10月8・9日に臨床研究医コースの合否決定し、11月初旬から一般枠の専攻医募集開始へ―日本専門医機構
2020.9.24.(木)
新専門医制度に新たに設置される「臨床研究医コース」は、9月23日から専攻医を募集し、10月8・9日に採用(合否)を決定。11月初旬から一般の専攻医募集を開始する―。
日本専門医機構の寺本民生理事長は9月23日の定例記者会見で、このような具体的なスケジュール感を明確にしました。
臨床研究医コースの合否決定は10月8・9日、一般の専攻医募集は11月初旬から開始
9月17日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)において、新専門医制度の中に、新たに「臨床研究医コース」を設けることが正式決定しました。我が国の医療・医学水準の維持・向上を目指すもので、次のような内容です(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
▽通常の専門研修と同様に、臨床研修(初期研修)を修了した医師を対象とし、7年間の臨床研鑽および研究(エフォートの50%以上)に携わる(研修期間は7年間)
▽大学病院等で研鑽する(例えば2年間)中で臨床を学び(主にカリキュラム制となる)、その後、大学院等に進学し、研究に携わる。研究期間中に、First author(主筆)として、SCI(Science Citation Index)論文を2本以上執筆する義務を負う(case reportは除く)
▽研修修了後は、大学等で臨床教官となることが考えられる
▽研修期間中は、身分保障がなされ、所属大学病院や大学院等の規定に沿った給与支給を受けられる
早くも来年度(2021年度)から臨床研究医コースの専門研修が開始されることとなり、寺本理事長は次のスケジュールで進める考えを明確にしました。
▽9月23日から専攻医募集を開始
↓
▽各基本領域学会、臨床研究医コースを設置する大学・研究機関で採用選考を進める
↓
▽10月8日・9日に採用結果(合否)を決定する
大学や研究機関から「124コース」(専門研修部会への報告から皮膚科領域で1コース追加)の臨床研究医コース創設が提案されており、ここに専攻医を募ります。その応募数に応じて各基本領域に40名の定員を割り振り(応募者数に応じて比例配分することが基本)、具体的な選考は各基本領域学会と大学・研究機関で行うことになります。
脳神経外科領域などでは臨床研究医コースの提案がありませんが、寺本理事長は「学会によっては『3年間はプログラム制での研修を積み、その後に研究医を目指すべき』との考えが強いところもある」と述べ、「提案できなった」わけではなく、一定の考えの下で「提案しなかった」点を強調しています。
この臨床研究医コースの選外となった医師は、11月初旬からスタートする「一般の専攻医枠」に応募することが可能で、寺本理事長は「近く(9月末)、一般の専攻医応募スケジュールの詳細も明らかにする」考えを示しています。
なお、当初は「地域医療への影響が生じない」(医師の診療科・地域偏在を助長させない)ように40名からスタートすることとなっていますが、寺本理事長は「将来的に、まず100名規模へ増員する」ことに期待を寄せています。
専門研修プログラムの根本的な見直しに向けた検討が始まる可能性も
ところで、9月17日の専門研修部会では、事実上「シーリング逃れ」となっている専門研修プログラムが問題となりました。
医師の地域偏在・診療科偏在を助長しないよう、「医師が多数である」と判断された診療科・都道府県では、専攻医採用に上限(シーリング)が設けられているのです。
しかし、一部の専門研修プログラムでは、「基幹施設をシーリング対象外の都道府県に置き、そこで整備指針で定められた最低限の「6か月」の研修を実施。その後、シーリング対象となっている都道府県で2年半の研修を行う」という形態をとっています。これが「事実上のシーリング逃れである」と批判されているのです。
ただし、現在の仕組みの中では、これは「違反」と断ずることはできません。整備指針に則ったプログラムであることは事実であるためです。このため専門研修部会(厚生労働大臣が日本専門医機構や基本領域学会に行う要請・意見の内容を固める)では「整備指針の見直しも検討する」方針を決定。寺本理事長も、この点について「2018年度の新専門医制度の全面スタートから3年間、マイナーチェンジを続けてきた。その中で改善すべき点も明らかになってきた。課題を踏まえて大きな見直しをする時期が来るかもしれない」と述べ、専門研修プログラムの根本的な検証・見直しを行う可能性に言及しています。もっとも、あまりに厳格な規定を設ければ、「柔軟かつ魅力的な専門研修プログラム」の作成にも支障が出かねません。今後、どういった検討が行われるのか注視していく必要があるでしょう。
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