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開発中の「血液がん用の遺伝子パネル検査」、診断や予後の予測でとくに有用性が高い—国がん

2022.7.7.(木)

現在、開発中の「血液がんを対象とする遺伝子パネル検査」の有用性を176名の血液がん患者(188検体)で検証したところ、「97%で遺伝子異常を検出できる」「検出頻度の低い遺伝子異常も検出可能である」「生殖細胞系列の異常も十分に検出可能である」「特に診断時点、次いで予後予測段階で有用性が高い」ことなどが明らかになった—。

国立がん研究センターは7月1日に、こうした研究結果を公表しました(国がんのサイトはこちら)。血液がん用の遺伝子パネル検査が早期に保険適用され、「最適な治療法選択」が可能になることが期待されます。

これまで診断が困難であった血液がんについても、遺伝子変異による治療法選択が可能に

ゲノム(遺伝情報)解析技術が進み、「Aという遺伝子変異の生じたがん患者にはαという抗がん剤投与が効果的である」「Bという遺伝子変異のある患者にはβ抗がん剤とγ抗がん剤との併用投与が効果的である」などの知見が明らかになってきています。こうしたゲノム情報に基づいて最適な治療法(抗がん剤)の選択が可能になれば、がん患者1人1人に対し「効果の低い治療法を避け、効果の高い最適な治療法を優先的に実施する」ことが可能となり、▼治療成績の向上▼患者の経済的・身体的負担の軽減▼医療費の軽減―などにつながると期待されます。

2019年6月から、がん患者における複数(百以上)の遺伝子変異を包括して検出できる「遺伝子パネル検査」が保険適用され(関連記事はこちらこちら)、我が国でもがんゲノム医療が保険診療の中で実施可能となりました。その後も▼検査手法の拡大▼リキッドバイオプシーの保険適用(血液を検体とする遺伝子パネル検査、関連記事はこちら)▼遺伝子パネル検査の保険点数改善(関連記事はこちら)▼遺伝子パネル検査で最適な抗がん剤が見つかったが、保険適用されていない場合の「患者申出療養」の活用促進(関連記事はこちら)—など、がんゲノム医療が普及してきています。

ところで白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液がんについては、現在、遺伝子パネル検査手法が開発途上にあり(保険適用はなされていない)、患者・家族からは「早期の遺伝子パネル検査開発」「早期のゲノム医療実施」を望む声が高まっています。

そうした中で今般、国がんが、大塚製薬社で共同開発している「血液がんに対する遺伝子パネル検査」の有用性に関する検証研究を行い、「有用性が高い」との結果を公表しました。

国がん・大塚製薬社では、「血液がんで繰り返し遺伝子異常が報告されている452遺伝子の変異・融合遺伝子/構造異常・コピー数異常からなる体細胞異常・生殖細胞系列異常を網羅的に解析できる」遺伝子パネル検査を設計。今般、成人および小児の176名・188検体をもとに、遺伝子パネル検査による包括的ゲノムプロファイリング(遺伝子異常等の検出・評価)を行いました。

開発中の血液がん用遺伝子パネル検査の有用性検証手法



その結果、次のように高い有用性があることが示唆されました。「血液がん用の遺伝子パネル検査の早期薬事承認・保険適用」→「血液がん患者へのより適切な治療法選択」が進むことが期待されます。

▽97%の患者で1個以上の遺伝子異常が検出され、1患者につき中央値7個の遺伝子異常が検出された(既存の遺伝子パネル検査と同等以上の高い検出率)

開発中の血液がん用遺伝子パネル検査の有用性(1) 



▽骨髄液や末梢血などの生細胞だけでなく、ホルマリン固定パラフィン包埋検体でも高率に解析可能である

▽頻度の低い異常である「PVT1-SUPT3H」や「GATA2/MECOM」なども検出可能である

▽血液がんの疾患ごとに「高頻度に検出される遺伝子異常」(血液がんの原因である可能性が高い)をみると、急性骨髄性白血病では「KMT2A」「NPM1」「DNMT3A」「RUNX1」「TET2」、急性リンパ芽球性白血病等では「ETV6」「NOTCH1」「CDKN2A/B」「CREBBP」などであり、これまでの報告と同等の頻度で検出されている

開発中の血液がん用遺伝子パネル検査の有用性(2)

開発中の血液がん用遺伝子パネル検査の有用性(3)



▽生殖細胞系列の遺伝子異常は3%・6名で検出され、うち5名は遺伝性乳がん・卵巣がんの発症に関わる「BRCA1/BRCA2異常」で、うち3人は確認検査でも陽性が確認された(本遺伝子パネル検査は生殖細胞系列の異常も十分に検出可能である)

▽造血器腫瘍ゲノム検査ガイドラインに基づいた評価により、診断、治療法選択、予後予測に有用な遺伝子異常が、それぞれ82%、49%、58%の患者で検出された。有用性が高い(A-B評価)と考えられる遺伝子異常はそれぞれ76%、12%、44%の患者に検出され、本遺伝子パネル検査は「特に診断」「次いで予後予測」で有用であると示唆された

開発中の血液がん用遺伝子パネル検査の有用性(4)



▽急性骨髄性白血病(AML)については、本遺伝子パネル検査により「約1/ 3の患者でリスク分類の変更」がなされた(AMLでは染色体異常・遺伝子異常によってリスク分類がなされ、それをもとに同種移植の適応が決定されることから、本遺伝子パネル検査によってより適切な治療が提供可能になることを意味している)

▽急性リンパ性白血病(ALL)では、これまで診断が困難だった「フィラデルフィア染色体様急性リンパ性白血病(ALL)」であることを示す遺伝子が検出された(ETV6-ABL1やATF7IP-PDGFRB融合遺伝子)(フィラデルフィア染色体様急性リンパ性白血病(ALL)はそれぞれの融合遺伝子が治療標的として期待されており、本遺伝子パネル検査は「発症時の白血病」においても有用である)



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