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「どういった医療WEB広告が不適切で、どう改善すれば良いか」を詳説した解説書をさらに改善・充実―厚労省

2023.10.13.(金)

不適切な医療WEB広告が依然として後を絶たちませんが、中には「違反と知らなかった。しかし、どのように改善すればよいのかが分からない」ケースもあるようです。

そこで厚生労働省は「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」を作成・公表し、「どういった広告が不適切なのか」「どう改善すればよいのか」を分かりやすく示しています。

さらに10月6日に、この事例解説書の内容をさらに充実した「第3版」を作成、公表しました(厚労省サイトはこちら)。

不適切な医療広告の是正に向けた「事例書」、さらに充実・改善した第3版を提示

医療に関しては「不適切な広告が巷に溢れれば、国民・患者の健康・生命に取り返しのつかない被害が出かねない」ことから、医療機関が広告可能な事項は「限定」列挙されています。具体的には、広告可能告示(「医療法第六条の五第一項及び第六条の七第一項の規定に基づく医業、歯科医業若しくは 助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」)で「広告して良い」と明示された事項以外を広告することは許されません。

ただし、医療機関のホームページやSNSについては、「医療機関選択の際に、患者が能動的に(自分から)情報にアクセスする」という特性があることから、一定の要件(医療機関連絡先を掲載する、治療内容・費用などを分かりやすく提示するなど)を満たした場合には「限定事項」以外の内容を広告することも認められています(限定解除)。

厚労省は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)を示し、「どういったケースが不適切な広告に該当するのか」を明らかにしていますが、「不適切なホームページ等」が後を絶たないことも事実です(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

この背景の1つに「ガイドラインの解釈に幅がある」(個々のケースについて、ある人はガイドラインに合致していると考え、別の人はガイドライン違反であると考えるなど)、「不適切とされた広告をどう改善すれば適切になるのかが十分に理解されていない」という点もあります。

そこで厚労省は「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書」を作成し、具体的な解釈を提示(関連記事はこちら)し、それを拡充(関連記事はこちら)。

さらに今般、内容をより拡充した「第3版」の事例解説書を公表しました。

医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第3版)



例えば次のような改訂・修正が行われています。

▽医療広告ガイドラインで「あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等」は「虚偽広告として取り扱うべき」とされている
(例)
「実際には施術していないフリー素材の画像やイラスト、また人物写真などを分割し、片方のみ美しく修正するといった加工を施して、あたかも術前・術後の治療の成果のように見えるイメージを掲載する」ことは、虚偽広告となる

不適切な医療WEB広告事例1



▽医療広告ガイドラインで「特定・不特定の他医療機関と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自院等が他医療機関よりも優良である旨の記載は医療に関する広告としては認められない」としている
(例)
「他院では未熟な医師が質の低い医療を提供しており、大変危険です!当院の医師は〇〇治療の実績が豊富なため、安心して治療を受けていただけます」などの広告は認められない

不適切な医療WEB広告事例2



▽医療広告ガイドラインで「提供する医療内容等について、事実を不当に誇張して表現したり、人を誤認させる広告(一般人が広告内容から認識する「印象」や「期待感」と実際の内容に相違があるもの)は、医療に関する広告としては認められない」としている
(例)
・「○○クリニックでは、患者様のお悩みに沿った最適な治療を提供します」との広告は、「自院が提供する医療全般において最適・最先端である」旨を記載しており誇大である
・「最先端の医療機器○○を使用することで、代謝の活性化を促進し痩身効果を期待できない」との広告は、「特定の治療法・医療機器等が最適・最先端である」旨を記載しており誇大である

不適切な医療WEB広告事例3



▽例えば、「かかりつけ歯科機能強化型歯科診療所」「歯科外来診療環境体 制加算」について、厚労省等が「特別に認定・認証を与えている」と誤認させるような表現は、「誇大な広告」に該当する(施設基準に合致している旨の届け出を行うものである)

不適切な医療WEB広告事例4



▽「治療等の内容・効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない」とされている
(例)
・患者からの直筆アンケートを写真やPDFで転載する形で、治療内容・効果に関する体験談をホームページに掲載することは認められない
・医師による症例紹介の中で「あたかも患者の主訴・治療内容の解説等のように、患者の主観による治療内容・効果に関する体験談を掲載する」ことは認められない

不適切な医療WEB広告事例5

不適切な医療WEB広告事例6



▽医療広告ガイドラインで「通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な情報」の掲載場所は、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮することとされ、例えば「リンクを張った先のページへ掲載する」「極端に小さな文字で掲載する」ことなどは認められない

不適切な医療WEB広告事例7



▽「バナー画像」「医療機関公式アカウントのSNS」などに「ビフォーアフター等の写真のみを掲載する」ことは認められない

不適切な医療WEB広告事例8



▽医療広告ガイドラインで「医療広告は、患者等が広告内容を適切に理解し治療等の選択に資するよう客観的で正確な情報の伝達に努めなければならない。医療機関や医療の内容について品位を損ねる、あるいはそのおそれがある広告は行うべきではない」とされている
(例)
「症例モニター」として治療を受ける際の価格として「費用の割引を強調する広告」は、品位を損ねるものとして認められない

不適切な医療WEB広告事例9



自由診療を行う医療機関だけでなく、保険医療機関においても「自院の情報を広くホームページ等で提供する」ことが多くなっています。不適切な情報提供を自ら避けるためにも事例解説書を周知し、その内容を改善・充実していくことが重要です。



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