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新整備指針の見直し、総合診療専門医の研修プログラム整備基準を決定—日本専門医機構

2017.6.6.(火)

 新たな専門医整備の整備指針(専門医制度新整備指針)について、▼専門医取得は義務でない▼プログラム制を原則とするが、地域医療従事者や女性医師などに配慮し、カリキュラム制も含めた柔軟な対応を行う▼研修の中心は大学病院のみでなく、地域の中核病院なども含める—などの見直しを行う—。

日本専門医機構は2日に開催した理事会で、このような見直し案を了承しました。12日に開催される厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」に修正内容を正式報告した後に、修正版が公表されます。

また同日の理事会では、総合診療専門医の研修プログラム整備基準についても了承されました。

6月2日、理事会後の記者会見に臨んだ、日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授、中央)と、山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)、松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

6月2日、理事会後の記者会見に臨んだ、日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授、中央)と、山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)、松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

地域医療に配慮し、年限や施設を限定しないカリキュラム制での研修も一部可能に

新専門医制度は、数多くある専門医資格を国民に分かりやすいものとし、かつ質を担保するために、「専門医の研修プログラム認証や、専門医の認定を各学会と日本専門医機構が共同して行う」ことなどを柱としており、来年度(2018年度)からの全面スタートを目指した調整が進められています。この点、「質の担保を求めるあまり研修を行う施設(病院)の要件が厳しいのではないか。これでは地域医療の現場から指導医・専門医を目指す専攻医がいなくなり、医師の地域偏在が進み、地域医療が崩壊してしまう」との強い指摘があります。

日本専門医機構でも、この指摘を重く受け止め昨年(2016年)12月に策定した『専門医制度新整備指針』や下部規定の中では、「地域医療への配慮を行う」旨を示されています(関連記事はこちらこちら)。

しかし、全国市長会などの「さらなる配慮が必要」との強い要請を受け、塩崎恭久厚生労働大臣は「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置。そこでの議論を踏まえて、日本専門医機構では次の4点の内容を整備指針に明記することを決定しました。吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は「12日に開かれる検討会で正式報告した後に、見直し内容を公表する」考えを示しています(関連記事はこちらこちらこちら)。

(1)「専門医はすべての医師が取得しなければならないものでなく、医師として自律的な取り組みとして位置づけられる。国民に信頼される安全・安心な医療提供のための専門研修は適正に施行されるべき」旨を明記

(2)「基本領域の研修はプログラム制が原則だが、▼義務年限を有する医大卒業生(自治医科大学など)▼地域医療従事者▼出産・育児などで休職・離職を選択した女性医師など▼介護・留学など合理的理由のある医師—などでは、カリキュラム制などの柔軟な対応を行う」旨を明記

(3)「全般的、幅広い疾患の症例の豊富な市中病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする。連携病院で採用した専攻医が希望した場合、長期間連携病院での研修を設定するなど柔軟なプログラムを作成する」旨を明記

(4)「機構の研修プログラム承認に際し、▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体—などからなる都道府県協議会と事前に協議し決定する。承認後も、連携施設などの医師配置状況を含めて協議会に情報提供する。協議会の意見を受け、機構は協議会・関係学会と協議・調整し改善する」旨を明記

 なお吉村理事長は、5月25日の厚労省検討会で指摘された▼カリキュラム制を希望するも認めてもらえないような場合の相談窓口などの設置▼都道府県協議会から出された意見の反映—などについて、運用細則の見直しを検討していく考えも明らかにしています。

総合診療専門医、へき地や離島などでは救急と小児科についてカリキュラム制も可能に

 また懸案となっていた総合診療専門医の研修プログラム基準について、▼1年間を内科(内科専門医と同等)▼3か月を救急科▼3か月を小児科▼6か月を総合診療科1(中小病院やクリニックにおける、在宅医療も含めた総合診療)▼6か月を総合診療科2(大規模病院における総合診療)▼さらに6か月を総合専門医1または2―とする(つまり総合診療科1と2の双方で6か月以上経験し、合計で1年半)ことが確定しました。

このうち内科の指導医について「総合的な診療を実践している地域の医師が、必要な研修を受ければ指導医になれる」ことも決まりました。日本専門医機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、▼総合内科専門医資格を保有する内科の指導医▼病院に協力して地域で総合診療を実践する医師(例えば日本臨床内科医会の認定・専門医)―などを例示しています。

さらに離島やへき地など医療資源の乏しい地域で「3か月の救急科、3か月の小児科犬種が難しい場合には、カリキュラム制を採用することも可能」となりました。

松原副理事長は、「総合診療専門医は新分野であり、また内科と同様に、総合診療専門医研修でも都市部に集中しないようにする必要があり、日本専門医機構を中心に研修プログラムの認定を行っていく」との考えも示しています。

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