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東京の専攻医、1年目に207名、2年目に394名、4年目に483名が地方勤務―日本専門医機構

2018.4.16.(月)

 東京都の基幹施設で専攻医(新専門医を目指す研修医)登録をしている医師のうち、1年目の研修では207名が、2年目の研修では394名が、3年目の研修では483名が地方の関連施設等で研修を受ける、つまり「地方勤務する」ことが分かった。新専門医制度によって、東京一極集中が「助長されている」ことはない―。

 日本専門医機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は4月13日の定例記者会見で、このように強調しました。

4月13日の日本専門医機構理事会終了後に、記者会見に臨んだ山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

4月13日の日本専門医機構理事会終了後に、記者会見に臨んだ山下英俊副理事長(山形大学医学部長、向かって右)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長、向かって左)

東京都の専攻医が地方に「循環」する仕組みとなっており、一極集中は「増悪」していない

 2018年度から、新たな専門医制度がスタートしました。日本専門医機構による「専攻医の登録結果」(3次予定等を含めた4月以降に所属する基幹病院の都道府県)と「初期臨床研修地」(3月まで所属していた基幹病院の都道府県)との比較結果によると、東京都において初期研修医1350名から、専攻医1825名となり、「475名の医師増」になることなどが分かりました(関連記事はこちら)。

 この比較結果は3月27日の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」に報告され、そこでは「明らかに東京への医師集中が『増悪』している」(渋谷健司構成員:東京大学大学院国際保健政策学教授)などの強い批判がなされました(関連記事はこちら)。

 これに対し日本専門医機構は、「専門研修プログラムの基幹施設は東京都になり、専攻医が東京都に集中しているように見えるが、近隣県の関連施設に派遣される医師も多く、東京都の集中が助長・増悪されているとは言えない」と反論しており、今般、具体的に「何県の関連施設等で研修を受けているか、つまり実際の勤務先はどこか」を詳しく調べ、公表したものです(287施設から回答)。

 そこからは、1年目(つまり2018年4月から)には207名が、2年目(2019年4月から)には394名が、3年目(2020年4から)には483名が、東京都以外で研修を受ける(勤務する)ことが分かりました。

 より詳しく見ると、次のような状況です。

【1年目の地方勤務】:207名
▼神奈川県65名▼千葉県51名▼埼玉県29名▼静岡県24名▼栃木県14名▼茨城県12名▼福島県5名▼群馬県2名▼長野県3名▼山梨県1名▼北海道1名

【2年目の地方勤務】:394名
▼神奈川県98名▼千葉県84名▼埼玉県76名▼茨城県30名▼静岡県29名▼栃木県28名▼福島県16名▼長野県10名▼群馬県5名▼北海道4名▼鹿児島県4名▼山形県2名▼沖縄県2名▼宮城県1名▼富山県1名▼山梨県1名▼広島県1名▼愛媛県1名▼宮崎県1名

【3年目の地方勤務】:483名
▼埼玉県115名▼千葉県97名▼神奈川県85名▼静岡県56名▼茨城県40名▼福島県22名▼栃木県19名▼長野県12名▼群馬県9名▼鹿児島県6名▼山梨県5名▼沖縄県3名▼山形県3名▼北海道2名▼新潟県2名▼青森県1名▼岩手県1名▼岐阜県1名▼兵庫県1名▼高知県1名▼大分県1名▼宮崎県1名

 山下・松原両副理事長は「東京都の基幹施設から地方の関連施設への循環がうまくいっていると思われる。新専門医制度によって東京一極集中が『助長』『増悪』しているとは言えない」と述べています。

 
 もっとも、東京都をはじめとする大都市で専攻医が多い状況は事実です。このため日本専門医機構では、理事会の下に設置している基本問題検討委員会において、▼東京都▼神奈川県▼愛知県▼大阪府▼福岡県—の5大都市の専攻医総数上限(シーリング、過去5年の採用実績の平均値を超えない)について「当面、毎年、検証し、調整していく」方針を決定しています。2019年度から研修に向けては「2018年9月1日から専攻医登録を開始する」ことが決まっており、これに間に合うよう、急ピッチで検討・調整が進められます。

 
なお、サブスペシャリティ領域について「国民に分かりやすく、有用なものとする必要があり、概ね『地方の基幹病院において一般的に標榜されている診療科の領域』とする」との定性的基準が4月13日の理事会で決定されました。これに沿って関係学系で「サブスペシャリティ領域候補」を選定し、機構で認知することになったため、サブスペシャリティ領域の全容決定にはもう少し時間がかかりそうです。

 
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