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2017年に救急車の出動・搬送人員は過去最高、ただし増加率は鈍化―総務省消防庁

2018.3.16.(金)

 2017年中に救急車が出動した件数、搬送された人員の数ともに過去最高を記録したが、両者ともに伸び率は鈍化してきており、徐々に「救急車の適正使用」が浸透してきている可能性がある—。

 総務省消防庁が3月14日に発表した2017年中の「救急出動件数等(速報値)」から、こういった状況が明らかになりました(総務省消防庁のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

65歳以上の高齢者に対する救急出動、2017年は58.8%に増加

 まず2017年中の「救急自動車による救急出動件数」は634万2096件で、前年に比べて2.1%・13万2132件の増加となりました。搬送された人員は573万5915人で、同じく2.0%・11万4697人の増加となっています。

救急出動件数、搬送人員ともに過去最多となりましたが、5年ごとの増加率を見ると、救急出動件数は▼1997→2002年:31.0%増▼2002→2007年:16.1%増▼2007→2012年:9.7%増▼2012→2017年:9.3%増―、搬送人員は▼1997→2002年:29.6%増▼2002→2007年:13.2%増▼2007→2012年:7.1%増▼2012→2017年:9.2%増―となっており、徐々に鈍化していることが分かり、「救急車の適正使用」などが浸透し始めている可能性が伺えます(関連記事はこちらこちら)。

救急出動件数・搬送人員数ともに過去最高を記録しているが、伸び率は鈍化しており「救急車の適正使用」が進んでいる可能性が伺える

救急出動件数・搬送人員数ともに過去最高を記録しているが、伸び率は鈍化しており「救急車の適正使用」が進んでいる可能性が伺える

次に、2017年中の「救急自動車による搬送人員」について年齢区分別の割合を見ると、▼65歳以上の高齢者:58.8%▼18-64歳の成人:32.8%▼7-17歳の少年:3.5%▼生後28日-6歳の乳幼児:4.6%▼生後27日までの新生児:0.2%―となっています。

65歳以上の高齢者の割合は、▼1997年:33.9% →(6.1ポイント増)→ ▼2002年:40.0% →(6.5ポイント増)→ ▼2007年:46.5% →(6.6ポイント増)→▼2012年:53.1%増 →(5.7ポイント増)→ ▼2017年:58.8%—と推移しており、概ね「5年間で6ポイント程度」のペースで増加しています。

高齢者への救急出動が増加を続けている

高齢者への救急出動が増加を続けている

2017年の救急出動、外来で済む軽症の割合は半数を切り、入院が必要な中等症が増加

さらに、2017年中の「救急自動車による搬送人員」について傷病程度別に割合を見ると、▼外来診療で済む「軽症」:48.5%▼入院が必要な「中等症」:41.6%▼3週間以上の長期入院を要する「重症」:8.4%▼死亡:1.4%—という状況で、半数近くが「軽症」で占められています。

もっとも、傷病程度別割合の推移を見ると、ここ10年で「軽症と重症が減少し、中等症が増加している」ことが分かります。「軽症の減少」からは、徐々に「救急車の適正使用」が進んでいる可能性が伺えますが、「重症者の減少」についてはさらなる分析が待たれますが、在院日数が短縮する中で「3週間以上の長期入院が必要」という定義が「重症」にマッチしているかという点も検証する必要があるかもしれません。

【軽症】(2007年以降減少)
▼1997年:50.2% →(1.0ポイント増)→ ▼2002年:51.2% →(0.5ポイント増)→ ▼2007年:51.7% →(1.3ポイント減)→▼2012年:50.4%増 →(1.9ポイント減)→ ▼2017年:48.5%

【中等症】(一貫して増加)
▼1997年:35.3% →(0.9ポイント増)→ ▼2002年:36.2% →(0.7ポイント増)→ ▼2007年:36.9% →(2.0ポイント増)→▼2012年:38.9%増 →(1.7ポイント増)→ ▼2017年:41.6%

【重症】(一貫して減少)
▼1997年:12.9% →(1.9ポイント減)→ ▼2002年:11.0% →(1.3ポイント減)→ ▼2007年:9.7% →(0.6ポイント減)→▼2012年:9.1%増 →(0.7ポイント減)→ ▼2017年:8.4%

【死亡】(大きな変動なし)
▼1997年:1.6% →(0.2ポイント減)→ ▼2002年:1.4% →(0.2ポイント増)→ ▼2007年:1.6% →(0.1ポイント減)→▼2012年:1.5%増 →(0.1ポイント減)→ ▼2017年:1.4%

軽症の割合が徐々に減少し、中等症が増加しており、「救急車の適正使用」が進んでいる可能性が伺える

軽症の割合が徐々に減少し、中等症が増加しており、「救急車の適正使用」が進んでいる可能性が伺える

 
 なお、2017年中の「救急自動車による救急出動件数」について搬送原因を見てみると、▼急病:64.0%▼一般負傷:15.2%▼交通事故:7.6%—などとなっています。急病の割合は、▼1997年:54.7% →(2.6ポイント増)→ ▼2002年:57.3% →(3.6ポイント増)→ ▼2007年:60.9% →(2.0ポイント増)→▼2012年:62.9% →(1.1ポイント減)→ ▼2017年:64.0%—と増加しています。
急病に対する救急出動が増加を続けている

急病に対する救急出動が増加を続けている

 
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