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8月3日からの東北地方や北陸地方を中心とする豪雨被災者、「保険証等持たずとも保険診療を受けられる特例」適用―厚労省

2022.8.5.(金)

この8月3日から我が国を大雨が遅い、東北地方や北陸地方を中心に、極めて大きな被害が出ています。状況を重くみた厚生労働省は、保険証(被保険者証)を持たずに避難した、あるいは保険証を滅失してしまった方について、「保険証を持たずに医療機関等を受診した場合でも保険診療を受けられる(1-3割の負担で済む)」という臨時特例を設けました。



保険診療を受ける、つまり「医療機関を受診した際に、窓口で一部負担(年齢・所得に応じて1-3割)のみを支払って医療を受ける」ためには、原則として、自身の加入する医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)の発行した被保険者証(いわゆる保険証)を医療機関等の窓口に提示し、「自分は、公的医療保険の加入者である」旨を証明しなければなりません。

医療機関等では、患者本人に医療費の1-3割を「一部負担」(窓口負担)として請求し、残りの7-9割は保険者に請求することになります。この資格確認が曖昧では、医療機関等が「この患者には、1-3割の自己負担を請求するだけでよいのか?もし医療保険に加入していなければ10割請求をしなければならないが・・・」と不安を持ち、円滑な事務が滞ってしまうためです(関連して、オンライン資格確認等システムの本格稼働に向けた準備が進められている)。

被保険者証を持参し忘れるなどして、医療機関等の窓口で提示できない場合には、「一旦、医療費の全額を医療機関の窓口で支払い、後日、自分自身で医療保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)に申請し、保険給付分(年齢や所得に応じて7-9割)を償還してもらう」ことが原則となります。



しかし、今般の大雨で被災された方の中には、さまざまな理由で医療保険の「被保険者証」(保険証)や、難病等の「医療受給者証」などを持たずに避難を余儀なくされた方も少なくないでしょう(着の身着のままに避難された方も少なくない、また自宅に戻れない、自宅が被災し被保険者証(保険証)が紛失してしまった方なども少なくない)。こうした被災者に上記の原則を適用することはあまりに酷であり、厚生労働省は「特例措置」を設けることを8月3日に迅速に決定(事務連絡「令和4年8月3日からの大雨による災害の被災者に係る被保険者証等の提示等について」)。これまでに東日本大震災や熊本地震、北海道地震、各地の豪雨に伴う浸水などの大災害で被災された方にも、同様の対応がとられています(関連記事はこちら(2021年の静岡県豪雨の被災者特例)こちら(2020年の福島県沖地震の被災者特例)こちら(2020年台風14号被災者特例)こちら(2020年7月九州豪雨の被災者特例)こちら(2019年台風19号の被災者特例)こちら(2018年北海道大地震の被災者特例)こちら(2018年7月豪雨の被災者特例))。

特例措置の具体的な内容は、被保険者証を持たずに避難したために、医療機関窓口に提示できない場合であっても、▼氏名▼生年月日▼連絡先(電話番号等)▼被用者保険(健保組合や協会けんぽ)の被保険者では「事業所名」(会社名)▼国民健康保険・後期高齢者医療制度(75歳以上の方が加入)の被保険者では「住所」▼国保組合では、住所と組合名―を医療機関の窓口で申し立てることで、保険診療が受けられるようにするものです。



この場合、医療機関側は次のようにレセプト請求を行うことになります。

▼「受診時に確認した被保険者の事業所」や「過去に受診した医療機関」などに問い合わせて、可能な限りレセプトに保険者(健保組合など)を特定し、記載する

▼保険者を特定できない場合には、「住所または事業所名」「連絡先」などをレセプトの欄外上部に記載する



なお、新型コロナウイルス感染症の自宅療養患者や濃厚接触者が「避難」する場合には、「避難所等において感染防止対策を十分にとってほしい」と厚労省は要望しています(関連記事はこちら)。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

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