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専門医資格の更新に際し、「多様な地域での診療従事経験」にインセンティブ付与―専門医機構・寺本理事長

2021.4.20.(火)

専門医資格の更新に当たって、「多様な地域での診療従事経験」にインセンティブを設ける仕組みとする―。

日本専門医機構の寺本民生理事長は、4月19日の定例記者会見でこういった考えを明らかにしました。

専門医資格取得後も、地域医療に従事してさまざまな学びを

2018年度から「新専門医制度」が全面スタートしています。従前の専門医制度に向けられていた「各学会が独自の基準で専門医を認定しており、国民に分かりにくく、質が担保されていない」との批判を踏まえ、日本専門医機構と各学会が共同して研修プログラムを作成し、認定を行う仕組みへと改められたものです。

ただし、「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。その一環として「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限(シーリング)を設ける」などの対策が図られています(関連記事はこちらこちらこちら)。

今般、この一環として「専門医資格更新の際に、『多様な地域での診療従事経験』にインセンティブを設ける」考えが寺本理事長から明らかにされました。今後、専門医資格更新にあたり「地域医療の理解」「医療政策の理解」などが必須の共通講習科目に位置づけられますが、「多様な地域での診療従事経験」を持つ場合には、これらの共通講習受講が免除されるなど有利な扱いを受けられることになります。

「多様な地域」とはどこを指すのか、インセンティブの詳細をどう考えるのかなどの詳細は今後の検討を待つ必要があります。領域によって地域医療への関わり方が異なるため、詳細は「各基本領域で検討する」ことになる見込みです。

寺本理事長は「専門医資格を得た後にも、さまざまな地域、さまざまな医療機関で学ぶことが重要である。地域医療に従事し、若手医師に教える中で自分の知識・技術が磨かれることもある」と述べ、積極的に地域医療に従事することを求めていく考えです。

「多様な地域」の1つとして、厚生労働省の定める「医師少数地域」なども該当してくると考えられます。医師少数地域等に一定期間(6か月以上)勤務し、地域医療への知見を持った医師は、厚生労働大臣が認定を行います(認定医師)。地域医療支援病院では、将来「認定医師であることを管理者(院長など)の要件とする」ととなり、「医師少数地域等での診療従事」への大きなメリットとなります。専門医制度でも「地域医療への従事」に対するメリットが設けられ、将来、相乗的の効果が生まれることが期待されます。



なお、現下の大きな懸案事項である「サブスぺシャリティ領域について、どの学会、領域を日本専門医機構として認定するのか」の結論はいまだ出ていません。寺本理事長は「4月22日に臨時理事会を開催してサブスぺ領域に関する集中議論を行う。遅くとも5月には決定しなければならない」との考えを示しました。

ただし、4月からすでにスタートした「サブスぺ研修」について、▼経験症例などは遡及して新専門医制度の中でカウントされる▼仮に日本専門医機構のサブスぺ領域として認定されなかったとしても、学会認定の専門医制度の中でカウントする―など、「専攻医に不利益が生じない」形での取り扱いがなされます。



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