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GemMed塾 病床ユニット

特定機能病院に求められる機能を改めて整理、類型の精緻化・承認要件見直しなどの必要性を検討―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会

2024.7.4.(木)

特定機能病院とは、そもそもどういった機能を持つ病院なのか—。

現在、特定機能病院には「高度医療の提供」「高度医療技術の開発」「高度医療に関する研修」の3つの役割を果たすことが求められているが、病院や地域によってばらつきがある。「高度医療」とは何かを改めて明確化し、評価指標を考えていく必要があるのではないか—。

さらに、こうした視点を持って「特定機能病院の類型化」や「特定領域型の特定支援病院の在り方」などを考えていくべきではないか—。

こうした議論が7月3日に開催された「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(以下、単に検討会とする)で始まりました。年内(2024年内)の意見とりまとめを目指して議論が進められます。

7月3日に開催された「第20回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」

同じ特定機能病院、同じ大学病院本院の中にも、診療・研究・教育内容にはバラつき

検討会では、特定機能病院と地域医療支援病院について、その時々に存在する課題を解決する議論をしてきており(関連記事はこちら(第三者評価の受審義務化)こちら(ガバナンス体制確保の義務化)、今般、「特定機能病院の在り方」などについて検討を開始しました。

特定機能病院は、「高度医療の提供」「高度医療技術の開発」「高度医療に関する研修」の3つの役割を果たすことが求められ、それを踏まえた承認要件が定められていますが、(1)特定機能病院である大学病院(本院)の機能を整理すべき(2)いわゆる大学病院の「分院」の機能についても整理を行うべき(3)特定機能病院の承認要件である「高度医療の提供」について、その在り方を検討すべき(4)「特定領域型の特定機能病院」の承認要件を明確化すべき—といった指摘があります。

特定機能病院の承認要件に関する、社会保障審議会・医療分科会の意見



議論のきっかけは、本年(2024年)3月に社会保障審議会・医療分科会で、埼玉医科大学国際医療センターの「特定領域型への特定機能病院への承認申請」に関する議論です(厚労省サイトはこちら)。申請は却下されましたが、審査の中で「特定機能病院(とりわけ特定領域型)の承認要件が曖昧ではないか」などの意見が出され、上記の指摘・意見・提言がなされました(厚労省サイトはこちら)。

埼玉医大国際医療センターによる特定領域型・特定機能病院の申請にかかる議論



これらの背景には、医学・医療が進展する中で「特定機能病院と、一般病院との違いが明確でなくなってきている」、「特定機能病院の承認要件が時代にマッチしなくなってきている」といった点があるようです。

例えば、上記(4)の高度医療について、特定機能病院の承認要件では「先進医療を2件以上」「先進医療1件+指定難病患者500人以上」などの基準が定められていますが、先進医療の実施は一般病院でも進んでおり、保険適用済の医薬品・医療機器を用いる先進医療Aは、特定機能病院59施設(うち大学病院本院55施設)、一般病院14施設で実施しています。一般病院でも高度医療が一定程度実施されている実態が伺えます。

ここから「特定機能病院と一般病院との機能・役割分担をより明確にするために、特定機能病院の承認要件を見直してはどうか」という考え方が導かれそうです。



また、特定機能病院と一口にいっても、次のように様々な類型があります。
▽総合型・大学病院本院:79施設
▽総合型・ナショナルセンター:1施設(国立国際医療研究センター病院)
▽総合型・その他病院:1施設(聖路加国際病院)
▽特定領域型・ナショナルセンター:3施設(国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、国立循環器病研究センター)
▽特定領域型・その他病院:4施設(がん研究会有明病院、静岡がんセンター、大阪国際がんセンター、愛知県がんセンター)

この点、▼脳腫瘍(手術あり)については、いずれの特定機能病院でも多くの患者を受け入れているが、一般病院でも一定の患者受け入れを行っている▼角膜・眼・付属器の悪性腫瘍(手術あり)については、いずれの特定機能病院でも多くの患者を受け入れており、一般病院での患者受け入れはごく一部(例外)である▼肺がん(手術あり)については、とりわけ特定領域型の特定機能病院で受け入れ、一般病院でも相当程度患者を受け入れている—など、特定機能病院の類型等によって医療提供状況には違いがあることが分かりました。

特定機能病院等における「脳腫瘍」(手術あり)への対応状況

特定機能病院等における「角膜・眼・付属器の悪性腫瘍」(手術あり)への対応状況

特定機能病院等における「肺腫瘍」(手術あり)への対応状況



また、大学病院本院は、述べるまでもなく「医育機関」であり、他の類型の特定機能病院に比べて「教育の役割」がとりわけ大きいのですが、大学病院本院の中でも「研修医・専攻医の受け入れなどにはバラつきがある」ようです。

特定機能病院等における「研修医数」の状況

特定機能病院等における「専門研修プログラム」(新専門医資格取得を目指す専攻医の研修プログラム)の状況



さらに、特定機能病院に求められる「高度医療の開発」、つまり研究機能についても、類型別に、さらに同じ類型の中でも「バラつき」があることが分かりました。

特定機能病院等における「研究」の状況8論文数)



また、特定機能病院が「がん診療連携拠点病院」や「臨床研究中核病院」などの指定を受けているか否かを見ると、下表のように「きわめて大きな違い」があることが再確認できます。

特定機能病院にも様々な機能を持つ病院がある1

特定機能病院にも様々な機能を持つ病院がある2

特定機能病院にも様々な機能を持つ病院がある3

特定機能病院にも様々な機能を持つ病院がある4



一方で、例えば診療報酬(特定機能病院入院基本料、DPCの基礎係数・機能評価係数II)では、類型別の評価は行われていません。

これらからは、特定機能病院の中でも「果たしている機能・役割」には違いがあり、「特定機能病院についてさらに精緻な類型化」などが必要ではないか、と考えられそうです。場合によっては「大学病院本院の類型化」などが必要になってくるかもしれません。



こうした状況を踏まえて検討会では、▼特定機能病院の機能と、大学病院本院の果たすべき役割とは区分けして考えていくべきではないか。また大学病院本院でも地域による類型化などを検討すべきではないか(今村英仁構成員:日本医師会常任理事、猪口雄二構成員:全日本病院協会会長)▼特定機能病院には「先進的な高度医療」を「網羅的」に実施する機能が求められるのではないか。両者のバランスを検討すべき(松本真人構成員:健康保険組合連合会理事)▼機能のバランスをどう考えるかが重要ではないか。「ある機能がとがっていれば、他の機能をそれほど優れていなくてもよい」と考えるのか、「そこそこであっても、すべての機能をバランスよく保持してるべき」と考えるかのか。医療安全の面からは後者が望ましいと感じている(長尾能雅構成員:名古屋大学医学部附属病院副病院長)▼特定機能病院には「日本の医療を支える」ことが強く求められている。まず特定機能病院に求められる機能はなにかを明確にしたうえで、承認要件としてどうした項目がふさわしいかを整理していくべきではないか(門脇則光構成員:香川大学病院病院長)—などの全体に関する意見が出されました。「特定機能病院とは何か」という非常に大きなテーマの議論を求める意見が数多くだされています。

また、具体的な「承認要件」について▼「病院における論文数」だけでなく「医師1人当たりの論文数」なども勘案してはどうか(川上純一構成員:日本薬剤師会副会長)▼論文の「数」だけではなく、「クオリティ」も要件化すべきではないか(村松圭司構成員:産業医科大学医学部公衆衛生学教室准教授)▼地域への医師派遣が特定機能病院の重要な役割と考えられ、承認要件化を考えるべき。医師偏在対策にもつながっていく(吉村健佑構成員:千葉大学医学部附属病院次世代医療構想センター センター長/特任教授)▼医師派遣は「地域医療体制の構築」という面で極めて重要な特定機能病院の機能と言えよう。1県1医大地域か、複数医大がある地域かなどで調整を行ったうえで承認要件化を検討すべき(村松構成員)▼「医療安全の確保」について、外形的には満たしていても、実質は十分でない病院もある。改めて承認要件としての在り方を考え直すべき(長尾構成員)—などの見解が示されました。



さらに、特定機能病院の中でも「大学病院本院」に限定した意見として、▼大学病院本院であっても、病院によって機能の大きな差がある。「最後の砦」としてどのような機能が求められるのかを明確にすべき(山崎元靖構成員:神奈川県健康医療局医務担当部長)▼同じ大学病院本院であっても、大都市にある病院と地方の病院とでは、規模・人員配置などに大きな格差がある。同じ機能を要求されるのであれば、小規模病院などには相応のサポートが必要になる(門脇構成員)▼大学病院本院に求められる、高度医療の「診療」「研究」「教育」の3機能のバランス確保が重要になろう(相良博典構成員:昭和大学病院病院長)—といった意見が出されました。

また、猪口構成員は「大学病院本院は、他の特定機能病院と比べて「教育」機能がとりわけ重視され、スタッフも数多く抱えなければならない。当然、コストも大きくなり、それを賄える財政的な裏付けが必要になる」とコメントしています。

さらに、大学病院を所管する文部科学省からは「大学病院本院の『医学研究』『医学教育』機能の確保・向上の視点が非常に重要である」との考えも示されています。

特定機能病院の中でも「大学病院本院の機能、あり方」をどう考えていくかは、上述した「特定機能病院の類型の精緻化」にもつながる論点となりそうです。



こうした意見を踏まえて松田晋哉座長(産業医科大学医学部公衆衛生学教室教授)は、次のように議論を進めてはどうかと提案。併せて厚生労働省医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室の松本晴樹室長に「論点を整理する」よう指示しました。

▽「特定機能病院とは何か、どういった機能を持つべきか」という点を議論する必要がある

▽次いで「特定機能病院に求められている『高度な医療』とは何か」などを整理していくべきである(そこでは医療安全、倫理、ガバナンスの確保も必須となる)

▽さらに総合型である大学病院本院等に求められる▼診療機能の網羅性、高度性・先進性▼研究機能(倫理性やサポートも含めて、実績をどう評価するか)▼教育機能(医師はもちろん、多職種への教育・研修機能をどう評価するか)—を検討していく必要がある

▽総合型である大学病院本院の機能を明確化していくことで、「特定機能病院の類型化、類型の精緻化」が見えてくるため、その後に「特定領域型」の承認要件に関する議論に入ることができるのではないか



厚労省での論点整理を踏まえて各論点に関する議論を深め、年内の意見とりまとめを目指します。議論の内容によっては「特定機能病院の承認要件見直し」や「特定機能病院の定義見直し(この場合、医療法改正の可能性も出てくる)」という大きな制度改革が行われる可能性もあります。

また、例えば特定機能病院の類型化、大学病院本院の類型化などが進んだ場合には、「診療報酬上の取り扱いも類型化していくべきではないか、特定機能病院入院基本料、DPCの基礎係数・機能評価係数IIも類型化・細分化していくべきではないか」という議論が別に中央社会保険医療協議会で進められる可能性も出てきそうです。検討会論議の行方に注目が集まります。



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