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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

新専門医制度、基本領域の見直しは現時点では不可能、異なる視点でのサブスぺ論議に期待―日本専門医機構

2019.11.19.(火)

新専門医制度について、「基本領域の見直し」を指摘する声もあるが、現時点では大混乱となるため不可能である。ただし、将来的には重要な検討課題になってくる―。

サブスペシャリティ領域について、新たに厚生労働省にワーキンググループが設けられ、医学会(アカデミア)が参画することになり、これまでと異なる視点での議論に期待したい―。

日本専門医機構の寺本民生理事長は11月18日の定例記者会見で、このような所感を述べました。

11月18日の定例記者会見に臨んだ、日本専門医機構の寺本民生理事長

合理的根拠に基づいて23サブスぺ領域の一部が認められないとなれば・・・

新専門医制度のサブスぺ領域等をどう考えるか、というテーマについて、厚労省の医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)で議論が続けられています。

新専門医制度では19の基本領域を1階部分として、その上に2階部分にあたるサブスぺ領域を設けます。すでに日本専門医機構では内科系・外科系・放射線科系の23領域をサブスぺ領域として認定していますが、専門研修部会では▼サブスぺ領域として本当に相応しいのか▼一部領域で「連動研修」が行われるが、地域の医師偏在を助長する可能性があるのではないか―などといった点が問題視されました。

前者の点は、「サブスぺ領域とされているものの中には、3階部分がふさわしいものや、技術認定制度が妥当なものが含まれているのではないか」「23領域の認定・認証基準は他の領域にも適用され、サブスぺ領域の乱立につながるのではないか」との指摘があります。

これに対し機構では、各学会・領域について▼専門医像と社会的使命(必須要件)▼基本領域の承認と同意(必須要件)▼サブスペシャルティ領域としての認知▼専門医数▼専門研修施設数・指導医数(必須要件)▼専門医制度の安定性▼専門研修整備基準▼客観的基準に基づく専門医認定▼専門医資格更新(案)―の各要素を勘案し、「サブスぺ領域として相応しい学会・領域」のみを認定し、乱立させる考えはないと強調していますが、専門研修部会委員は納得していません。

また後者は、基本領域について「A病院・B病院・C病院を循環する」という研修プログラムが組まれていたとして、サブスペ領域との連動研修となった場合に「B病院には当該サブスペ領域の指導医がいないので、A病院とC病院のみで研修を完結させ、B病院での研修(勤務)を行わない」という事態が生じてしまう可能性があるという問題です。この場合、B病院の所在する地域において、医師確保に困難が生じるなど「地域医療への悪影響」が生じる可能性を否定できません。



こうした問題について専門研修部会での議論は収束せず、11月8日の会合では「サブスぺ領域の在り方について、医学会(アカデミア)も交えたワーキンググループを設けて議論を深める」方針を決定。ただし、そこでは「基本領域の在り方から見直すべきではないか」との意見まで出ており、議論は迷走しています。

この点、日本専門医機構の寺本理事長は11月18日の定例記者会見で所感を表明。まず「ワーキンググループの設置」については、「専門研修部会では、同じ議論が繰り返されている嫌いがある。医学会が参加し、新たな視点、異なる視点で議論が行われることは歓迎したい」との考えを述べました。サブスぺ領域を希望する94の学会・領域からは、上述した「指導体制」などについてのレビューシートが提出されており、さまざまな視点での精査が行われることにも期待を寄せています。

また、「基本領域の在り方から見直すべき」との指摘については、「ある時点で各領域への応募状況を詳しく分析して、見直し論議をしなければならない」としたうえで、「現時点でそうした議論をすることはあり得ない。新専門医の資格取得を目指す若手医師が、大きな混乱に巻き込まれてしまう」との考えを強調しました。当面、「19の基本領域は維持する」との考えを明確にしています。

ところで、ワーキンググループでの議論の結果、「既に機構が認定している23のサブスぺ領域」の一部が認められない、との結論が出る可能性も否定できません。この点について寺本理事長は、「ワーキングで、『合理的な根拠』に基づいて23領域の一部が認められないとの結論になれば、それに従わないことは考えにくい」ともコメントしていますが、まずは「23領域の認証に向けて理解を求める」点を強調しています。



なお、現在、2020年4月からの研修スタートに向けて専攻医登録が進んでいます(11月15日の1次登録締め切り時点で8613名)が、機構では▼連携プログラムの創設▼地域枠のシーリングからの除外―など制度が複雑化した点を踏まえて「合否判定期間」を若干延長したことが明らかにされました。ただし、採否結果通知など医師側に関する日程(登録機関や採否結果通知日など)に変更はありません。

 
 
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