Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「日本専門医機構認定の基本領域新専門医」を広告可能とすべきか、「学会認定専門医」広告をどう扱うか―医療情報提供内容検討会(1)

2021.6.25.(金)

「日本専門医機構が認定する19の基本領域に関する新専門医」資格(いわゆる1階部分)について広告可能とするべきか―。

「日本専門医機構が認定するサブスペシャリティ領域の新専門医」資格(いわゆる2階部分)については、詳細の整理を待って「広告の在り方」を改めて検討することとしてはどうか。また従前よりある「学会認定の専門医」資格との棲み分けなどを検討する必要があるのではないか―。

6月24日に開催された「「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった議論が行われました。「19基本領域の新専門医資格について広告可能とする」方向が固まりつつありますが、学会認定専門医との棲み分け論議なども残っており、次回以降も検討が継続されます。

「19基本領域の新専門医」は、早ければ今秋(2021年秋)にも誕生します(2020年度に新専門研修を修了し、夏から秋に実施される資格試験に合格することで、日本専門医機構で資格認証がなされる)。検討会では早急に本件について結論を得るべく、議論を急ぐ構えです。

なお、検討会では「医療広告に関するウェブサイト事例解説書」「医療の質向上のための体制整備事業」(QI指標)などについても議論しており、別稿で報じます。

6月24日に開催された「第17回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」

「日本専門医機構の19基本領域の新専門医」資格を広告可能とする方向に異論は出ず

2018年度から「新専門医制度」が全面スタートしました。従前の専門医制度には、「各学会が独自の基準で専門医を認定しており、国民に分かりにくく、質が担保されていない」との批判があったことを踏まえ、日本専門医機構と各学会が共同して研修プログラムを作成し、統一基準で認定を行う仕組みへと改められたものです。現在は、19の「基本領域」(1階部分)と「サブスペ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

新専門医制度の大枠(医療情報提供内容検討会(1)1 210624)



この19基本領域に関する新専門医が、早ければ今秋(2021年秋)にも誕生します(2020年度に新専門研修を修了し、夏から秋に実施される資格試験に合格することで、日本専門医機構で資格認証がなされる)。

しかし、現行のルール(2007年厚生労働省告示「医療法第六条の五第一項及び第六条の七第一項の規定に基づく医業、歯科医業若しくは 助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」、以下、本稿では「広告可能告示」と呼ぶ)によれば、日本専門医機構で認定された「新専門医」資格を保有していることを広告することはできません。

医療に関しては「不適切な広告が巷に溢れれば、国民・患者の健康・生命に取り返しのつかない被害が出かねない」ことから、医療機関が広告可能な事項は「限定」列挙されています。具体的には、広告可能告示で「広告して良し」と明示された事項以外を広告することは許されないのです(ただし、ホームページについては、別稿で述べるように「医療機関選択の際に能動的に(自分から)情報にアクセスする」という特性があり、一定の要件を満たした場合には「限定事項」以外の内容を広告することが可能である(限定解除)。関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

広告可能告示では、専門医の資格について、「一定の基準(会員数1000人以上で、8割以上医療従事者である、など)の満たす学会の認定したものに限って広告可能である」とされており、「日本専門医機構」はこの基準に合致しないことから、現行ルールでは「日本専門医機構の認定する新専門医資格」を広告することができないのです。

広告可能事項告示より抜粋(医療情報提供内容検討会(1)2 210624)



しかし、このままでは「質を担保し、国民に分かりやすい専門医制度」を目指した趣旨が生かされません。そこで厚労省では、検討会に「19の基本領域に関する新専門医資格について、今秋から認定が開始されることへの対応を検討してほしい」と要望。例えば広告可能告示を見直し、広告可能な項目の中に「日本専門医機構の認定する19の基本領域に関する新専門医資格」を含めることなどが考えられます。

この方向に特段の異論は出ておらず、今後、具体的に「どういった広告可能告示の見直しを行うのか」「広告可能な新専門医資格の名称をどうするのか」(学会認定専門医と機構認定専門医とが混同されないような名称にする必要がある)などを含めて検討していくことになるでしょう。もっとも、後述するように「学会認定医との整理をどうするか」というテーマもあり、難しい検討をしなければならない場面が出てくるかもしれません。

サブスペ領域については「機構での整理」を待って広告の在り方を検討すること方向

ところで、専門医資格については、▼従前からの「学会の認定する専門医」▼日本専門医機構の認定する「19の基本領域に関する専門医」▼日本専門医機構の認定する「サブスペ領域に関する専門医」▼新たに学会が独自に認定する専門医—などが混在することになります。

専門医資格の広告を考える際には、これらを整理し「国民・患者が混同しない」ようにする必要があります。

そこで、厚労省は、検討会に対して、次のような点に関する議論も要請しています。

▽サブスペ領域についての広告の在り方

▽学会等が認定する資格名(学会認定専門医)の広告の在り方



前者の「サブスペ領域」については、「日本専門医機構の認定としてほしい」と考える意見(例えば医学会)と、「専門医の乱立を避けるべき」と考える意見(例えば病院団体)があり、詳細の決定には至っていません(日本専門医機構の理事会では「サブスペ領域の在り方」に遡って議論を行うこととしている)

このため、「日本専門医機構で詳細な整理を進め、それを待ってから検討会で広告の在り方を検討する」こととなりそうです。

従前からの「学会認定専門医」資格の広告について、継続も含めてどう考えるべきか

また、後者の学会認定専門医については、現在、上述の基準を満たした56学会の専門医資格について広告が可能となっています。ただし、「学会によっては『日本専門医機構の認定する専門医』に完全移行する予定であるが、別の学会では完全移行には相当程度の時間がかかると見ており、また移行について未定の学会もある」という足並みの揃わない状況があります。

このため、厚労省は▼今後も学会認定の専門医資格について広告可能とするか▼仮に「広告可能」と継続した場合に、その範囲や期間をどう考えるか▼新たに基準を満たした学会についても「学会が独自に認定する専門医」の資格広告を認めるべきか―などの多様な課題についても議論するよう、検討会に要請しています。

現実問題として「現在、広告可能とされている56学会の専門医資格」が、すぐさま「日本専門医機構の19基本領域の新専門医資格」に完全移行するわけではありません。この場合、「学会の専門医資格」について、当面、広告可能とする必要がありそうですが、それは「様々な専門医資格が、様々な場所で広告され、国民が混乱してしまう」ことにもつながる可能性もあるのです。

この点について城守国斗構成員(日本医師会常任理事)は、「現在、広告可能とされている56学会の専門医資格については、広告可能を維持するべきである。一方、今後『新たに基準を満たす学会』が現れた場合には、公平性の観点からは専門医資格の広告を可能としなければならないが、その場合には『質の担保、国民への分かりやすさ』(新専門医制度創設の基本理念)という面で問題があるのではないか。基準の見直しなども検討する必要があるかもしれないが、それは別の検討の場で議論すべきではないか」旨の考えを述べました。「専門医資格が乱立し、国民に分かりにくくなる」ことを危惧した意見と言えます。

非常に複雑な検討が必要となり、尾形裕也座長(九州大学名誉教授)は「今後も検討を継続する」こととしました。



関連して佐保昌一構成員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「医療の質担保・国民への分かりやすさという観点から、『広告可能な標榜科』についても専門医の認定を受けたものに限定していくべきではないか」との考えを述べています。つまり、自身が「内科」「循環器内科」の専門医を保有している場合には、「内科」「循環器内科」のみしか標榜できないというルールを設けよというもので、別の議論が必要になってきそうです(正式な検討テーマに取り上げられるかは不透明)。



なお、「日本専門医機構の認定する19基本領域の新専門医」は今秋(2021年秋)に誕生するため、この資格を広告可能とする場合には、▼検討会で今夏(2021年)までに方針を決定しておく▼「広告可能告示」改正案についてパブリックコメントを募集する▼今秋(2021年)に改正告示を示す―というスケジュールに則る必要があります。夏までに、検討会で集中的な議論を行うことになるでしょう。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

サブスペ領域、「在り方」に遡って議論しなおし、24領域以外は2022年度以降にスタート―日本専門医機構
専門医資格の更新に際し、「多様な地域での診療従事経験」にインセンティブ付与―専門医機構・寺本理事長
サブスぺ領域の結論出ず、4月からの経験症例は「遡及認定」「学会認定専門医」としてカウント―日本専門医機構
新専門医目指す「専攻医」、2021年度採用は9227名、2022年度のシーリングは現行踏襲―日本専門医機構
臨床研究医コースの応募・採用は27名にとどまる、周知期間不足が原因か—日本専門医機構・寺本理事長
10月8・9日に臨床研究医コースの合否決定し、11月初旬から一般枠の専攻医募集開始へ―日本専門医機構
2021年度からの新専門研修の概要固まる、「シーリング逃れ」などを厳格に是正—医師専門研修部会
新専門医制度の「研究医コース」、9月23日頃から募集開始し10月半ばに採用決定、その後に一般枠の募集開始へ―日本専門医機構・寺本理事長
新専門医制度の「臨床研究医コース」、8月にプログラム等提示し、9月から専攻医募集開始へ—日本専門医機構・寺本理事長
新専門医制度に2021年度から「臨床研究医コース」を新設、7年間の身分保障を行い研究に専念できる環境を整備—医師専門研修部会
新専門医、2021年度採用の専攻医数シーリング案を日本専門医機構固める―医師専門研修部会
新専門医制度、循環器内科や呼吸器内科などのサブスぺ領域で「連動研修」認める―医師専門研修部会
新専門医制度、ハラスメント対策等のルールを6月にも策定―日本専門医機構

2021年度からの専攻医採用シーリング、2020年3月頃に決定へ―日本専門医機構
医療水準向上を目指した研究医養成等も2021年度新専門医養成数に反映させるべき―日本専門医機構
新専門医制度、基本領域の見直しは現時点では不可能、異なる視点でのサブスぺ論議に期待―日本専門医機構

新専門医制度の議論迷走、「機構認定済」の23サブスぺ領域に依然、許可下りず―医師専門研修部会
新専門医制度、2020年度の専攻医シーリング決定し10月15日から専攻医募集開始―日本専門医機構
新専門医制度、「地域医療確保に不可欠な地域枠医師等」はシーリングの別枠に―医師専門研修部会
新専門医シーリングの基礎となる「都道府県・診療科別の必要医師数」、年内に改善要望―日本専門医機構
「都道府県別・診療科別の必要医師数」、2020年早々までに日本専門医機構や基本領域学会等の協議会で検証
新専門医制度の新シーリング、2021年度実施までにコンセプト固めたい―日本専門医機構
専門医制度、「専門医の質確保」(高度な研修)と「地域医療の確保」は両立可能―医師専門研修部会(2)
新専門医制度の専攻医、2020年度から都道府県別・診療科別必要医師数踏まえたシーリング設定―医師専門研修部会(1)
診療科別の必要医師数踏まえ、2020年度以降の専攻医シーリングを設定―日本専門医機構
新専門医制度の採用枠、新たに診療科別・都道府県別の必要医師数をベースに考えてはどうか―医師専門研修部会(2)
内科・外科の連動研修の4月スタート見送り、ただし単位の遡及認定等で専攻医の不利益を回避―医師専門研修部会(1)
消化器内視鏡など23学会・領域のサブスペ認定に理解を求める、専攻医は安心して連動研修実施を―日本専門医機構
消化器内視鏡や老年病、新専門医制度のサブスペシャリティ領域認証に「待った」―医師専門研修部会
新専門医制度、プログラム制の研修にも関わらず2・3年目の勤務地「未定」が散見される―医師専門研修部会
新専門医制度、「シーリングの遵守」「迅速な情報提供」「カリキュラム制の整備」など徹底せよ―医師専門研修部会
新専門医制度、2019年度の専攻医登録を控えて「医師専門研修部会」議論開始

90学会・領域がサブスペシャリティ領域を希望、2019年9月には全体像固まる見込み―日本専門医機構
カリキュラム制での新専門医研修、必要な単位数と経験症例を基本領域学会で設定―日本専門医機構
新専門医制度、サブスペシャリティ領域は事前審査・本審査を経て2019年9月に認証―日本専門医機構
2019年度からの新専門医目指す専攻医の登録は順調、1次登録は11月21日まで―日本専門医機構
新専門医制度、2019年4月から研修始める「専攻医」募集を正式スタート―日本専門医機構
東京都における2019年度の専攻医定員、外科など除き5%削減を決定―日本専門医機構
2019年度新専門医研修、「東京のみ」「東京・神奈川のみ」で完結する研修プログラムの定員を削減―日本専門医機構
2019年度、東京都の専攻医定員数は2018年度から5%削減―日本専門医機構
日本専門医機構、新理事長に帝京大の寺本民生・臨床研究センター長が就任
がん薬物療法専門医、サブスペシャリティ領域として認める―日本専門医機構
2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構
東京の専攻医、1年目に207名、2年目に394名、4年目に483名が地方勤務―日本専門医機構
新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構

新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、偏在対策の効果検証せよ―医師養成と地域医療検討会
医学生が指導医の下で行える医行為、医学の進歩など踏まえて2017年度に再整理―医師養成と地域医療検討会

新専門医制度、専門研修中の医師の勤務地を把握できる仕組みに―日本専門医機構
地域医療構想調整会議での議論「加速化」させよ―厚労省・武田医政局長
新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病
新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構
新専門医制度、現時点で医師偏在は助長されていない―日本専門医機構

新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協

新専門医制度、専攻医の1次登録は10月10から11月15日まで—日本専門医機構
新専門医制度、都道府県協議会・厚労省・検討会で地域医療への影響を監視—医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2018年度からの新専門医制度に備え、10月から専攻医の仮登録—日本専門医機構
新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
新整備指針の見直し、総合診療専門医の研修プログラム整備基準を決定—日本専門医機構
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構
新専門医制度、整備指針を再度見直し「専門医取得は義務でない」ことなど明記へ―厚労省検討会

新専門医制度、見直しで何が変わったのか、地域医療にどう配慮するのかを分かりやすく示す―日本専門医機構
必要な標準治療を集中的に学ぶため、初の基本領域での研修は「プログラム制」が原則―日本専門医機構
新専門医制度、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡では、専攻医上限を過去3年平均に制限―日本専門医機構
専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構
地域医療に配慮した、専門医制度の「新整備指針」案を大筋で了承―日本専門医機構
消化器内科や呼吸器外科など、基本領域とサブスペ領域が連動した研修プログラムに―日本専門医機構
総合診療専門医、2017年度は「日本専門医機構のプログラム」での募集は行わず
新専門医制度、18基本領域について地域医療への配慮状況を9月上旬までにチェック―日本専門医機構
【速報】専門医、来年はできるだけ既存プログラムで運用、新プログラムは2018年目途に一斉スタート―日本専門医機構
新専門医制度、学会が責任もって養成プログラムを作成、機構が各学会をサポート―日本専門医機構
【速報】新専門医制度、7月20日に「検討の場」、25日の総会で一定の方向示す見込み―日本専門医機構
新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長
【速報】新専門医制度、日本専門医機構の吉村新理事長「7月中に方向性示す」考え

新専門医制度で地域の医師偏在が進まないよう、専門医機構・都道府県・国の3層構造で調整・是正―専門医の在り方専門委員会
新専門医制度、懸念払しょくに向けて十分な議論が必要―社保審・医療部会



新専門医シーリング、我が国の医学研究力を維持・向上するため「教育・研究」実態も勘案せよ―日本学術会議

医療機関等に外国語対応状況の報告義務付け、すべての地域医療支援病院院長に「医師少数区域等での勤務経験」義務―厚労省