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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

新専門医制度、ハラスメント対策等のルールを6月にも策定―日本専門医機構

2020.2.26.(水)

新専門医制度の採用枠上限(シーリング)について、2021年度採用分では「現行の都道府県別・診療科別の必要医師数」をベースに、最新データ(医師・歯科医師・薬剤師調査など)を加味した微修正にとどめることになるのではないか。ロジック修正が厚生労働省の医師需給分科会で議論されているが、時間がない―。

新専門医制度の透明性等を高めるために、利益相反やハラスメントに関する対策ルールを設け、今夏以降の新執行部に引き継ぐ―。

日本専門医機構の寺本民生理事長は2月25日の定例記者会見で、このような考えを述べました。

2月25日の定例記者会見に臨んだ、日本専門医機構の寺本民生理事長

都道府県別・診療科別の必要医師数のロジック変更には、まだ時間がかかる

従前の専門医制度には、「各学会が独自に養成を行っており、質が担保されているか不明確である」「学会・専門医が乱立し、国民に分かりにくくなっている」との批判が多くありました。そこで2018年度から、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する「新専門医制度」へと改められました。

ただし、「専門医の質を追求するあまりに養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場にあり、▼日本専門医機構▼学会▼都道府県▼厚生労働省―が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」仕組みを構築・運用しています。その1つに「地域・基本領域ごとの専攻医採用数に上限を設ける」仕組み(シーリング)があります。

2020年度採用分からの現行シーリングの仕組みは非常に複雑ですが、厚生労働省の試算した「都道府県別・診療科別の必要医師数」をベースに、▼既に必要医師数を確保できていると考えられる都道府県・診療科ではシーリング(採用数に上限)を設ける▼採用数の一部を「他の都道府県での研修」に充てるプログラム(連携プログラム)とする―ことなどとなっています。

日本専門医機構や関係学会では「一定のエビデンスに基づくシーリング設定が可能になっている」と評価する一方で、厚労省の試算した「都道府県別・診療科別の必要医師数」について▼医療現場の肌感覚に必ずしもマッチしていない部分もある▼研究医等養成の視点が十分でない―との指摘もあります。そこで、日本専門医機構・関係学会・厚労省の三者で意見交換が行われており、その内容も含めて厚労省の「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)において「都道府県別・診療科別の必要医師数」の推計ロジックの見直しが検討されています。例えば、▼入院需要と外来需要を峻別する▼診療科の特性を踏まえる(小児人口を精緻に推計するなど)▼病院とクリニックで峻別する―などの改善を行う―などがロジック見直しの柱となる見込みです(関連記事はこちらこちら)。

この点について寺本理事長は「医師需給分科会の議論を見ていると、ロジック見直し確定までには時間がかかりそうだ。2021年度採用分においては、ロジック見直し後の都道府県別・診療科別の必要医師数をシーリングのベースに用いることはできないのではないか」との考えを示し、現行ロジックに基づき足元の数値(2018年医師・歯科医師・薬剤師調査結果など)を踏まえたシーリング設定を行うことになるのではないか、と見通しました。2021年度の専攻医採用枠は、2020年度と近いものとなりそうです。



なお、2020年度には「9102名+α」(指導医が採用確定の事務手続きを行っていないケースもある)の専攻医採用が行われる見込みで、「初期臨床研修3年目を迎えている医師(約1万名)の9割超が専門医資格取得を目指しており、日本専門医機構としても気を引き締めて新専門医制度を運用していく」と寺本理事長は強調。さらに2021年度の採用では「締め切り厳守」を強く求める考えも示しています。

利益相反・ハラスメントの対策ルールを設定

ところで、日本専門医機構の執行部は今夏に新体制となります(2年任期のため)。現執行部では、▼利益相反(COI)▼ハラスメント―に関する課題について解決に向けて筋道を立てる必要があると判断。両課題について、すでに委員会を立ち上げており、6月にもルールを策定し、新執行部につなげる考えです。例えば後者のハラスメント対策については、「特定のプログラム等においてハラスメントの訴えが頻発する」ような事態があれば、委員会メンバー等が現場を訪問し、調査や解決に向けた助言・指導等を行うことが模索されています。より透明性等の高い新専門医制度を目指す動きと言えるでしょう。



また寺本理事長は「この4月から『連動研修ではないサブスペシャリティ領域』の議論を詰めていかなければならない。このため、3月までに『連動研修』について決着させる必要がある」との考えも示しています。厚労省の医道審議会・医師分科会「医師専門研修部会」では、サブスペ領域問題について、「日本専門医機構がすでに認定した23のサブスぺ領域の基準論議は、他領域の認定にも関連するため、慎重に議論する必要がある」「サブスぺ認定基準が緩やかであれば、旧専門医制度のようにサブスぺが乱立してしまい、国民に分かりにくい仕組みに戻ってしまう」などの慎重論が相次いでおり、「専門研修部会の下にワーキンググループを設け、医学会関係者も交えてサブスぺ領域について議論する」こととしており、今後の動きが注目されます(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。



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