主任ケアマネ、5年ごとの更新「継続」が必要な点を明確化―厚労省
2017.5.23.(火)
主任介護支援専門員(主任ケアマネ)のさらなる資質向上を目指し、「主任介護支援専門員に向けた研修を少なくとも5年ごとに受け続ける」ことを義務付けるような見直しを行う—。
厚生労働省は18日に、このような内容の通知「『介護支援専門員資質向上事業の実施について』の一部改正等について」を都道府県知事に宛てて発出しました。現在、国会で審議中に介護保険法改正案や、今後の介護報酬改定論議でも「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上」が重要な論点となっており、一連の流れによるものと言えそうです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
技術・知識の維持を期待し、最新の介護サービス事例などの研修を求める
2006年度の介護保険制度改革において、ケアマネジャーの資質向上を目指して「主任介護支援専門員」制度が創設されました。
所定の研修を受けた主任介護支援専門員には、一般のケアマネジャーを統率するリーダーとしての役割が期待され、常勤・専従の主任介護支援専門員を配置する居宅介護支援事業所では【特定事業所加算】(1か月当たり300-500単位)を算定することが可能になります。
介護サービスの種類が増え(例えば2012年度からは定期巡回随時対応型居宅介護看護などが創設された)、介護報酬も複雑化する中では、主任介護支援専門員に求められる技術・知識も多様化・高度化してくるため、2016年度からは主任介護支援専門員について「5年間の有効期間」を設置するとともに、「更新制度」(更新研修を受講)を設けることとなりました。最新の事例について講義・演習を受けることで、卓越した技術・知識の維持を実現することが狙いです。
さらに厚労省は今般、主任介護支援専門員の更新が「継続」して行われるよう、主任介護支援専門員の定義を次のように改めている旨を明確化したものです(2017年4月1日から施行済)。
●主任介護支援専門員:介護支援専門員であって、▽主任介護支援専門員研修を修了▽主任介護支援専門員研修の終了から5年以内ごとに主任介護支援専門員更新研修を修了—した者
これに伴って、「主任介護支援専門員更新研修実施要綱」について次のような一部見直しを行っていました。2017年5月18日から適用されています。
▼主任介護支援専門員更新研修修了者は、介護支援専門員更新研修修了者とみなし、介護支援専門員更新研修の受講を免除する(この点は従前から変更なし)
▼介護支援専門員証は、原則として「主任介護支援専門員更新研修修了証明書」の有効期間に置き換えて交付する(原則との文言を付記)
▼置き換えを希望しない場合には、別段の申し出によってこれを可能とし、都道府県は主任介護支援専門員更新研修終了時点などに、この申し出の機会を確保する(新たに規定)
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