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新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省

2017.7.3.(月)

 新たな専門医制度によって、地域における医師の偏在が生じることなく専門医の質を高める体制が構築されるよう、▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体▼基幹施設—などによる協議の場「都道府県協議会」で、専門医の研修プログラムに関して「従来、専門医を養成していた医療機関が、専攻医受け入れを希望する場合に連携施設となっているか」などを確認し、必要な調整を行ってほしい—。

 厚生労働省は6月27日に、通知「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県の役割等について」を発出し、都道府県の担当者にこのような要請を行いました。

協議会の調整内容や活動実績を厚労省に報告するよう要請

 新たな専門医制度の2018年度全面スタートに向けた検討が各所で続けられています。専門医の認定と、研修プログラムの認証を学会と日本専門医機構が共同して行い、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」専門医制度とすることが狙いですが、例えば研修を行う施設の基準が厳しく、「地域で医師の偏在が進んでしまうのではないか」などの懸念もあります。

 そこで厚労省は「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、「専門医の質の担保」と「地域医療の確保」とを両立する方策について議論を行っています。その中では、都道府県ごとに地域の関係者が集い、地域の医師偏在が助長されないかなどをチェックし、必要があれば改善を行っていく仕組み(都道府県協議会)をより強固なものとすべきとの指摘が出されています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

厚労省はこの指摘を重く受けとめ、都道府県協議会の役割などを今般の通知で改めて明確にしたものです。通知の骨子は次の4点に集約できます。単に都道府県協議会を設置するだけでなく、具体的な活動(研修プログラムの確認や必要な調整)を求め、その実績報告を求めることで、実効性を確保することを狙っています。

(1) ▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体▼基幹施設―などによる「都道府県協議会」において、研修プログラムに関する情報を共有し、確認、検討などを行う
(2) 都道府県協議会において研修プログラムの確認、検討などを行った後、地域医療確保の観点から改善が必要な事項を日本専門医機構へ提出し、日本専門医機構と連携して改善事項などについて調整する
(3) 都道府県で調整に努めたにもかかわらず状況が改善しないような場合には、適宜、厚労省に報告する
(4) 調整終了後、プログラム認定前に、管内のプログラムについての調整結果を都道府県協議会で確認した旨、都道府県協議会の活動実績を厚労省へ報告する

 
具体的には、「研修プログラム」における基幹施設・連携施設の▽施設名▽指導医数▽研修実績▽専攻医募集数―などの情報から、例えば次のような点を確認するよう求めています。

▼都市部(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の各基本領域学会(ただし外科、産婦人科、病理、臨床検査を除く)の専攻医総数が、「原則として過去5年の専攻医採用実績の平均値を超えない」ような募集定員数となっているか【都市部へ専攻医が集中するような犬種プログラムになっていないか】

▼従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が、専攻医の受入れを希望する場合は、連携施設となっているか【地域における偏在を招くようなことになっていないか】

▼内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科については、都道府県ごとに複数の基幹施設が置かれているか【大学医学部に専攻医や指導医が集中するような研修プログラムになっていないか】

▼特別な症例を経験するために必要になるなどの事情がなければ、原則として基幹施設での研修は6か月以上となっているか、また連携施設での研修は1か所につき3か月未満となっていないか【地域で必要な医師確保ができるような内容になっているか】

▼研修プログラムに記載されている経験目標に、▽病診・病病連携▽地域包括ケア▽在宅医療▽都市部以外などでの医療経験―が含まれているか【地域医療に配慮した研修プログラムの内容になっているか】

都道府県協議会では、都市部に専攻医が集中するような研修プログラムになっていないか、従来の研修施設が漏れていないか、などをチェックする

都道府県協議会では、都市部に専攻医が集中するような研修プログラムになっていないか、従来の研修施設が漏れていないか、などをチェックする

都道府県協議会では、研修プログラムが地域医療に配慮した内容となっているか、連携施設でも研修期間が極端に短くなっていないかなどをチェックする

都道府県協議会では、研修プログラムが地域医療に配慮した内容となっているか、連携施設でも研修期間が極端に短くなっていないかなどをチェックする

 
 ところで6月12日の検討会では、荒井正吾構成員(奈良県知事)から「認定前には分からなかった問題点が、認定し、プログラムが稼働してから明らかになることもある」といった指摘も出されました(関連記事はこちら)。そこで厚労省は、「プログラム認定後、新たな専門医の仕組みの運用に当たって都道府県協議会が協議すべき事項」についても、別途、都道府県に宛てて通知する考えを示しています。

 
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