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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

高額介護サービス費を2017年8月から引上げるが、新たな年間自己負担上限を設置―厚労省

2017.5.22.(月)

 今年(2017年)8月から、介護保険サービスを利用した場合の歴月1か月の利用者負担上限額(高額介護サービス費)について、「世帯員のだれかが市町村民税を負担している」世帯では、これまでの月額3万7200から「月額4万4400円」に引き上げられる—。

 厚生労働省は19日に、各都道府県の介護保険担当者に宛てて、このような内容を介護保険の被保険者や介護事業所に周知するよう求める事務連絡「高額介護(予防)サービス費の見直しにおける運用について」を発出しました。

新たな年間自己負担上限、対象世帯が限定されている点には留意

 昨年(2016年)、社会保障審議会・介護保険部会では、介護保険制度の見直しに向けた議論を行い、▼地域包括ケアシステムの深化・推進▼介護保険制度の持続可能性の確保―の2本を柱とする意見を取りまとめました(関連記事はこちら)。政府はこの意見を踏まえ、▼新たな介護保険施設(介護医療院)の新設▼一定の高所得者に対する3割負担の導入▼自立支援に積極的に取り組む自治体への新たな交付金の創設▼介護保険事業(支援)計画におけるPDCAサイクルの推進▼若人の負担する介護支援金における総報酬割の段階的導入―などを柱とする介護保険法改正案(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)を国会に提出しています(関連記事はこちらこちら)。

 こうした法改正事項とは別に、政令改正で対応できる見直し案の1つに「高額介護サービス費の見直し」があげられます。介護保険を利用する場合、利用者は世帯の所得に応じて1-2割(改正法成立後は3割)の一部負担(利用者負担)を行います。不適切かつ過度な利用を避けることが利用者負担の主な狙いですが、利用者負担が大きくなりすぎれば、適切な利用も阻害してしまいます。そこで、「暦月1か月当たりの利用者負担について一定の上限を設け、超過分は保険給付される」という高額介護サービス費制度が導入されているのです。

 今般の見直しでは、医療保険制度に照らして「適切な上限額」を設定することとし、「世帯員のだれかが市町村民税を負担している」世帯(第4段階)について、これまでの月額3万7200から「月額4万4400円」に引き上げられることになりました。今年(2017年)8月からの引き上げとなります。

高額介護サービス費見直しの概要。赤枠の「世帯員のだれかが市区町村民税を課税されている」世帯では、月額の上限が4万4400円に引き上げられる。ただし急激な負担増を避けるために、新たな年額自己負担上限(従前の3万7200×12=44万6400円)が設定される

高額介護サービス費見直しの概要。赤枠の「世帯員のだれかが市区町村民税を課税されている」世帯では、月額の上限が4万4400円に引き上げられる。ただし急激な負担増を避けるために、新たな年額自己負担上限(従前の3万7200×12=44万6400円)が設定される

 
 もっとも、急激な負担増を避けるために、新たに「自己負担額の年間(前年の8月1日から7月31日までの間)の合計額について、44万6400円(従前の月額上限3万7200円×12か月分)の負担上限額を設定する」ことになっています(3年間の時限措置)。

ここで新たな年間上限の対象が「介護保険利用者以外も含めた世帯員すべてが1割負担」である世帯となっている点にはご留意ください。世帯内の被保険者(利用者ではない被保険者も含む)でも、2割負担者(合計所得金額160万円以上、年金収入のみであれば280万円以上)がいる世帯、現行の第5段階(現役並み所得のある世帯)については新たな年間上限の対象外となります。

また、基準日に第3段階(世帯員全員が市区町村民税非課税など)以下であるものの、計算期間中に第4段階(世帯員のだれかが市町村民税を負担している)の期間がある場合などは、例外的に年間自己負担額が44万6400円を超えてしまうことがあります。厚労省は、「こうした場合に、より負担能力の低い世帯に年間上限の対象としないことはバランスを欠く」として、基準日に第3段階以下である世帯についても新たな年間上限の対象とすることにしています。

新たな年間自己負担上限(44万6400円)の対象となるか否かの基準

新たな年間自己負担上限(44万6400円)の対象となるか否かの基準

月額自己負担が4万4400円となり、年間自己負担上限の対象となるかどうかの具体例

月額自己負担が4万4400円となり、年間自己負担上限の対象となるかどうかの具体例

 

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