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オプジーボの緊急(期中)薬価引き下げ、日病協では反対多数だが、一部に理解を示す団体も―日病協

2016.9.2.(金)

 オプジーボに代表される超高額薬剤について、2018年度の薬価改定を待たずに薬価の引き下げ(期中改定、緊急的な対応)を行うべきか―。

 このテーマについて、日本病院会や全日本病院協会、全国公私病院連盟など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会で議論したところ、「期中改定を行うべきではない」とする意見が大勢を占めたものの、一部団体からは「超高額な薬剤について看過できない場合、都度対応すべき」という意見も出たようです(関連記事はこちら)。

 日病協の神野正博議長と原澤茂副議長は、日病協の決議は全会一致が原則であることから、「議論を続けていく」考えを示しています。

9月2日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、神野正博議長

9月2日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、神野正博議長

期中の薬価引き下げは、診療報酬本体への充当がゼロ

 オプジーボなど超高額な薬剤が薬価収載され、今後も薬事承認される見通しです。超高額な薬剤は、当然、医療費を増加させるため、中央社会保険医療協議会や社会保障審議会・医療保険部会でも、このテーマについて集中的な議論が行われています(関連記事はこちらこちらこちら)。

 8月24日に開かれた中医協の薬価専門部会では、「2018年度の薬価制度改革に向けて議論していく」方針を固めるとともに、次のような「当面の対応策」を検討していくことを決めました(関連記事はこちらこちら)。

(1)効能追加などで大幅に市場が拡大する薬剤について、緊急的に対応することが必要であり、「2015年10月-16年3月に効能追加などがなされた薬剤(それ以前の効能追加であれば、2016年度の薬価改定で再算定、つまり薬価の引き下げが行われており、これに間に合わなかったもの)で、2016年度の市場規模が当初予測の10倍を超え、1000億円を超えるもの(突出して市場規模が拡大しているもの)」について、既存の再算定ルールを基本として対応する(事実上、オプジーボが対象)

(2)最適使用推進ガイドラインを踏まえた内容を、留意事項通知に記載する

 このうち(1)は、いわば「期中の薬価引き下げ」を意味し、これを実施すべきか否かで、さまざまな議論がなされています。中医協では診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)が明確に反対し、その理由として「薬価引き下げによって生じる財源がどうなるのかが明らかになっていない」旨をあげています。

 かつては、「薬価の引き下げで生じた財源を、診療報酬本体の引き上げに充当」していました。しかし、2014年度の診療報酬改定では、薬価の引き下げ分は消費増税対応に充てられる(全体として、医療機関の収入は見かけ上増えるが、消費増支払いで消えてしまう)など、最近では構図が変わって来ています。

 この問題が、2日に開かれた日病協の代表者会議でも議題となり、多くの団体は「期中ではなく、きちんと(2年に1度の)薬価改定の中で対応すべき」と主張したものの、一部団体からは「超高額な薬剤について看過できない状況があれば、期中であっても、薬価の引き下げを行うべき」との意見が出されていることが、同日に記者会見した神野議長と原澤副議長から明らかにされました。

 日病協の決議は「全会一致」が原則とされるため、この日は結論を出さず、継続して議論していくことになっています。

 この点について原澤副議長は、「2016年度の診療報酬改定では、診療報酬本体で0.49%のプラス改定が行われており、薬価引き下げ分の一部は診療報酬本体に反映されているだろうという見方もある。しかし、期中に薬価を引き下げた場合には、診療報酬本体への反映はゼロとなる」ともコメントしています。つまり単純に「医療機関の収入減」となってしまうことから、経営的に予期しないダメージを被るため、反対意見が多数出ているのです。

9月2日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、原澤茂副議長

9月2日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、原澤茂副議長

 

 一方、(2)の最適使用推進ガイドラインについて神野議長は、「厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)などで議論されているが、どの学会の何先生が出席されているのかなどが公開されておらず、不透明である」という懸念が代表者会議で出ていることを紹介。「今後とも、最適使用推進ガイドラインの作成過程を透明化するよう、日病協として主張していく」考えを述べています。

 さらに神野議長は、8月24日に厚労省が示した、「新薬の承認から保険収載までを総合的に検討する方針」について「大きな流れであり、今後、病院団体としてしっかり見ていく」と評価したほか、最終的な薬価収載は中医協マタ―であることから「最適使用推進ガイドラインが作成された後も、薬価基準への収載にあたって中医協で病院団体の意見を述べていく」方針も確認しています。

今後(2018年度改定以降)、超高額医薬品を保険収載するに当たって、▽薬事承認▽最適使用推進ガイドライン▽経済性の観点―を総合的に考えていくこととしてはどうかと厚労省が提案

今後(2018年度改定以降)、超高額医薬品を保険収載するに当たって、▽薬事承認▽最適使用推進ガイドライン▽経済性の観点―を総合的に考えていくこととしてはどうかと厚労省が提案

 

 なお、日病協が全7対1病院を対象に行っているアンケート調査について、現在約27万床分が回収されていることが原澤議長から報告されました。今後、回答結果を分析・精査し9月に公表される見込みです。

 

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