばれます)。

ところで、12月の予算案時点では、上述したとおり「社会保障関係費の実質増は高齢化による増加分にとどめる」とされており、社会保障関係費についてさらなる圧縮が求められると予想されます(2018年度予算については、「6300億円増」→「5000億円増」に圧縮)。ただし、2019年度には診療報酬・介護報酬改革などがなく、どういった施策で圧縮を行うのか、今後の厚労省の動きに注目が集まります。

経済・財政再生計画 改革工程表より抜粋(その1)

経済・財政再生計画 改革工程表より抜粋(その1)

経済・財政再生計画 改革工程表より抜粋(その2)

経済・財政再生計画 改革工程表より抜粋(その2)

 
こう見ると「社会保障関係費は削減ばかりである」と感じますが、概算要求基準では「新しい日本のための優先課題推進枠」を設け、未来投資戦略2018などに盛り込まれた事項について積極的な予算措置も行われます(上図の濃い黄色の部分)(関連記事はこちら)。

 
なお2019年度中には消費増税が予定されています(2019年10月予定)。先に閣議決定された骨太方針2018(経済財政運営と改革の基本方針2018)では、5兆円強となる消費増税分の使途について▼「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等」と「財政再建」とに概ね半分ずつ充当するよう見直す▼「介護人材の処遇改善」について消費税率引上げ日の2019年10月1日に合わせて実施する―方針が明確にされました。従前より示されていた「社会保障の充実」や「介護人材の確保等」に関して、どの程度の経費増を認めるかなどは、「予算編成過程において検討する」ことになります。
 
 
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