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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

臨床研究医コースの応募・採用は27名にとどまる、周知期間不足が原因か—日本専門医機構・寺本理事長

2020.10.20.(火)

来年度(2021年度)から新たに設けられる新専門医制度の「臨床研究医コース」は定員40名に対し、27名の応募・採用にとどまった。さらなるPR、大学でのコース設定を進め、2022年度には40名を超える応募・採用となることが望まれる—。

日本専門医機構の寺本民生理事長は、10月19日の定例記者会見でこういった状況を明らかにしました。

2021年度の臨床研究医コース応募・採用数の地域状況(日本専門医機構会見 201019)

東京15名、大阪5名、福岡3名、京都2名、広島・長崎各1名

新専門医制度の枠組みには、これまで「研究医養成」の仕組みが存在せず、「我が国の将来の医学水準が低下してしまう」ことが懸念されています。そこで2021年度から、新たに次のような「臨床研究医コース」を設置することが決まりました(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

▽通常の専門研修と同様に、臨床研修(初期研修)を修了した医師を対象とし、7年間の臨床研鑽および研究(エフォートの50%以上)に携わる(研修期間は7年間)

▽大学病院等で研鑽する(例えば2年間)中で臨床を学び(主にカリキュラム制となる)、その後、大学院等に進学し、研究に携わる。研究期間中に、First author(主筆)として、SCI(Science Citation Index)論文を2本以上執筆する義務を負う(case reportは除く)

▽研修修了後は、大学等で臨床教官となることなどが考えられる

▽研修期間中は、身分保障がなされ、所属大学病院や大学院等の規定に沿った給与支給を受けられる

臨床研修医コースの概要1(医師専門研修部会1 200717)

臨床研修医コースの概要2(医師専門研修部会2 200717)



初年度となる来年度(2021年度)には、「123コース・定員40名」でスタートすることになりましたが、応募・採用は27名にとどまりました。寺本理事長は「今年に制度を創設し、今年から募集を開始したため、臨床研究医コースが医師側にも大学側にも十分に理解されなかった」(つまり周知期間が足りなかった)点が定員割れの主因であるとの考えを示しています。今後、周知を進め、2022年度には40名を超える応募・採用となることが望まれます。

また大学サイドには「身分保障」について、「内部規定上、設計が難しい」「一般の大学院生と処遇がことなる点をどう考えるか」という点への懸念もあるようです。ただし寺本理事長は「専攻医の身分保障は極めて重要である。今後、常識とすべきである」との考えを強調しており、大学サイドの積極的な検討に期待が集まります。

都道府県別に見ると、▼東京都:15名▼大阪府:5名▼福岡県:3名▼京都府:2名▼広島県:1名▼長崎県:1名—となっています。想定どおり「大学病院の多い地域」に集中していますが、「シーリング逃れ」とならないことを確認していく必要性を寺本理事長は指摘しています。

また領域別に見ると、▼内科:7名▼皮膚科:5名▼小児科:4名▼泌尿器科:3名▼精神科:2名▼整形外科:2名▼眼科:2名▼耳鼻咽喉科:1名▼総合診療:1名—となっています。

サブスペシャリティ領域の制度設計は2022年4月にずれ込むが、経験症例は遡及認定

ところで、新専門医制度は「基本領域」(19領域)と「サブスペシャリティ領域」の2層構造となっており、「基本領域のみの専門医資格を取得する」ことも、「基本領域とサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得する」ことも可能です。

2018年度から基本領域の研修が全面スタートしており、多くの専攻医は来年(2021年)3月に研修期間を終えます。その後、継続して「サブスペシャリティ領域の資格取得」を目指して研修をスタートさせる医師も少なくないと見られますが、サブスペシャリティ領域の制度設計は完了していません。

現在、基本領域ごとに「サブスペシャリティ領域連絡協議会」を設け、サブスペシャリティ領域の制度設計を行っており、最終決定は「2022年3月」になる見込みです。すると「1年間の間隙」が生じてしまいますが、寺本理事長は「専攻医に不利益が生じないよう、2021年4月からスタートしたサブスペシャリティ領域の研修(経験症例)について、遡及して認定していく」考えを示しています。



なお、来年度(2021年度)における一般枠(臨床研究医コース以外)の専攻医募集スケジュールは次のようになります。

【1次募集】
▽11月4日正午から16日正午:登録・応募
▽11月18日から27日:面接・採用検討
▽11月30日正午:採用結果通知

【2次募集】
▽12月1日正午から14日正午:登録・応募
▽12月16日から24日:面接・採用検討
▽12月25日正午:採用結果通知

【最終調整】
▽1月6日から1月22日

寺本理事長は、▼1月中に最終決定を行い、以降の応募・採用は認めない▼医籍番号を専攻医のIDとして使用する▼地域枠医師はシーリングの対象外とする▼カリキュラム制を希望する医師(例えば現在妊娠しており、出産予定がある医師など)は登録時からカリキュラム制を選択する—点などに留意を求めています。

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