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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2020年度診療報酬改定、「効率化・合理化の視点」「働き方改革の推進」「費用対効果評価」なども重要視点―社保審・医療保険部会

2019.10.3.(木)

 2020年度の次期診療報酬改定に向けて、基本方針策定論議が社会保障審議会の医療保険部会でもスタートしました。

 すでに社保審・医療部会でも議論が始まっており、12月初旬には基本方針が策定される見込みです。

9月27日に開催された、「第119回 社会保障審議会 医療保険部会」

 

審査支払の現場からは「診療報酬の簡素化」を切望する声も

 診療報酬改定論議は、かつて中央社会保険医療協議会を舞台にした汚職事件が生じた(背景には、中医協の所掌範囲・権限があまりに大きくなり過ぎたことが指摘されている)ことへの反省を踏まえ、2006年度改定より、▼改定の基本方針は社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で決定する▼改定率は内閣が予算編成過程で決める▼基本方針と改定率を受け、中医協で改定内容を詰める―という役割分担が行われています。

 
 厚生労働省保険局医療介護連携政策課の山下護課長は、9月27日の社会保障審議会・医療保険部会で「2020年度診療報酬改定の基本方針」策定論議を始めることを要請。医療部会(9月19日開催)と同じく、▼健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現(社会保障制度の持続可能性の確保など)▼医師等の働き方改革の推進(医療従事者の業務負担の軽減や医療資源の効率的な配分など)▼患者・国民に身近な医療の実現(かかりつけ医機能の充実、患者への情報提供や相談・支援の充実など)―などの基本認識に立ち、例えば▼医療機関内における適切なマネジメントやタスク・シフティングの推進▼かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価▼アウトカムに着目した評価の推進▼質の高いがん医療の評価▼地域によって異なる状況を踏まえた病床機能の分化・連携の推進、入院医療の評価▼残薬や重複投薬、薬剤耐性(AMR)、ポリファーマシーへの対応や長期処方時の適正使用等―などを重点課題としてはどうか、との「例示」を行いました。


 
 
医療保険部会委員からは、さまざまな角度から次期改定に向けた意見が出されています。

費用負担者代表として参画する佐野雅宏(健康保険組合連合会副会長)や安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)、藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)らは医療保険制度の持続可能性確保を目指し「効率化・合理化」を強力に進める必要があると強調。例えば、▼後発医薬品の使用促進▼重複投薬の是正▼オンライン診療の推進―などを重点項目に据えてはどうかと提案しています。

 
また、医師をはじめとする「医療従事者の働き方改革」も2020年度改定では極めて重要なテーマとなります。この点、南部美智代委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は「医療従事者の働き方改革」「医師の偏在解消」「地域医療構想の実現」を一体的に進める必要があるとし、これらを診療報酬でもサポートするよう求めました。

なお、前日(9月26日)に「再編統合について再検証すべき424の公立病院・公的病院等」のリストが公表されたことにも触れ、「地域の実情を踏まえた慎重な論議が必要」と訴えています。

また「働き方改革」に関連して秋山智弥委員(日本看護協会副会長)は、「人員配置の合理化が指摘されるが、医療従事者の負担軽減を目指すのであれば『配置の強化』を考えるべきではないか。医療においては安全性の担保が何よりも大事であり、『合理化・効率化』ばかりに軸足を置いた議論とならないようにすべき」と指摘しました。この点、医療従事者の数は限られていることから、秋山委員の指摘するように「個々の医療従事者の負担軽減、医療安全確保のために人員配置を強化する」方向を目指すのであれば、医療機関の集約・統合により「1施設当たり、1ベッド当たりの医療従事者配置を手厚くする」考えに辿り着きます。

 なお秋山委員は「認知症高齢者の増加」を踏まえ、「認知症対策の推進」を柱の一つに据えるべきとも提案しています。

 
 一方、学識者の立場として参画する菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)は、費用負担者サイドの委員と同様に「効率化・適正化」が極めて重要であるとした上で、「新規の医療技術が保険適用され、中長期的には医療費適正化の効果が出てくる。併せて、新規技術が代替する『既存技術』については再評価(つまり点数等の引き下げ)を検討する必要がある」と指摘しています。例えば、画期的なC型肝炎治療薬の「ハーボニー」や「ソバルディ」が登場した際には、一時的に医療費が大きく膨らみました。しかし、これらの薬剤によりC型肝炎は完治が見込め、かつ「将来の肝硬変、肝臓がん」が予防されることから、中長期的には大きな医療費適正化効果があると見られています。この点、既存の治療薬(インターフェロン)などについては、将来の「医療費適正化効果が薄い」という点も見据えた再評価を検討すべきと菅原委員は指摘します。医薬品・医療機器の値決めに関しては、「費用対効果評価」が新たな評価軸として導入され、すでに稼働が始まっています。厚労省保険局医療課の森光敬子課長は「医療技術の評価についても、費用対効果評価の視点をどう盛り込むかを検討している」ことを説明しており、今後に向けて非常に重要な論点となるでしょう。

 
 一方、原勝則委員(国民健康保険中央会理事長)は、「毎回のことであるが、診療報酬改定のスケジュールは非常にタイトであり、かつ内容が複雑になっていく。審査支払のためのシステムも当然、複雑になり、改修作業が膨大になるとともに、コストも増大していく。診療報酬の簡素化も重要な視点となる」と強調しました。診療報酬の簡素化は「患者・国民に分かりやすい医療」にもつながる大事なテーマですが、一方で、「公平・公正な診療報酬算定」という視点に立てば、施設基準・算定要件などの設定は細かくせざるを得ません(これが複雑化の最大の要因)。両者のバランスをどうとるのか、今後の中医協論議に注目する必要があります。

 
 
 

 

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