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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

補助金・診療報酬による処遇改善対象に「病院に勤務する薬剤師」も含めるべき―日病協

2022.1.31.(月)

「看護職員の処遇改善」に向けた補助金(2022年2-9月)・診療報酬(2022年10月以降)が創設されるが、「薬剤師」は賃金水準が高いとして引き上げ対象にならない。しかし病院薬剤師の給与は看護師・助産師と同程度であり「賃金引き上げの対象」に加えるべきである―。

1月28日の日本病院団体協議会・代表者会議で、こうした考えで意見が一致しました。近く厚労省に申し入れが行われます。

また会議終了後の記者会見では、斉藤正身議長(日本リハビリテーション病院・施設協会会長)と小山信彌副議長(日本私立医科大学協会会業務執行理事)から「個人的見解」としたうえで2022年度診療報酬改定内容(いわゆる短冊)に対する評価も示されています。

必ずしも看護師の給与が4000円・1万2000円アップするわけではない点を広報せよ

Gem Medで報じているとおり職員の処遇改善に向けた財政措置が行われています。この2-9月(2022年2―9月)には「補助金」で、10月(2022年10月)以降は「診療報酬」で対応がなされます。日病協では「医療従事者スタッフの収入増には大賛成である」と歓迎の声で一致していますが、例えば「薬剤師を処遇改善対象に据えられないのは問題ではないか」との声も出ているようです。

処遇改善は看護師だけでなく、「看護補助者、理学療法士・作業療法士等のコメディカルの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める」ことが明示されていますが、薬剤師については「給与水準が高い」ために対象に含まれないとされています(関連記事はこちら)。

しかし日病協では「製薬メーカーや保険薬局に勤務する薬剤師の給与は高いかもしれないが、病院に勤務する薬剤師の給与水準は看護師や助産師と同程度にとどまっている。病院での薬剤師確保が困難な中、薬剤師も処遇改善の対象に含めるべきではないか」との考えで一致。近く、厚生労働省に対し「処遇改善の対象職種に薬剤師を加える」よう申し入れを行う方針を決定しました。

ほかにも、「処遇改善の補助金・診療報酬を広範な職種の処遇改善に充てれば、1人当たりの処遇改善額は小さくなる」点について国が看護職員等にきちんと広報するべきであるとの点でも一致しました。

看護職員処遇改善に向けた補助金・診療報酬のイメージは次のようなものです。
▽「対象医療機関(上述)に勤務する看護職員の収入を●%(2-9月は1%、10月以降は3%)程度引き上げられる」程度の補助金・診療報酬を新設する

▽X病院で「100名の看護職員がおり、収入3%アップが月額1万2000円に相当する」と仮定した場合には、月額120万円(年額にして2880万円)の診療報酬算定を可能とする

▽加算で得られた財源(X病院の例では月額120万円・年額2880万円)をもとにX病院で「スタッフの賃金引き上げ」を行う

▽ただし、どのスタッフの賃金をどの程度引き上げるかは、相当程度「X病院の裁量」が認められる

病院に入る補助金・診療報酬は上記のような考えに立って設定されるので、病院が「多くのスタッフ(看護補助者やリハビリ専門職など)の給与引き上げに使おう」と考えれば、1人当たりの賃金引き上げ額は「小さく」なるのです。この点、新聞・テレビでは「看護師の給与を4000円(1%)、1万2000円(3%)引き上げる」とのみ報じており「大きな誤解」をしている看護職員等も少なくないようです。

この誤解を放置すれば「実際の処遇改善は2500円、2000円にとどまった。病院が『ピンハネ』をしているのではないか」などと考える看護職員等もでかねません。このため日病協では「国がきちんと制度を説明、広報する必要がある」と訴えているのです。

2022年度改定の短冊、病院団体はどう見ているか・・・

また、こちらもGem Medで報じているとおり、中央社会保険医療協議会・総会に「個別改定項目」(いわゆる短冊)が示され2022年度診療報酬改定論議が最終局面を迎えています。その内容について斉藤議長、小山副議長は「個人的な見解である」との前置きしたうえで、次のような考えを明らかにしています。

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度、関連記事はこちら
▼「心電図モニター管理」の削除には納得がいかないとの声が多数でている。ただし、「輸血や決製剤の管理」が1点から2点に引き上げられており、マイナス(「看護必要度」を満たす患者割合の低下)の度合いは抑えられているのではないか
▼末期など、病状の経過で「どうしても心電図モニター管理が必要になる」点には留意が必要である
▼「急性期入院医療の評価指標」について、時間をかけ、腰を据えて考えていく必要がある。日病協でもDPCデータを基に分析をしていくことも検討する

リハビリテーション、関連記事はこちら
▼急性期のリハビリ充実(例えばICU等における【早期離床・リハビリテーション加算】の充実など)は歓迎する。急性期の段階からの積極的なリハビリ実施が極めて重要である(回復期病棟に来てからリハビリをスタートするのでは遅い)
▼回復期リハビリテーション病棟入院料では「入院料5・6の一本化」や「算定期間上限」が設けられた。「なんちゃって回復期リハビリ病棟」では困るので、各病棟でしっかりした回復期リハビリ実施をお願いしたい
▼「心臓リハビリを必要とする患者」が「回復期リハビリが必要な患者」に盛り込まれた。心臓リハビリが必要な患者は、脳卒中後や骨折後のリハビリと異なり、状態が不安定で「1日9単位のリハビリ実施」などは事実上不可能であろう。心疾患の専門病院に併設された回復期リハビリ病棟などで実施することが期待される。
▼もちろん、現行どおり「廃用症候群リハビリが必要な患者」として「心臓リハビリが必要な患者」(状態が相当程度落ちついている患者)を受け入れる回復期リハビリ病棟もあり、そこではこれまでどおりの取り組みを継続してもらうことになる



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