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認知症の原因疾患を鑑別し、治療法選択・その効果測定を補助する「PET検査」の保険適用に強い期待—都健康長寿医療センター

2022.11.22.(火)

現在、認知症の診断・治療効果測定を補助するための「PET検査」は保険適用されていない。しかし、認知症の原因疾患(アルツハイマー病、レビー小体型認知症など)を鑑別し、適切な治療法に結びつけ、またその治療の効果測定を行うためには「脳内の状況を正確に把握するPET検査」が必要不可欠である—。

東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)は11月14日に、こうした内容の研究トピックスを公表しました(研究所のサイトはこちら)。

認知症の原因疾患を鑑別し、適切な治療につなげるためにPET検査が極めて重要

高齢化の進行に伴い、認知症患者も増加し、さらに増加することが見込まれます。2018年には認知症患者数は500万人を超え、65歳以上高齢者の「7人に1人が認知症」という状況です。

政府もこうした状況を重く見て、認知症対策の充実・強化に向け、新オレンジプランを大改革した「認知症施策推進大綱」を2019年6月に取りまとめました。そこでは、「認知症の人との共生」「認知症の予防(発症を遅らせる)」を目指し、(1)普及啓発・本人発信支援(2)予防(3)医療・ケア・介護サービス・介護者への支援(4)認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援(5)研究開発・産業促進・国際展開―という5つの柱を打ち立てています(関連記事はこちら)。また、現在進行中の「介護保険制度見直しに向けた議論」の中でも「認知症対策」が重要な柱の1つに位置づけられています(関連記事は こちら)。

このうち(5)の研究開発においては、何よりも「効果的な治療薬の開発」に期待が集まっています。

認知症の原因疾患の代表と言える「アルツハイマー病」では、脳内に「アミロイド-β」「タウ」と呼ばれるタンパク質が異常蓄積され、神経細胞を徐々に減少させていくことが分かっています。このためアルツハイマー病治療薬の候補は、これらタンパク質病変を標的としたものが多くなっています。その際、「その治療薬が本当に機能しているかどうか、タンパク質の異常蓄積を防いでいるか」を「生きているヒトの脳の中で評価・確認する」技術が重要です。この点、「タンパク質病変の脳内蓄積を検出するための薬剤」を用いたPET検査(Positron Emission Tomography、陽電子断層撮像法)が開発され(米国で複数の薬剤が薬事承認を得ている)てきています。

PET検査は、「認知症を発症した人の原因疾患を鑑別する」際にも極めて重要です。認知症の原因疾患には、アルツハイマー病以外にもレビー小体型認知症(「α-シヌクレイン」とうタンパク質の凝集体からなるレビー小体が脳内に蓄積する)など複数あり、治療法が異なるため、診断・治療法の選択にあたり「脳内の異変を正確に把握する」ことが非常に重要となるのです。現在「α-シヌクレイン」病変に対するPET用薬剤の開発も進められています。

「PETによるアミロイドーβやタウの病変検出」は非常に精度の高い技術ですが、残念ながら、まだ保険適用されていません。研究所では「今後アルツハイマー病の根本的治療法が開発され、『PETによるアルツハイマー病の進行具合や治療効果モニタリング』の有益性が示されれば、アルツハイマー病におけるPETが身近なものになる(保険適用も近い)」と指摘し、治療法等の開発に邁進する考えを強調しています。

アルツハイマー病におけるPET検査のイメージ

認知症PET検査の役割



なお、研究所の「神経画像研究チーム」では、高齢者特有の疾患、とりわけ「脳に関係する疾患」について、PETを用いた病態解明・診断法開発に関する研究を行っています。最近では▼脳の血流を測定するためのPET用薬剤(アルツハイマー病では「脳機能の低下」と「脳血流の低下」が深く関係しており、本薬剤で脳血流を測定することでアルツハイマー病の診断に寄与できる)▼神経変性疾患(アルツハイマー病やレビー小体型認知症なども含まれる)の治療標的として注目されている「ヒストン脱アセチル化酵素6」のPET用薬剤—などの開発が行われています。今後の研究推進に期待が集まります。



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