能登半島大地震の被災医療機関等、レセプトの「概算請求」や「請求期限の延長」を認める—厚労省
2024.1.9.(火)
1月1日に能登半島を中心に大きな地震が発生し、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
そうした中では、医療機関等も被災しているケースがあります。レセプト請求間近(12月診療分を1月10日に請求)の被災となり、「作成したレセプトを滅失・棄損してしまった」「レセコンが故障してしまった」などの理由から期日通りの請求等が困難な事態が生じている可能性があります。
こうした事態に対応するために、厚生労働省は1月4日に事務連絡「令和6年能登半島地震にかかる災害による被災に関する 診療報酬等の請求の取扱いについて」を示し、「過去の請求実績をベースにした概算請求」や「請求期限の延長」を行う考えを明確にしています。過去の大災害(東日本大震災や西日本豪雨、大規模台風など)でも同様の特例が行われてきています(関連記事はこちらとこちら)。
また、被災者が極めて多く来院されている医療機関等も少なくないと思われます。この場合、一時的に診療報酬等の基準をクリアできない事態が生じる可能性があります。さらに、そうした医療機関に人材の応援を出した医療機関では、一時的な人手不足が生じ、やはり診療報酬等の基準をクリアできない事態も生じえます。こうした場合には「一時的に施設基準を満たさなくなったとしても変更の届け出を直ちにする必要はない」(従前の診療報酬を継続算定できる)旨が示されています(関連記事はこちら)。
2023年12月診療分のレセプトを棄損した場合など、直近状況踏まえた概算請求も可能
まず、12月診療分のレセプト請求間際に大地震が発生したため、レセプトを滅失・汚損・浸水・棄損してしまった医療機関・保険薬局・訪問看護ステーションでは「概算請求」が認められます。
概算請求とは、個々の医療機関における直近の支払額に準じて12月分の請求額を決める方法で、具体的には次のように計算します(公費負担医療に係るものも含まれる)。
【入院診療分】
「昨年(2023年)9-11月診療分の実際の支払額」÷91日×「昨年(2023年)12月の入院診療『実』日数」
【外来診療、保険薬局、訪問看護ステーション】
「昨年(2023年)9-11月診療分の実際の支払額」÷73日×「昨年(2023年)12月の外来診療『実』日数」
この「概算請求」方法を採る場合には、▼やむを得ない事情がある場合を除いて、1月15日までに「概算請求方法による」ことを審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金または国民健康保険団体連合会)に届け出る▼2023年12月の支払額は確定する(後に「実際はより多くの診療を行っていたので、より高額な診療報酬を請求したい」と申請することなどはできない)―という点に留意が必要です。
また、被災地の混乱に鑑み、通常請求の場合でも「1月15日までに請求すればよい」との特例も設けられています(この期限に間に合わない場合には翌月以降の請求となる)。
【更新履歴】概算請求の計算方法について誤った記載をしておりました(誤「昨年(2023年)5-11月診療分の実際の支払額」→正「昨年(2023年)9-11月診療分の実際の支払額」)。お詫びして訂正いたします。記事は訂正済です。誠に申し訳ございませんでした。
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