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外来診療 経営改善のポイント 2024年度版ぽんすけリリース

医師の働き方改革に向け、議論の方向を再確認してもらうための提言行う—四病協

2018.2.28.(水)

 医師の働き方改革に向けた議論が進められているが、目に見える表面の部分だけの議論や、一律に労働時間制限を行うような議論を行っていたのでは、本来目指すところと異なる方向に進んでしまう。医療機関の特性、1人1人の医師の状況を踏まえて、「ある程度の、自由に差配できる」仕組みを目指す方向で議論すべきである—。

 2月28日に開催された四病院団体協議会の総合部会で、こういった内容の提言・意見書を近くまとめる方針が固められました。総合部会後に記者会見を行った日本病院会の相澤孝夫会長は「提言・意見書を加藤勝信厚生労働大臣に提出する」考えも明らかにしています(関連記事はこちら)。

2月28日に開催された四病院団体協議会の総合部会後に、記者会見に臨んだ日本病院会の相澤孝夫会長

2月28日に開催された四病院団体協議会の総合部会後に、記者会見に臨んだ日本病院会の相澤孝夫会長

病院の事情、医師の状況など踏まえ、ある程度自由に労働時間等を差配できる仕組みを

「我が国の医療提供体制は、医師による『極めて長時間の労働』という自己犠牲の上に成り立っているが、このままでよいのか」という問題意識の下で、医師の働き方改革が必要とされています。

一方、医師にも「罰則付きの時間外労働規制」が適用されることとなりましたが、医師には応召義務が課せられるなどの特殊性があり、「医師への規制適用の在り方」を検討することが求められています。

厚生労働省は、この2点(医師の働き方改革、医師への規制適用の在り方)を議論する場として「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)を昨年(2017年)8月に設置。検討会は2月27日に、これまでの議論を整理した「中間的な論点整理」と、各医療機関で直ちに実施すべき「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」をまとめています(関連記事はこちらこちら)。

検討会では今後、▼タスク・シフティング(他職種への業務移管)▼タスク・シェアリング(医師間での業務共同)▼女性医師支援―などの「働き方改革」、「勤務医の特性も考慮した時間外労働規制の適用方法」を議論し、来年(2019年)3月に最終取りまとめを行います。

この検討会論議に関して、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)では、「今のままの方向でよいのか」と疑念を呈し、意見をまとめて近く加藤厚労相に提出する方針を2月28日の総合部会で固めました。

具体的な意見のすり合わせはこれから行われますが、相澤・日病会長は「目に見える表面の事象だけを踏まえて議論を続けてしまうと、『医師が健康被害を起こさず、かつ医療の質を担保しながら、国民に適正な医療を提供する』という本来の目的とは異なる方向に進んでしまう。国は一律のライン(労働時間上限など)を決めているが、▼個々の病院の事情▼個々の医師の状況—はさまざまであり、各病院が個別医師の状況を見て、『ある程度、自由に差配できる』仕組みに向けた議論が必要である」と、大枠の考えを述べています。

 個々の病院の事情としては、例えば「大病院か中小病院か」「救急を担っているか」「都市部の複数病院がある地域に位置するか、地方で当該病院1つで地域医療をカバーしているか」など、さまざまな点があります。

また個々の医師の状況としては、例えば「初期臨床研修医か、専門医を目指す専攻医か、専門医として独り立ちしているか」「どの診療科に所属しているか」「体力は十分か」「年齢はどの程度か」「家族構成はどうか(独身か、子どもがいるのか、親の介護などを行っているか)」など、やはりさまざまな要素があります。

四病協では、こうした事情を踏まえた「柔軟な仕組み」の創設に向けた議論を、加藤厚労相に要望・提言していく考えです。相澤・日病会長は「アメリカでは、民間の第三者機関(病院団体)が、例えば『後期研修医(専門医を目指す専攻医)は、この程度の労働時間上限を設けてはどうか』といった提言をしている」ことを紹介し、四病協がこうした提言を行う組織を目指していることが伺えます。

我が国の専門医の在り方を根本から議論するために、四病協の委員会を設置

また、四病協では、▼新たに専門医制度に関する委員会を立ち上げ、少し根本に遡って「専門医の在り方」を検討し、提言する▼これまで各団体で行っていた「診療報酬に関する調査」を合同で行う(日病・全日病・医法協の3団体合同、日精協は独自実施)―方針も固めました。

専門医制度については、2018年度からの全面新制度実施に向けて「専攻医登録」が進められていますが、四病協内部には▼外科の専攻医が1人のみという県もある(群馬県、山梨県、高知県)▼専攻医登録の状況などを日本専門医機構に問い合わせても十分な答えが返ってこない―などの点を問題視し、「現在の仕組みの手直しでは、十分な改善は無理ではないか」といった意見も出ていると言います。相澤会長は「2019年度研修に向けた研修プログラム登録などがこの5月(2018年5月)から始まるようで、そこには四病協の議論は間に合わないと思う。もう少し長期で、根本から『我が国の専門医制度の在り方』を議論することになろう」と見通しています(関連記事はこちら)。

新専門医制度の専攻医募集が開始され、12月15日に第1次分の採用状況が公表された

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