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2018年度の同時改定に向け、中医協と介護給付費分科会で意見交換―中医協総会

2016.12.21.(水)

 2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けて、通常よりも前倒しとなる年明け早々から集中的に議論を進め、医療・介護連携をより一層進めるために、中央社会保険医療協議会と社会保障審議会・介護給付費分科会の委員で意見交換を行う場を設け、それを踏まえた議論を中医協と介護給付費分科会で進めていく―。

 21日に開かれた中医協総会では、こういった方針が了承されました。

12月21日に開催された、「第342回 中央社会保険医療協議会 総会」

12月21日に開催された、「第342回 中央社会保険医療協議会 総会」

年明け早々から、2018年度同時改定に向けた集中的な議論を開始

 団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年にかけて、医療(とくに慢性期医療)・介護ニーズが飛躍的に高まると予想されます。このため、地域包括ケアシステムの構築や病院・病床の機能分化・連携の強化が極めて重要な政策となり、診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる2018年度に注目が集まります。

 厚労省もこの点を重く受け止め、12月14日の前回中医協総会に「医療・介護連携が特に重要と考えられる検討項目」を明示しました。21日の総会では、これも含めて2018年度同時改定に向けた主要検討項目と検討スケジュール案が厚労省から示され、了承しています。

 まず検討項目を見ると、入院医療では▼医療機能、患者の状態に応じた評価▼DPCの調整係数、機能評価係数IIの見直しなど▼医療従事者の負担軽減、チーム医療の推進などにかかる取り組み―を、外来医療では▼かかりつけ医機能▼生活習慣病治療薬などの処方▼紹介状なしの大病院受診時の定額負担―、在宅医療では▼重症度や居住形態、患者の特性に応じた評価▼訪問診療、訪問看護など▼訪問リハビリ指導管理―といったテーマが列挙されています。

2018年度診療報酬改定に向けた、主な検討項目

2018年度診療報酬改定に向けた、主な検討項目

 こうした膨大な項目について検討することになりますが、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、年明け早々から集中的に議論を進め、(1)年初から夏頃にかけての第1ラウンドで各項目の経緯や論点を議論する(2)夏から秋頃にかけての第2ラウンドで具体的な方向性を確認する(3)秋から年末にかけての第3ラウンドで改定基本方針を踏まえた具体的な対応を固める―というスケジュールを明確にしました。通常よりも前倒しで議論が進むことになります。詳細かつ具体的な検討スケジュールも参考資料として示されていますが、これはあくまでイメージであり、改定影響調査の結果分析の進捗などにより変わってきます。

2018年度診療報酬改定に向けた検討スケジュール案

2018年度診療報酬改定に向けた検討スケジュール案

 また改定項目をすべて中医協総会で議論するわけではなく、DPCについてはDPC評価分科会で、医療機能・患者の状態に応じた入院医療の評価については入院医療分科会で、という具合に、テーマ別の詳細な議論はこれら下部組織(診療報酬調査専門組織など)で議論されるため、2018年度同時改定に向けて、非常に濃密な議論が進められることになります。

 さらに注目されるのが、同時改定ゆえに、診療報酬を議論する「中医協」と、介護報酬を議論する「介護給付費分科会」との委員による『意見交換の場』が設置される点です。前回の同時改定(2012年度改定)でも中医協と介護給付費分科会の合同会合が設けられましたが、開催は1回のみとなりました。この点について支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「中医協と介護給付費分科会の検討の足並みが揃うよう、節目節目で『意見交換の場』を開催してほしい」と要望。2018年度改定に向けて『意見交換の場』をどのタイミングで、何回程度開催するのかは、今後の調整を待つ必要がありますが、厚労省保険局医療課の担当者は「できるだけ早いタイミングで開催したい」とコメントしており、早ければ第1ラウンド(年初から夏頃まで)のどこかで開催される可能性もあります。

 なお、『意見交換の場』に出席する委員は「検討項目に主に関係する委員」とされていますが、支払側の平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)からは「介護給付費分科会では事業者代表の委員が多いと感じている。委員構成のバランスを考慮してほしい」旨の要望が出されています。

熊本県のDPC病院、2017年度の機能評価係数IIについて配慮

 21日の中医協総会では、熊本県のDPC病院に対し「機能評価係数II設定上の配慮」を行うことも了承されました。

 DPCの機能評価係数IIのうち、▼効率性▼複雑性▼カバー率▼救急医療▼地域医療▼重症度―については、診療実績に基づいて、診療報酬改定の中間年度(直近では2017年度)にも見直されます。2017年度では、「2015年10-16年9月」の1年間の診療実績がベースになります。

 しかし熊本県では震災の被害が大きいため、(a)2015年10-16年9月の通常ベースの診療実績(b)震災前の2015年10-16年3月の6か月間の診療実績―のいずれか有利なほうに基づいて見直す、との配慮を行うことが了承されました。東日本大震災の被災3県(福島、宮城、岩手)のDPC病院に対する配慮と同様の措置です。

支払側委員、不正請求に関する情報提供のフィードバックを要望

 また21日の中医協総会には、厚労省から2015年度の「指導・監査実施状況」も報告されました。

 この点について支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)らは、「保険者が十分な調査を行った上で、不正請求が強く疑われる保険医療機関などについて、地方厚生局に情報提供するが、数年経っても梨の礫という状況がある。保険者から照会がなされた場合には、調査の進捗状況などを回答するなどのフィードバックを行うべきである」との要請が行われています。もっとも、不正請求か否かは判断に難しいケースも多く、機微に富んだ事項であるため、診療側や厚労省は慎重姿勢を崩していません。

 

 このほか、新たな医療機器・臨床検査の保険収載を了承したほか、先進医療1件について報告を受けています。

【新たな医療機器の保険収載】(2017年3月予定)

▼脳深部に電気刺激を与え、薬物療法で効果不十分な振戦やジストニア、パーキンソン病に伴う運動障害の軽減を行う『アクティバPC』(172万円)

【新たな臨床検査の保険収載】(2017年1月予定)

▼PCR-CE法(核酸増幅とキャピラリ電気泳動分離による検査を組み合わせた方法)による「結核菌群核酸検出」(410点)

【新たな先進医療】

▼院外心停止後患者に対する水素ガス吸入療法(有効性、安全性の確認を行い、薬事承認を目指す)

 
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