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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

服薬指導や診断書の代行入力、医師でなく他職種が行うべき―医師働き方改革検討会 第7回(1)

2018.2.19.(月)

 医師の長時間労働を是正するために、▼初療時の予診▼検査手順や入院の説明▼薬の説明や服薬指導▼静脈採血▼静脈注射▼静脈ラインの確保▼尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)▼診断書等の代行入力▼患者の移動―などの業務は、原則として他職種に移管し、医師が行うべきではない―。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)は2月16日、こうした内容を盛り込んだ「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」(以下、緊急的な取り組み)を固めました。厚労省は今月中(2018年2月)にも通知を発出し、上記の業務移管などを医療機関に強く促す考えです。

 あわせて、これまでの検討会の議論を踏まえて「中間的な論点整理」を行い、医師の勤務環境改善に向けて、今後、「病院経営の確保」「地域医療の確保」「国民の理解」などの幅広い視点で議論していく考えをまとめています。こちらは別稿でお伝えいたします。

2月16日に開催された、「第7回 医師の働き方改革に関する検討会」

2月16日に開催された、「第7回 医師の働き方改革に関する検討会」

医師が行うべきでない業務を例示、大学病院では遅れがち

 安倍晋三内閣が進める「働き方改革」の一環として、医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入(労働基準法改正)することになっています。ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととされています。

 こうした点を検討する場として「医師の働き方改革に関する検討会」が厚労省に設置され、来年(2019年)3月の取りまとめを目指して議論を進めています。もっとも、議論の中で「医師の労働時間は極めて長い。まず、労働時間の適正化を緊急に進める必要がある」との共通認識が生まれ、今般、「全医療機関」に対し、次のような取り組みを強く求めることを明確に打ち出しました。厚労省は、今月中(2018年2月)にも通知を発出し、早急な取り組みを医療機関に要請する考えです(関連記事はこちら)。

(1)医師が医療機関にいる時間(在院時間)を客観的に把握する。
(2)いわゆる36協定(労使に合意により、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた労働を可能とする協定)がなく、また36協定に定める時間数を超えて時間外労働をさせていないかを確認する
(3)労働安全衛生法に定める衛生委員会や産業医などの産業保健の仕組みを活用する
(4)医師の業務負担軽減のため、他職種へのタスク・シフティング(業務の移管)を推進する
(5)女性医師が出産・育児などで「臨床への従事」や「キャリア形成の継続」などが阻害されないよう、短時間勤務などの多様で柔軟な働き方を推進する
(6)医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組みを進める

 このうち(4)の業務移管については、▼初療時の予診▼検査手順の説明や入院の説明▼薬の説明や服薬の指導▼静脈採血▼静脈注射▼静脈ラインの確保▼尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)▼診断書等の代行入力▼患者の移動―という具体的な場面を例示した上で、「医療安全に留意しつつ、原則医師以外の職種により分担して実施することで、医師の負担を軽減する」ことを求めています。

 厚労省は、2007年にも通知「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」を発出し、業務移管を促していますが、今般の「緊急的な取り組み」では、より強い書き方になっています。医療機関の経営者・幹部側が「業務移管を進めなければいけない」と意識することはもちろん、現場の医師に「こうした業務は他職種に移管し、我々医師が行うべきではないのか。業務移管を進めてもらうよう、上層部に訴えよう」と認識してもらうことを厚労省は期待しています。

 さらに、▼看護師の特定行為研修受講を推進する(医師等の包括的指示の下で、事前に定められたプロトコルの中で一定の医療行為を行うことが可能となる)▼大学病院においては、業務移管が遅れており、取り組みを一層推進する—ことにも言及されています。

勤務間インターバルなどの設定や当直明けへの配慮なども検討せよ

 また(6)に関しては、▼勤務時間外に緊急でない患者の病状説明などの対応を行わない▼当直明けの勤務負担の緩和(連続勤務時間数を考慮した退勤時刻の設定)▼勤務間インターバルや完全休日の設定▼複数主治医制の導入―などが例示されています。

 このうち「当直明けの勤務負担緩和」や「勤務間インターバル」は、診療報酬の算定要件(例えばA200【総合入院体制加算】やA207-2【医師事務作業補助体制加算】など)にもなっており(2018年度診療報酬改定で厳格化)、業務移管の推進が病院の収益増にもつながる方向が示されています(関連記事はこちら)。

 なお、「緊急的な取り組み」は医師の長時間労働を速やかに是正することが目的です。この点に関連し、労働基準監督署が医療機関に対し「長時間労働の是正」「手当の適正支給」などを勧告する事例が増えていますが、黒澤一構成員(東北大学環境・安全推進センター教授)や山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)らは、「取り締まり目的では医療現場が委縮してしまう。労働衛生体制の整備を支援する観点で指導などを行ってほしい」と要望しています。

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業務移管など「勤務医の労働時間短縮策」、実施に向けた検討に着手せよ―厚労省

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