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2024年度診療報酬改定、「医師働き方改革」「物価・人件費の急騰」「医療技術への高度化」などへ十分な対応を―全自病・小熊会長

2023.6.29.(木)

2024年度の次期診療報酬改定において、「医師働き方改革」「物価・人件費の急騰」「医療技術への高度化」などへ十分な対応を行ってほしい。例えば、入院基本料の一律引き上げや、地域医療体制確保加算の細分化などが考えられる—。

全国自治体病院協議会は6月22日に、こうした内容を盛り込んだ2024年度の「社会保険診療報酬に関する改正・新設要望書」を厚生労働省に提出しました(全自病のサイトはこちら)。

医療現場の実態を踏まえたDPC分岐の精緻化、合計で高額となる薬剤の出来高評価を

全自病の要望内容は非常に多岐にわたります。気になる項目をピックアップしてみましょう。

まず出来高報酬に関する要望項目としては、次のような項目が目立ちます。

▽同日における2科目の【初診料】(141点)、同じく再診料・外来診療用【36点】について、「3-4科」まで拡大する

▽【感染対策向上加算2】における「感染症を扱う専任医師、病院薬剤師等配置」要件の緩和(中小規模病院では非常に困難である)

▽【地域包括ケア病棟入院料】等において、栄養サポートチーム加算、病棟薬剤業務実施加算、退院時共同指導料2、介護支援連携指導料、診療情報提供料を包括範囲から除外する

▽退院時処方について、「理由を明記する」等の要件を付したうえで算定可能とする

▽新型コロナウイルス感染症患者の診療に対する評価の充実(後遺症に対する外来診療について1回100点、入院治療について1日250点の算定を認める)

▽【地域医療体制確保加算】(620点、年間救急搬送2000件以上)について、年間救急搬送件数1000-1999件の加算2(400点、1回に限り算定)、同じく500-999件の地域包括ケア病棟を有する在宅支援病院で算定可能な加算3(300点、1回に限り算定)を設ける同件数500件以上1000件未満 の

▽【医師事務作業補助体制加算】について、医療クラークの処遇改善を可能とする加算を新設する

▽【がん患者リハビリテーション料】を外来患者(通院でのリハビリ)にも算定を認める

▽【新生児特定集中治療室管理料2】について、「直近1年間で出生体重2500g未満の新規入院患者数30件以上」要件を廃止または緩和する

▽入院基本料全般について「物価・人件費上昇相当分」の底上げとして、一律の増点を行う

▽【看護補助体制充実加算】の引き上げ(現行5点→15点へ)

▽【入院時支援加算】について、「自宅から入院する予定入院患者であること」、「入退院支援加算を算定する患者であること」との要件を廃止する

▽看護サマリなどを転院先医療機関や地域の介護支援専門員などへ情報提供することを新たに評価する

▽【病棟薬剤業務実施加算2】について、上乗せ加算「救命救急薬剤業務加算」(1回300点)を新設する

▽外来患者に対する周術期の服薬指導に対する評価(1か月に200点)を新設する

▽入院時食事療養費について引き上げを行う
(現在)
療養費I:▼1食につき640円▼特別食加算76円▼流動食のみを提供する場合575円—
療養費II:▼1食につき506円▼流動食のみを提供する場合460円

(要望)
療養費I:▼1食につき780円(流動食のみを提供する場合も同額、通常食で+140円)▼特別食加算93円(+17円)
療養費Ⅱ:▼1食につき618円(流動食のみを提供する場合も同額、通常食で+112円)

▽【入院栄養管理加算】について、特定機能病院「以外」への適用拡大などを行う

▽【認知症ケア加算】について「5-10点」の増点などを行う

▽【院内トリアージ実施料】について、再来患者での算定も認める

▽【がん患者指導管理料】について、「指導料ロ」は200点×6回以上は算定できないが、数年後に「別の部位の新たながん」が生じる場合があることも踏まえて、継続相談に対する診療報酬算定を認める

▽【急性期充実体制加算】について、「特定の保険薬局との間で不動産取引等その他の特別な関係の賃貸借取引がない」との要件を廃止する(関連記事はこちら

▽【診療情報提供料(I)】の「検査・画像情報提供加算」を増点する((現)退院患者200点→300点へ、(現)入院中患者30点→100点へ)

▽【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】について、マイナンバーカードを利用しない場でも、理療する場合でも同点数とする

▽【地域包括ケア病棟入院料】等において、リハビリを上限を設けたうえで出来高算定可能とする

▽【救命救急入院料】について「他病棟から転棟患者」にも算定可能とする

▽【栄養サポートチーム加算】について点数を倍増((現)週1回200点→同400点へ)し、特定入院料(ICU)等でも算定可能とする

▽外来がん看護のチーム医療連携に関わる評価を新設する

▽救急・集中治療室等において「血液 透析を実施した場合」の評価(1日2500点)を新設する



またDPCに関しては、次のような重点要望を行っています。

▽複雑化する遺伝子検査用の標本作製において、「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規定(日本病理学会)」に定められた適切な手順を遵守し、検体不良による中断の低減を目的とする【遺伝子検査用病理標本作製料】を新設し、出来高算定可能とする

▽「単価でみた薬価が高額でなくとも、入院中に反復して使用するために合計額が高額となる薬剤」について、出来高評価あるいは適切な分岐を設定する

▽診断群分類の精緻化(070560(重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患)、060030(小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍)など)を行う



「医師働き方改革」「物価・人件費などの急騰」などへの対応、医療技術の高度化などへの対応を求める内容と言えるでしょう。



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