新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協
2017.12.20.(水)
新専門医制度のスタートによって、地域間・診療科間の医師偏在が助長されないように▼東京都▼神奈川県▼愛知県▼大阪府▼福岡県—の5大都市では専攻医総数の上限を「過去5年の採用実績の平均値を超えない」ように設定することになっている。ただし上限値や採用実績などの詳細が明らかになっておらず、情報公開を日本専門医機構に求めていく—。
12月20日に開催された四病院団体協議会の総合部会で、こういった方針が固まりました。
四病協から、日本専門医機構に「情報公開」求める意見書
2018年度から全面スタートする新専門医制度は、これまで各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指しています。
ただし、「質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域医療に悪影響を及ぼすのではないか。地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘などがあり、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省らが重層的に「医師偏在を助長させない仕組み」を設けています(関連記事はこちらとこちら)。
その1つとして「各基本領域学会の5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)のそれぞれにおける専攻医の登録総数は、▽外科▽産婦人科▽病理▽臨床検査—の4領域を除いて、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限値が設けられています(関連記事はこちら)(日本専門医機構のサイトはこちらと)。
すでに2018年度の専攻医募集が始まっており(関連記事はこちら)、12月15日には日本専門医機構から第1次登録の採用数が公表されました(日本専門医機構のサイトはこちら)。19領域全体について都道府県別の採用数を見ると、多いほうから東京都(1756名)、大阪府(619名)、神奈川県(472名)、愛知県(441名)、福岡県(421名)、兵庫県(326名)、京都府(274名)、北海道(260名)などで、上記の5都府県が多いことが分かります。
この状況について12月20日の四病協(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)・総合部会では「上限の数値が公表されず、また過去の領域別の採用実績なども明らかになっていない」点が問題視され、四病協として日本専門医機構に情報公開を求める意見書を近く提出する方針が固められました。
同日に記者会見を行った日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)は、「地域間(都道府県間)でバランスのとれた専攻医採用を目指しているが、バランスがとれていない可能性もある。医師の需給にも関連する事項であり、上限値の在り方なども含めて検討していく必要があるのではないか」とも指摘。ただし、すでに募集は始まっており、近く採用が決定する(第1次分は12月15日、第2次分が年明け2月15日)ため、仮に上限値の見直しなどが行われるとしても、2019年度からの専攻医が対象になるでしょう。
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