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かかりつけ医による検査データを、特定健診データに活用できるようルール整備―厚労省

2017.1.23.(月)

 2018-23年度(第3期特定健康診査等実施期間)において、特定健康診査(特定健診)の一部項目および特定保健指導の実施方法を見直すとともに、かかりつけ医と保険者との連携を強化し、本人の同意を条件として「診療における検査データを特定健診データとして活用できる」ようにルールを整備する―。

 厚生労働省は20日に、このような「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」の議論まとめ(第3期特定健康審査等実施計画期間(平成30-35年度)における特定健診・保健指導の運用の見直しについて)を公表しました(関連記事はこちらこちら)(厚労省のサイトはこちら)。

特定健診の項目、血中脂質や血糖検査などの内容を一部見直し

 特定健診は、40-74歳の人を対象としたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した健診です。特定健診によって「生活習慣の改善が必要である」と判断された場合には、特定保健指導が行われます。

 今般、厚労省検討会で特定健診・保健指導の運用に関する見直しの方向性がまとめられました。2018-23年度の健診・指導を対象にしたものです。

 まず特定健診については、過去データとの連続性などが求められることから、基本的には現行項目が維持されますが、次のように一部項目について若干の見直しが行われます。

▼血中脂質検査:定期健診などで中性脂肪が400mg/dl 以上や食後採血のためLDLコレステロールの代わりにnon-HDLコレステロールを用いて評価した場合も「実施」とみなす

▼血糖検査:原則として「空腹時血糖」または「ヘモグロビンA1c」を測定し、空腹時以外はヘモグロビンA1cのみの測定とする。やむを得ず空腹時以外にヘモグロビンA1cを測定しない場合は、食直後を除き随時血糖により血糖検査を行うことを「可」とする

▼血清クレアチニン検査:詳細な健診の項目に追加し、eGFRで腎機能を評価する。対象は「血圧または血糖検査が保健指導判定値以上の者のうち、医師が必要と認める者」とする

▼心電図検査:対象者を「当該年の特定健診の結果などで、血圧が受診勧奨判定値以上の者または問診などで不整脈が疑われる者のうち、医師が必要と認める者」とする

▼眼底検査:対象者を「原則として、当該年の特定健診の結果などで、血圧または血糖検査が受診勧奨判定値以上の者のうち、医師が必要と認める者」とする

▼標準的質問票:生活習慣の改善に関する歯科口腔保健の取組の端緒となる質問項目の追加などを行う

特定保健指導、実施方法の一部見直しに伴い「初回面接」の重要性高まる

 次に特定保健指導に関しては、対象者の選定基準について現行を維持(例えば男性では腹囲85cm以上、女性では腹囲90cm以上など)します。ただし、現在対象になっていない「腹囲が基準未満だが、高血圧・脂質以上・高血糖などのリスク要因がある人」については、対応方法を引き続き検討することになっています。

 また実施方法については、例えば▼行動計画の実績評価を3か月経過後(積極的支援では3か月以上の継続的な支援が終了後)に行うことを可能とする▼保険者と委託先との間で適切に特定保健指導対象者の情報が共有され、保険者が対象者の特定保健指導全体の総括・管理を行う場合は、初回面接実施者と実績評価を行う者の同一性を求めない▼検査結果が判明しない場合の初回面接について、一部情報(腹囲・体重、血圧、質問票の回答など)と面接内容をもとに、医師・保健師・管理栄養士が行動計画を暫定的に作成し、後日、全ての項目の結果をもとに医師が総合的な判断を行い、専門職が本人に電話等を用いて相談しつつ、当該行動計画を完成する方法を可能とする▼2年連続して積極的支援に該当し、「1年目から2年目にかけて状態が改善している」者については、2年目の指導は動機付け支援相当でもよいこととする―などの見直しを行うほか、ICTを活用して遠隔の初回面接を推進するため「国への実施計画の事前届け出」を2017年度から廃止されます。

 ただし、こうした(実質的な)緩和・効率化によって指導の質が低下しないよう、検討会では「的確な初回面接がこれまで以上に重要となる」といった点を強調しています。

 

 さらに、「医療機関(かかりつけ医)との適切な連携」を進め、治療中であっても健診の受診勧奨を行うようかかりつけ医に期待するとともに、「本人同意のもとで保険者が診療における検査データの提供を受け、特定健診結果のデータとして円滑に活用できるよう、一定のルールを整備する」こととしています。

 また、▼看護師が保健指導を行える暫定期間を2023年度末まで延長する▼保険者協議会で、保険者間のデータ連携のための共通ルールを整備し、健診・レセプトなどのデータ分析を通じて健康課題を共有し、効果的な保健事業に取り組む環境整備を進め、加入者の生涯を通じた健康づくりを医療保険者全体で支援する―といった運用面の改善も行われます。

2017年度分から、保険者毎の「特定健診実施率」などを公表

 なお、健診受診率などの目標値を次のように設定するともに、全保険者の実施率を2017年度実施分から公表し、保険者機能の責任を明確化するとしています。

【全体の実施率目標】特定健診:70%以上、特定保健指導45%以上(第2期目標を維持)

【メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率】特定保健指導の対象者2013年度までに08年度比で「25%減少」する

【保険者毎の目標】

▼特定健診:市町村国保60%以上、国保組合70%以上、協会けんぽ・船員保険65%以上、単一健保組合90%以上、総合健保組合・私学共済85%以上、共済組合90%以上

▼特定保健指導:市町村国保60%以上、国保組合30%以上、協会けんぽ35%以上、船員保険30%以上、単一健保組合55%以上、総合健保組合・私学共済30%以上、共済組合45%以上

  

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