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GemMed塾 大学病院本院群を取り巻く現況を解説 ~昨今の特定病院群・標準病院群の経営努力とは~

キムリアによる白血病患者等へのCAR-T療法、細胞採取はK921【造血幹細胞採取】を、投与はK922【造血幹細胞移植】を準用―厚労省

2019.5.22.(水)

 画期的な白血病・悪性リンパ腫治療薬である「キムリア点滴静注」を用いたCAR-T療法を保険診療で行う場合、細胞採取についてはK921【造血幹細胞採取】の規定を、投与についてはK922【造血幹細胞移植】の規定を準用する―。

 厚生労働省は5月21日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』の一部改正について」を発出し、こうした点を明らかにしました。5月22日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

CAR-T療法、患者の細胞を採取し、これを遺伝子組み換えして増殖し、患者に投与

 画期的な白血病(B細胞性急性リンパ芽球性白血病:B-ALL)・悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:DLBCL)治療薬である「キムリア点滴静注」(成分名:チサゲンレクルユーセル)が、5月22日付で保険収載されます。

 白血病・悪性リンパ腫患者自身のT細胞(リンパ球の一種)を採取し、遺伝子組み換え(キメラ抗原受容体、chimeric antigen receptor:CARを発現させる)を行った上で増殖し、患者の体内に戻す(投与)という「CAR-T細胞治療」に用いる再生医療等製品です。

 このCAR-T細胞治療において、▼患者自身からの細胞を採取する ▼リンパ球除去化学療法を行う▼患者に投与する―行為は医療機関で実施され、保険診療においてCAR-T細胞治療を実施する場合には、これら医療行為を診療報酬で評価することになります。

5月15日の中央社会保険医療協議会では、当面、▼「患者自身からの細胞採取」については、K921【造血幹細胞採取(一連につき)】の2「末梢血幹細胞採取」のロ「自家移植の場合」(1万7440点)を▼「リンパ球除去化学療法」については、G004【点滴注射(1日につき)】(6歳未満の乳幼児で、1日分の注射量が100mL以上であれば98点、それ以外の患者で1日分の注射量が500mL以上であれば97点)などを▼「患者への投与」については、K922【造血幹細胞移植】の2「末梢血幹細胞移植」のロ「自家移植の場合」(3万850点)を―それぞれ準用して評価する方針を了承しました。

 
これを受け、今般、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(いわゆる診療報酬点数表の解釈通知)について必要な見直しが行われたものです。

まずK921【造血幹細胞採取】については、従前どおり▼K922【造血幹細胞移植】を行わなかった場合でも算定できる▼K921【造血幹細胞採取】の「同種移植」は、K922【造血幹細胞移植】の「同種移植」を算定した場合に限り算定できる▼ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の投与予定患者に造血幹細胞採取を行う場合は、K921【造血幹細胞採取(一連につき)】の「1 骨髄採取」の「ロ 自家移植」により算定する▼骨髄採取に係る当該骨髄穿刺を行った場合は、D404【骨髄穿刺】・J011【骨髄穿刺】は別に算定できない―との解釈を維持したうえで、キムリア点滴静注(チサゲンレクルユーセル)投与の場合に関する算定ルールを次のように明確にしました。

▽チサゲンレクルユーセル(キムリア点滴静注)の投与予定患者に対して末梢血単核球の採取を行う場合は、K921【造血幹細胞採取(一連につき)】の「2 末梢血幹細胞採取」の「ロ 自家移植」の所定点数(1万7440点)を準用し、患者1人につき1回に限り算定する

 
またK922【造血幹細胞移植】についても、キムリア点滴静注(チサゲンレクルユーセル)投与の場合に関する算定ルールを次のように新設しています。

▽チサゲンレクルユーセル(キムリア点滴静注)の投与を行う場合は、K922【造血幹細胞移植】の「2 末梢血幹細胞移植」の「ロ 自家移植」の場合の所定点数(3万850点)を準用して、患者1人につき1回に限り算定する

▽この場合(チサゲンレクルユーセル(キムリア点滴静注)の投与を行う場合)には、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た医療機関において『1 骨髄移植』および『2 末梢血幹細胞移植』を実施した場合の【コーディネート体制充実加算】(1500点)を加算する」旨の規定は適用しない(つまり、【コーディネート体制充実加算】は算定できない)

キムリアを保険診療で用いる場合、最適使用推進ガイドラインの遵守を

 
 なお、厚労省は同日に、通知「チサゲンレクルユーセル製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について」も発出しています(厚労省のサイトはこちら)。

 そこでは、キムリア点滴静注を保険診療で使用する際には、施設要件や患者要件などを規定した「最適使用推進ガイドラン」を遵守しなければならないこと、レセプトの摘要欄に自院がいずれの施設要件を満たすのか(▼日本造血細胞移植学会が定める移植施設認定基準の全ての項目を満たす診療科(認定カテゴリー1)を有する施設であるか▼認定カテゴリー1に準ずる診療科(認定基準のうち、移植コーディネーターの配置に係る基準以外を満たす診療科)を有する施設であるのか―)を記載することを求めています。

 キムリア点滴静注は極めて高額な薬価(3349万円)が設定されています。また使用に当たっては、前述のように「細胞の採取」が必要となり、さらに重大な有害事象(サイトカイン放出症候群、CRS:Cytokine release syndromeなど)が生じる恐れもあることから、医療機関には▼造血細胞移植の技術を持つ医師の配置▼有害事象が生じた場合に適切な対応をとれる体制の整備―などが求められ、それを保険診療上も担保するために、当該留意事項通知が示されたものです。こうした留意事項を遵守しない場合、レセプト審査において「査定」対象となる可能性もありますので、ご留意ください。

【更新履歴】厚労省サイトへのリンクを追記しました。

 
 
病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

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