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2021年度からの専攻医採用シーリング、2020年3月頃に決定へ―日本専門医機構

2020.1.22.(水)

「2021年4月から新専門医制度資格の取得を目指す研修医(専攻医)」についての採用数上限(シーリング)については、関係学系等の意見や最新の医師・歯科医師・薬剤師調査結果などを踏まえて、「都道府県別・診療科別の必要医師数」を精査し、3月初めには決定できそうである―。

日本専門医機構の寺本民生理事長は1月20日の定例記者会見で、このような考えを述べました(前回会見の記事はこちら)。

1月20日に定例記者会見に臨んだ、日本専門医機構の寺本民生理事長

連携プログラムを作りやすい環境整えるため、連携先のリスト化も検討

従前の各学会が独自に養成する専門医制度には「国民に分かりにくくなっている」「質が担保されているか不明確である」との批判が多く、2018年度から、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する「新専門医制度」へと改められました。

ただし、「専門医の質を追求するあまり専門医養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場にあり、▼日本専門医機構▼学会▼都道府県▼厚生労働省―が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」仕組みを構築・運用することとなっています。その一環として「地域・基本領域ごとの専攻医採用数に上限を設ける」仕組み(シーリング)が設けられています。

シーリングの仕組みは非常に複雑ですが、厚生労働省の試算した「都道府県別・診療科別の必要医師数」をベースに、▼既に必要医師数を確保できていると考えられる都道府県・診療科ではシーリング(採用数に上限)を設ける▼採用数の一部を「他の都道府県での研修」に充てるプログラム(連携プログラム)とする―というものです。

この点、日本専門医機構や関係学会では「一定のエビデンスに基づくシーリング設定が可能になっている」と評価する一方で、厚労省の試算した「都道府県別・診療科別の必要医師数」について▼医療現場の肌感覚に必ずしもマッチしていない部分もある▼研究医等養成の視点が十分でない―との指摘もあります。そこで、日本専門医機構・関係学会・厚労省の三者で意見交換が行われてきており、さらに昨年(2019年)末に最新の「医師・歯科医師・薬剤師調査」結果(2018年12月末の状況)が明らかになったことなどを受け、寺本理事長は「足元(最新)の医師配置状況を踏まえて必要医師数を算出しなおし、さらに連携プログラムの状況を見て2021年4月からの専攻医シーリングを設定することになるだろう。1月に関係学会等の意見をとりまとめ、2月にシーリングの大枠を決定し、3月初めにはシーリングを確定できるのではないか」との考えを示しました。

当初見込みより若干の遅れがありますが、今年(2020年)4月からの専攻医採用(現在、採用中)に関するシーリングの正式決定が「2019年9月」であったことを考えれば、2021年度からの専攻医採用は「円滑に進む」ものと期待できます。

なお、連携プログラム(採用数の一部専攻医について、「他の都道府県での研修」に充てる時間を多くするプログラム)については地域や診療科によっては「設定が困難」である(これまで他地域との連携が行われておらず、連携先を見つけにくい)ことが判明し、寺本理事長は「手上げをしてもらい、機構で連携先をリスト化する」など連携しやすい環境を整えたいとの意向を示しています。



なお、今年(2020年)4月から新専門医研修を開始する専攻医の採用は順次進んでおり、寺本理事長は、これまでに1次募集では8299名、2次募集では689名の採用が決まっており、「最終的に医学部を卒業し、医師免許を取得した者の9割超が新専門医資格の取得を目指し、新専門医制度が、我が国の医師における『重要なキャリア』になってきている」とコメントしています。

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