Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協

2018.5.23.(水)

 新専門医制度のサブスペシャリティ領域を、「あいまいな基準で、五月雨式に追加する」ことは好ましくない―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、近く発足する日本専門医機構の新執行部にこのような要請を行う方針を固めつつあることが5月23日の定例記者会見で明らかにされました(関連記事はこちらこちら)。

 また来年度(2019年度)予算の概算要求に向け、四病協は同日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて「控除対象外消費税問題の解決」「働き方改革への対応に伴う医師確保」「介護療養や医療療養から介護医療院への転換」などに関する予算措置を行うよう要望しています。

5月23日に、四病院団体協議会の総合部会後の記者会見に臨んだ、森隆夫・日本精神科病院協会副会長(向かって右)と伊藤伸一・日本医療法人協会会長代行(向かって左)

5月23日に、四病院団体協議会の総合部会後の記者会見に臨んだ、森隆夫・日本精神科病院協会副会長(向かって右)と伊藤伸一・日本医療法人協会会長代行(向かって左)

 

「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である

 今年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートとなりました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

 新専門医制度は、「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となります。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

この4月(2018年4月)から、19基本領域で新専門医の資格取得に向けた研修が始まっています。

2階部分のサブスペシャリティ領域は、基本領域学会の上に設置される(内科領域などでは基本領域とサブスペシャリティ領域が一部融合する形もある)ことになり、現在、学会からの申請をもとに、日本専門医機構での認証が進められています。

サブスペシャリティ領域は、「国民への分かりやすさ」をいう新専門医制度の基本方針に基づき、「全国の平均的な都市での中核病院に掲げてある診療科、診療部門とする」こととされ、日本専門医機構で(1)いずれかの基本領域学会が認めている(2)関連する基本領域学会またはサブスペシャルティ領域学会がある場合は、その学会の合意を得る(3)機構理事会(出席委員)の過半数の承認がある―ことを確認して、認証します(機構のサイトはこちら)。これまでに▼内科13領域▼外科6領域▼放射線科2領域▼消化器内視鏡—がサブスペシャリティ領域として認証され、近く「日本臨床腫瘍学会」も認められる見込みです(関連記事はこちら)。

この点について、四病協では「平均的な都市とはどこを指すのか?中核病院とは何を指すのか?サブスペシャリティ領域の認証基準が曖昧ではないか」という意見が出ており、「曖昧な基準のまま、五月雨式にサブスペシャリティ領域が認証されることは好ましくない。抑制的に、国民の目線で認証すべきである」との要望を近く日本専門医機構に行う予定です。

ところで、日本専門医機構は近く役員の改選が行われ、6月には新執行部が誕生します。四病協の要望は、新執行部に宛てて行うことになる見込みです。

2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

また、四病協では5月23日に、加藤厚労相に宛てて次のような要望を行いました。来年度(2019年度)予算概算要求に向けて、必要な予算の確保を求めるものです。

(1)消費税(関連記事はこちら
▽消費税率引き上げ(2019年10月予定)による増収分を、医療をはじめとする社会保障財源に確実に充当すること
▽医療界が要望する「仕入税額相当額を上回る仕入消費税についての還付(税額控除)」を実現するとともに、必要な財源を確保すること

(2)働き方改革(関連記事はこちらこちらこちらこちら
▽地域医療の維持に伴う医師確保と、厳密な勤怠管理のための仕組みづくりを補助すること
▽タスク・スフティング、タスク・シェアリングに必要な人材を要請し、採用を支援すること
▽育児・介護等で離職した医師、看護師等の復職支援に向けた研修を行う医療機関を支援うること
ほか

(3)医療従事者の能力向上
▽病院において「医師の総合的診療技能」を高めるためのキャリア支援事業などに財政的支援を行うこと

(4)介護施設、介護従事者
▽介護療養や医療療養から介護医療院へ転換するために必要な修繕工事などに財政支援を行うこと
ほか

(5)地域医療介護総合確保基金
▽「消費税率10%」による増収分から基金に手当を行い、公私の隔たりなく適切に配分すること

(6)医療機関のICT化
▽電子カルテ等のICT技術を積極的に導入する医療機関に財政的支援を講じること
▽電子カルテはベンダー間で互換性に乏しいため、標準マスタ、標準データフォーマットの普及に関する財源を確保すること

(7)国際化等への医療の対応
▽がん患者以外の難病患者や若年性認知症患者等の幅広い層を対象とした「治療と仕事の両立」に向けた予算措置を講じること(関連記事はこちら
ほか

(8)障害保健福祉
▽精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に必要な予算を確保すること
ほか

(9)災害対策(関連記事はこちら
▽全日本(全国)病院医療支援チーム(AMAT)の平時からの訓練や資材準備などに要する資金や、派遣費について補助を行うこと
▽災害派遣精神医療チーム(DPAT)についても、事務局事業費を拡充すること
▽病院の耐震化に向けた費用を補助すること
ほか
 
 
病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

【関連記事】

現行労基法と異なる、医師の特殊性踏まえた「医師労働法制」を制定せよ―四病協
医師の働き方改革、細部論議の前に「根本的な議論」を改めて要請―四病協
医師の働き方改革に向け、議論の方向を再確認してもらうための提言行う—四病協
病院経営は逼迫、WAMによる「1病院10億円程度の緊急融資」創設を―四病協
新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構
東京の専攻医、1年目に207名、2年目に394名、4年目に483名が地方勤務―日本専門医機構
新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構

新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、偏在対策の効果検証せよ―医師養成と地域医療検討会
医学生が指導医の下で行える医行為、医学の進歩など踏まえて2017年度に再整理―医師養成と地域医療検討会

新専門医制度、専門研修中の医師の勤務地を把握できる仕組みに―日本専門医機構
地域医療構想調整会議での議論「加速化」させよ―厚労省・武田医政局長
新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病
新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構
新専門医制度、現時点で医師偏在は助長されていない―日本専門医機構
新専門医制度、専門研修中の医師の勤務地を把握できる仕組みに―日本専門医機構

新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病
新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

新専門医制度、専攻医の1次登録は10月10から11月15日まで—日本専門医機構
新専門医制度、都道府県協議会・厚労省・検討会で地域医療への影響を監視—医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2018年度からの新専門医制度に備え、10月から専攻医の仮登録—日本専門医機構
新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
新整備指針の見直し、総合診療専門医の研修プログラム整備基準を決定—日本専門医機構
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構
新専門医制度、整備指針を再度見直し「専門医取得は義務でない」ことなど明記へ―厚労省検討会

新専門医制度、見直しで何が変わったのか、地域医療にどう配慮するのかを分かりやすく示す―日本専門医機構
必要な標準治療を集中的に学ぶため、初の基本領域での研修は「プログラム制」が原則―日本専門医機構
新専門医制度、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡では、専攻医上限を過去3年平均に制限―日本専門医機構
専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構
地域医療に配慮した、専門医制度の「新整備指針」案を大筋で了承―日本専門医機構
消化器内科や呼吸器外科など、基本領域とサブスペ領域が連動した研修プログラムに―日本専門医機構
総合診療専門医、2017年度は「日本専門医機構のプログラム」での募集は行わず
新専門医制度、18基本領域について地域医療への配慮状況を9月上旬までにチェック―日本専門医機構
【速報】専門医、来年はできるだけ既存プログラムで運用、新プログラムは2018年目途に一斉スタート―日本専門医機構
新専門医制度、学会が責任もって養成プログラムを作成、機構が各学会をサポート―日本専門医機構
【速報】新専門医制度、7月20日に「検討の場」、25日の総会で一定の方向示す見込み―日本専門医機構
新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長
【速報】新専門医制度、日本専門医機構の吉村新理事長「7月中に方向性示す」考え

2019年10月の消費税率引き上げに備え、薬価・材料価格の調査を実施―消費税分科会
【2018年度診療報酬改定答申・速報6】がん治療と仕事の両立目指し、治療医と産業医の連携を診療報酬で評価
災害医療の充実に向け、DMAT事務局体制の強化・EMISの改善を―救急・災害医療提供体制検討会

医師偏在対策、働き方改革、医療広告規制に都道府県も協力を―厚労省・武田医政局長
医師の働き方改革、「将来の医師の資質」なども勘案した議論を―社保審・医療部会(1)
勤務医の時間外労働上限、病院経営や地域医療確保とのバランスも考慮―医師働き方改革検討会 第7回(2)
服薬指導や診断書の代行入力、医師でなく他職種が行うべき―医師働き方改革検討会 第7回(1)