新専門医制度、サブスペシャリティ領域は事前審査・本審査を経て2019年9月に認証―日本専門医機構
2018.12.26.(水)
新専門医制度のサブスペシャリティ領域について、認証基準が決定した。これに沿って、各学会(サブスペシャリティ領域を希望する学会)の整備指針が認証基準に合致しているかを審査(事前審査および本審査)し、来年(2019年)9月にはサブスペシャリティ領域の認証を行う―。
日本専門医機構の寺本民生理事長(帝京大学・臨床研究センター長)は、12月25日の定例記者会見で、このような考えを述べました。
「国民への分かりやすさ」「国民の要望」など踏まえたサブスペ領域認証基準を決定
新専門医制度は、以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。
【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域
基本領域の研修期間の多くは2年ですが、外科や内科では「基本領域とサブスペシャリティ領域とを連動させる」構造も認められ(例えば基本領域の「内科」とサブスペシャリティ領域の「消化器内科」の研修を連動させ、基本領域の研修期間を短くし、サブスペシャリティ領域の研修を早期から長期にわたって実施する、など)、早ければ来年(2019年)秋から「サブスペシャリティ領域」の研修がスタートすることになります(関連記事はこちら)。
こうした状況も踏まえ、日本専門医機構では「サブスペシャリティ領域の認証」を、次のようなスケジュールで実施することを確認しています。
▽サブスペシャリティ領域の認証基準を決定する(12月21日の理事会で決定済)
↓
▽サブスペシャリティ領域を希望する学会について、事前審査を実施(来年(2019年)1-3月)
↓
▽事前審査を通過した学会について、本審査を行う(来年(2019年)4月から)
↓
▽サブスペシャリティ領域を認証する(来年(2019年)9月)
認証基準については、新専門医制度の基本方針である「国民への分かりやすさ」を担保するために、「全国の平均的な都市での中核病院に掲げてある診療科、診療部門とする」との考えが旧執行部の下で固められ、新執行部でもこの考えを踏襲します(関連記事はこちら)。もっとも、「中核病院の診療科」にとどまらず、例えば「小児がん」や「難病」など、国民の「専門医はどこにいるのか、どの医師なのかを知りたい」という強い要望にも応える必要があると寺本理事長はコメント。こうした考えを軸として、▼専門医像が明確か▼社会的使命が明確か▼基本領域の承認を受けているか(必須要件)▼サブスペシャリティ領域として国民的認知があるか▼専門医数はどの程度か▼専門研修施設・指導医の体制は十分に整っているか▼専門医制度として安定性を確保できているか―などを勘案することが決まりました。
また「事前審査」(2019年1-3月)とは、サブスペシャリティ領域を希望する学会において定める「専門医制度の整備基準」が、上記の認証基準に合致しているかを書面(レビューシート)で調査するものです。
この事前審査を通過した学会について、多面的に「本審査」(2019年4月から)を実施します。
現在、90学会程度がサブスペシャリティ領域を希望していますが、最終的にいくつのサブスペシャリティ領域が認証されるのかは現時点では明らかになっていません。あまりに多くのサブスペシャリティ領域が認証されれば、「乱立である、国民に分かりにくい」との評価も下されるため、相当程度の「絞り込み」がなされるとも考えられます(関連記事はこちら)。なお、寺本理事長は「すでにサブスペシャリティ領域として認証されている、基本領域学会の推す23学会については、早ければ4月にも認証を行う」旨の考えを表明。9月には、「サブスペシャリティ領域の全体像」が見えることになるでしょう。
また、より「分かりやすい新専門医制度」を目指し、寺本理事長は、次のような「基本理念」と「行動目標」を定めたことも紹介。すでに「整備指針」などに盛り込まれた内容ですが、さらに明確にすることで、新専門医制度への誤解を払拭したい考えです。
【基本理念】
国民から信頼される専門的医療に熟達した医師を育成し、日本の医療の向上に貢献することを目指す
【行動目標】
(1)国民が受診に際し分かりやすい専門医制度をつくる
(2)専門医を目指す医師が誇りをもって医療に携われる制度を目指す
(3)国民誰もが、標準的で安心できる医療を受けることのできる制度を目指す
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