新専門医制度の「研究医コース」、9月23日頃から募集開始し10月半ばに採用決定、その後に一般枠の募集開始へ―日本専門医機構・寺本理事長
2020.8.27.(木)
新専門医制度に新たに設けられる「研究医コース」について、9月23日頃から募集を開始し、10月半ばには採用(合否)を決定する。その後、10月下旬から11月初旬にかけて一般の専攻医募集を開始したい―。
日本専門医機構の寺本民生理事長は8月24日の定例記者会見で、このような具体的なスケジュール感を示しました。
研究医コースの採用終了後、10月下旬から11月初旬に「一般枠の専攻医」募集開始
2018年度から新専門医制度が全面スタートしています。従前の専門医制度にあった「各学会が独自の基準で専門医を認定しており、国民に分かりにくく、質が担保されていない」との批判を踏まえ、日本専門医機構と各学会が共同して研修プログラムを作成し、認定を行う仕組みへと改められています。
また、新専門医制度の発足により医師の地域偏在・診療科偏在が助長されないよう、▼日本専門医機構▼学会▼都道府県▼厚生労働省―が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」仕組みも構築されており、その1つに「地域・基本領域ごとの専攻医採用数に上限を設ける」仕組み(シーリング)があります。
ただし、このシーリングのベースとなる「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚労省が推計)は臨床医が中心であり、「研究医」が含まれていません。このため、我が国の医学水準の低下が懸念され、7月17日の医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」において、以下のような「臨床研究医コース」(当初は40名)を、シーリングの枠外に設置することが認められました。
▽通常の専門研修と同様に、臨床研修(初期研修)を修了した医師を対象とし、7年間の臨床研鑽および研究(エフォートの50%以上)に携わる(研修期間は7年間)
▽大学病院等で研鑽する(例えば2年間)中で臨床を学び(主にカリキュラム制となる)、その後、大学院等に進学し、研究に携わる。研究期間中に、First author(主筆)として、SCI(Science Citation Index)論文を2本以上執筆する義務を負う(case reportは除く)
▽研修修了後は、大学等で臨床教官となることが考えられる
▽研修期間中は、身分保障がなされ、所属大学病院や大学院等の規定に沿った給与支給を受けられる
現在、日本専門医機構が「研究医コース」の整備指針案を作成しており、今後、関係基本領域学会との最終調整を終えたのちに、▼研修施設の選定▼専攻医の募集・採用―のフェーズに入っていきます。
まず研修施設については、大学病院やナショナルセンター(国立研究センター)などが想定され、▼2本以上のSCI論文執筆に対応できる▼7年間の身分保障が行える―ことなどを担保できる施設に手をあげてもらい、選定・定員の割り振り(2021年度は総枠40名で、各基本領域学会に最低1名の枠を設ける見込み)などに進んでいきます。この点、寺本理事長は「何らかの理由で、専攻医が研究医コースからドロップアウトした場合には、相応のペナルティ(一般の専攻医枠の定員削減)を課すので、覚悟を持って手上げされることになる」とコメントしています。
研修施設について専門研修部会では、「地域偏在」を危惧する声も出ました。例えば大学病院が多数ある東京や大阪、京都などに研究医コースの専攻医が固まってしまうのではないか、との心配です。この懸念について寺本理事長は「研究医コースは総枠40名で、1年度の専攻医全体の0.5%にとどまる。将来的には少なくとも100名に増員したいが、それでも1%程度である。地域医療への影響(医師偏在)は極めて限定的だが、悪影響が出ないように対応したい」との考えを述べています。
また、専攻スケジュールについては、次のような現時点での考えを示しました。
▽9月23頃から募集を開始、期間を2週間程度とする
▽その後、1-2週間で、各施設(大学病院やナショナルセンターなど)で合否を決定する(7年間の間に2本以上のSCI論文を執筆できる人物か、などを判断)
▽10月半ばには、研究医コースの初年度合格者が決定する
選考の結果、惜しくも研究医コースに採用されなかった医師は、その後の「一般枠の専攻医募集」に応募することが可能です。この点、寺本理事長は「2018年度から3回の専攻医採用を行う中で、募集開始が11月になっても問題ないことが分かってきた。10月下旬から11月初旬にかけて2021年度の一般枠専攻医募集を開始したい」との考えを示しています。
なお、機構では新専門医制度に関する「相談窓口」をサイト上に開設。プログラムの問題(例えば、待遇について当初の説明と異なるなど)を収集し、必要があれば改善勧告などにつなげていく考えです。
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